第17話 巨大猫じゃらし兵器、完成
王国の地下研究施設。
そこでは、数十名の技術者と魔術師が、巨大な装置の前で緊張した面持ちで立っていた。
「……ついに完成したのか?」
「はい、司令官。
これが王国の誇る“対猫最終兵器”——」
技術者が布を引き剥がす。
「**巨大自動猫じゃらし兵器です!**」
「…………」
「…………」
「…………」
沈黙。
(いや名前のセンスどうなってんだよ)
装置は高さ三メートル。
先端には巨大なふわふわの羽根。
魔力で自動的に高速回転し、上下左右に揺れ動く。
「……これは……本当に猫に効くのか?」
「もちろんです!
猫の注意を完全に奪い、魔王軍の指揮系統を混乱させます!」
(いや魔王軍の指揮系統は猫じゃないからな)
司令官は真剣な顔で頷いた。
「……これで……猫に勝てる……!」
(いや勝つ気なのかよ)
「では、試験運転を開始します!」
魔術師が魔力を注ぎ込むと、巨大猫じゃらしはブオンッと音を立てて動き始めた。
ふわっ……
ぶんっ……
しゅぱぱぱぱぱっ!!
「おお……!」
「すごい……!」
「猫じゃらしが……高速で……!」
(いや何を感動してんだよ)
その時、研究施設に飼われていた一匹の猫が、ふらっと現れた。
「にゃあ」
猫じゃらしが動く。
猫の目が光る。
「にゃっ!!」
猫は全力で飛びついた。
バシィィィィィィン!!
巨大猫じゃらし兵器は——
「……あっ」
猫の一撃で、根元から折れた。
「…………」
「…………」
「…………」
(いや弱すぎるだろ!!)
「……猫の……攻撃力が……想定以上……!」
「猫の……身体能力が……高すぎる……!」
「これは……猫が強すぎるのでは……?」
(いや普通の猫だよ!!)
司令官は震えながら言った。
「……つまり……」
「「「……!」」」
「猫に勝つには……
**もっと強い猫じゃらしが必要だ!!**」
(いや発想が狂ってるだろ!!)
「よし! “超巨大猫じゃらし兵器”の開発に移る!」
「はっ!!」
(いや名前がどんどん物騒になってるぞ)
一方その頃、魔王城では
「闇猫様〜! こちらに新しいベッドをご用意しました〜!」
「闇猫様〜! 肉球クリーム“極・改・真”をご用意しました〜!」
「闇猫様〜! 闇猫騎士団が本日の巡回を開始します〜!」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ヴァルナが猫を抱えて逃げ回っていた。
(いや王国より魔王軍の方がよっぽど危険だよ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
こうして、王国の“対猫兵器”はさらなる暴走を始め、魔王軍との衝突は不可避のものとなっていくのだった。




