第14話 魔王、猫崇拝を止めようとして逆に混乱を招く
対猫特殊部隊が撤退した翌日。
魔王城の中庭では、今日も魔王軍が猫を中心に動いていた。
「闇猫様〜! こちらに新しい玉座をご用意しました〜!」
「闇猫様〜! 肉球クリームを改良しました〜!」
「闇猫様〜! 闇のカリカリ“極”をご用意しました〜!」
(いや“極”ってなんだよ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
ヴァルナは猫を抱きしめながら、深いため息をついた。
「……もうだめ……
このままじゃ……魔王軍が猫軍になっちゃう……」
(いやもう半分なってるけどな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「……よし。
今日こそ……猫崇拝を止める!」
(いや無理だろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「なんで光るのぉぉぉ!!」
ヴァルナは猫をそっと床に置き、魔王軍の前に立った。
「み、みんな……聞いて……!」
魔王軍の兵士たちは一斉に跪いた。
「魔王様……!」
「闇猫様の次に偉大なお方……!」
(いや順番おかしいだろ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「こ、こほん……!
みんな……その……猫ばっかり構うの……やめて……!」
「……!」
「……!」
魔王軍がざわついた。
「まさか……!」
「魔王様が……!」
「闇猫様に嫉妬を……!?」
(いや違うって!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「ち、違うのぉぉぉ!!
嫉妬とかじゃなくて……!
私は魔王で……その……!」
ヴァルナは必死に言葉を探す。
「……魔王軍は……もっと……魔王のために……!」
「「「おお……!」」」
(お、意外と伝わってる?)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
ガルドが拳を握りしめた。
「……つまり……!」
「魔王様は……!」
「“闇猫様をさらに崇めよ”というお言葉……!」
(いやなんでそうなるんだよ!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「ち、違うのぉぉぉぉ!!
なんでそうなるのぉぉぉ!!」
「よし! 闇猫様の神殿を増築だ!」
「闇猫様のために“闇猫騎士団”を結成しよう!」
「闇猫様のために新しい祭壇を——」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ヴァルナは泣きながら叫んだ。
「なんでぇぇぇぇぇ!!
なんで私の言葉は全部猫に繋がるのぉぉぉ!!」
(いやお前の言い方が悪いんだよ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「今の光るのも猫のせいにされるぅぅぅ!!」
その時だった。
「にゃあ」
猫が鳴いた。
魔王軍は一斉に跪いた。
「闇猫様……!」
「お言葉を……!」
「我らに指示を……!」
(いやただ鳴いただけだろ!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
ヴァルナは頭を抱えた。
「……もうやだぁぁぁぁぁぁ!!
なんで猫が魔王みたいになってるのぉぉぉ!!」
(いや半分お前のせいだよ)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
---
こうして、ヴァルナの“猫崇拝を止める作戦”は、見事に逆効果となった。




