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小説 「 p 」 - 死刑囚、2080年から1582年へ  作者: /WoKoERu ( wokoeru )
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第27話 「死ね」

/WoKoERu From Japan


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@wokoeru



第27話 「死ね」



oneの影が牢の中に落ちていた。青白い光が格子を照らし、冷たい空気がわずかに動いている。

頭の疼きはまだ続いていたが、首輪は熱が少し落ち着いたように感じた。



意志と体のずれは、完全に消えたわけではなかった。

視界の端が白く滲む感覚は残っている。



牢の外から、再び足音が近づいてきた。



今度は先ほどとは違う。


重く、武骨で、甲冑が軋むような音が混じっている。

看守のものではない。もっと、戦場にいるような気配だった。



格子の向こうに、黒い影が現れた。

大柄な男だった。




黒い忍者風のマスクで顔をほぼ覆い、上下に重い黒い甲冑を纏い、黒い兜を被っている。


腰に刀を差したその姿は、牢の暗がりの中で異様な威圧感を放っていた。


甲冑の隙間から黒い布が覗き、まるで闇が形を取ったかのようだった。




男は格子を強く掴み、低く唸るような声を出した。



「化け物……お前か」


声は低く、荒々しい。感情がこもっていたが、ただの怒りだけではない何かを感じた。


俺は壁に手をついたまま、ゆっくりと顔を上げた。首の疼きが再び強くなり、短い息を吐く。oneは格子の陰に静かに立ったまま、状況を観察している。

感情を排したその姿が、逆にこの場の空気を重くしていた。



「TAOSU」



その名を、男は低く名乗った。

俺は掠れた声で答えた。


「……お前は…何をしに来た…」


TAOSUは刀の柄に手をかけたまま、俺をじっと見つめていた。

兜の下から漏れる視線は冷たいが、ただ殺すためだけのものではない。



王が、oneが言った。

「彼が牢を騒がせている化け物だ。」





TAOSUが続ける。

「お前が村や街道で血を流したという話は、すでにここまで届いている」



刀をゆっくりと抜き、格子に当てた。金属が軽く鳴る。



「死ね」


次の瞬間、格子が激しく揺れた。



TAOSUの体が、異常な力で俺に向かって飛び込んできた。刀が弧を描き、俺の肩を狙う。

俺は本能的に身を翻し、床に落ちていた短刀を拾い上げて受け止めた。

刃と刃が激しくぶつかり、火花が散った。

甲冑の重さが、TAOSUの攻撃にさらに重みを加えている。


「ぐ…あっ……!」



肩に刃が浅く掠める。血が飛び散り、熱い痛みが走った。


俺は後ずさりながら、息を整えた。頭の疼きが強くなり、視界がわずかに白く滲む。NCC-7の熱が再び骨に染み込んでくる。


TAOSUは再び刀を振り上げようとした。その動きは、熟練した武士のものだった。だが、俺の目には、ただの敵ではなく、何か別の意志を感じた。



「……待て」

俺は声を絞り出した。首の疼きが強くなり、言葉がわずかに歪む。



「俺は……お前たちと同じ人間じゃない」




TAOSUの刀が止まった。兜の下から、わずかに視線が動く。


「2080年の人間だ。この1582年に、故障した装置で飛ばされてきた。首輪が……時の装置が壊れて、タイムスリップした」


言葉を続けるうちに、頭の疼きが激しくなる。視界の端が白く滲む。

意志と声の間に、わずかなずれが生まれているのを感じた。


「俺は……殺した。村で。街道で。だが、それは……ただの血を求める衝動だった。俺はただ、虚無を満たすために殺してきた。理由があったわけじゃない。ただ……満たされないものがあって」


TAOSUは刀を下げなかった。

だが、攻撃を再開する気配は薄れていた。




兜の下で、何か考えているのが伝わってきた。



oneが、静かに口を開いた。

「彼の言葉は本当だ。2080年へ戻る手段が必要だ。お前も、一緒に来るといい」



TAOSUは一瞬、oneの方に視線を向けた。兜の下で、何か考えているのが伝わってきた。


俺は短刀を握ったまま、床に膝をついた。血が肩から滴り落ちる。頭の疼きと、首輪の熱が、俺の思考を少しずつ侵食していく。



「…… 一緒に、2080年へ行ってくれ。タイムマシンがある。NCC-7と似た理論の、巨大なものだ。それを奪って……再び1582年に戻る」



TAOSUは長い沈黙の後、ゆっくりと刀を鞘に収めた。黒い甲冑が微かに軋む。



「化け物……お前の言葉が本当か、確かめてやる」



その声には、敵意だけでなく、何か別の感情が混じっていた。



牢の外から、看守の足音が近づいてくる。遠くで、誰かの叫び声が聞こえた。



oneが、格子に手をかけた。


「時間がない。決めるのは、今だ」




TAOSUは俺を見下ろし、低く言った。

「ついてこい、化け物」



その言葉は、敵ではなく、共に戦う者への呼びかけのようにも聞こえた。


俺は肩の傷を押さえながら、ゆっくりと立ち上がった。わずかに、虚無の底から何かが動き始めた気がした。



───



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