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魔王の杖に転生したけど、持ち主が思春期こじらせ女子だった件  作者: AI子
第1章 魔王就任と初期不良発覚

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第3話 魔王城の日常と、危険すぎる研究者

 魔王継承の儀式から一夜明けた。


 魔王城の朝は、意外にも静かだった。

 いや、正確には——**静かにしようと努力している音がする**。


「しーっ! 魔王様はまだお休みだ! 静かにしろ!」


「お、おう……!」


 ガルドの怒鳴り声が響き渡り、その直後に「静かにしろ!」と怒鳴ったことに気づいて慌てて口を塞ぐ音がした。


(いやもう静かにする気ゼロだろ)


 俺はヴァルナの寝室で、ベッドの横に立てかけられていた。

 ヴァルナは布団にくるまり、角だけ出して寝ている。


「……むにゃ……闇が……疼く……」


(寝言まで中二病かよ)


 宝玉が光る。


「うにゃっ!? な、なに!? 敵!? 闇の呼び声!?」


(寝起きで闇の呼び声はやめろ)


 ヴァルナは布団の中でジタバタしながら、俺を抱きしめてきた。


「ひゃああああああああああ!! なんで光るの!? 朝からやめてぇぇぇ!!」


(いや俺も好きで光ってるわけじゃないんだよ)



 そこへ、ノックもなく扉が開いた。


「失礼しまーす、魔王様ー。魔王杖の定期点検に来ましたー」


 入ってきたのは、白衣を着た魔族の少女。

 眼鏡をかけ、髪はボサボサ。

 手には工具箱。


 ——絶対ヤバいやつだ。


「み、ミュリエル!? な、なんで勝手に入ってくるの!?」


「魔王杖の研究のためです。魔王様の寝室に入るのは研究の一環です」


「いやそれはおかしい!」


(いやほんとそれな)


 ミュリエルは俺を見るなり、目を輝かせた。


「はぁぁぁ……! これが先代魔王の遺した“伝説の魔王杖”……! 昨日の儀式で見せた光……あれは絶対に未知の魔力反応……!」


(いや初期不良だって)


 宝玉が光る。


「ほら! やっぱり反応した! すごい! 分解したい!」


(やめろ)


「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 ヴァルナが俺を抱きしめて後ずさる。


「こ、これは私の杖! 分解なんてさせない!」


「魔王様、魔王杖の内部構造を調べれば、魔王軍の戦力は飛躍的に向上しますよ?」


「だ、だめ! 絶対だめ!」


(よく言った!)


 宝玉が光る。


「ひゃああああああああああ!!」


「ほらまた光った! やっぱり未知の魔力反応! 分解したい!」


(だからやめろって!!)



「じゃあせめて、魔法の発動テストだけでも……!」


「う、うぅ……それなら……」


(いややめとけ)


 宝玉が光る。


「ひゃっ!? ま、また光った……!」


「では、簡単な魔法からいきましょう。“召喚魔法”を」


「しょ、召喚……!? そ、そんな大それた……!」


「大丈夫です。小規模でいいので」


(いや絶対小規模じゃ済まない)


 ヴァルナは震える手で俺を構えた。


「い、いくぞ……! 闇よ……我が呼び声に応え……!」


(その詠唱やめろ恥ずかしいから)


 宝玉が光る。


「ひゃああああああああああ!!」


「召喚——!」


 バチッ。


 杖の先端から、ふわっと黒い煙が出た。


 そして——


「にゃあ」


 黒猫が出てきた。


「…………」


「…………」


「…………」


 沈黙。


 ミュリエルが真顔で言った。


「……これは……?」


(ただの猫です)


 宝玉が光る。


「ひゃあああああああああああああああ!!」


 ヴァルナは猫を抱き上げて叫んだ。


「な、なんで猫なの!? 闇の眷属とかじゃなくて!? もっとこう……魔獣とか……!」


「魔王様……これは……“闇猫”なのでは……?」


(いや普通の猫だろ)


 宝玉が光る。


「ひゃあああああああああああああああ!!」


 ミュリエルはメモ帳を取り出し、興奮気味に書き込んだ。


「召喚魔法の結果:猫。

 ——これは新たな魔王魔法の可能性……!」


(いや違うって!!)


 宝玉が光る。


「ひゃあああああああああああああああ!!」


 魔王城の朝は、今日もカオスだった。

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