第12話 落ち込む魔王と、杖とのちょっとだけ深まる絆
王国が“対猫特殊部隊”を創設して大混乱している頃。
魔王城の一室では、ヴァルナがベッドに突っ伏していた。
「……もうやだぁぁぁぁぁぁ……」
(いや今日はいつもより落ち込みが深いな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「やめてぇぇぇぇぇ!! 今の光るの恥ずかしいからぁぁ!!」
ヴァルナは布団に顔を埋めたまま、ぐずぐずと泣き声を漏らした。
「……なんで……なんで全部うまくいかないの……
魔王らしいところ見せようとしても……
魔法は猫に吸い寄せられるし……
結界は私だけ閉じ込めるし……
魔王軍は猫ばっかりだし……」
(いや全部俺の初期不良のせいなんだけどな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「だから光るなってばぁぁぁ!!」
ヴァルナは涙目で俺を見つめた。
「……ねえ、杖……」
(お?)
「私……魔王に向いてないのかな……?」
(いやそんなことは——)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「なんで今光るのぉぉぉ!!」
(いや違う、今のは肯定じゃない!)
ヴァルナはさらに落ち込んだ。
「……やっぱり……向いてないんだ……」
(いや違うって!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「もうやだぁぁぁぁぁぁ!!」
(おい落ち着け! 俺は否定したいんだよ!
お前は向いてないんじゃなくて……不器用なだけだ!
それに……ちゃんと頑張ってるだろ!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「……え?」
ヴァルナは涙を拭きながら、俺をじっと見つめた。
「……今の光り方……なんか……優しかった……」
(いや光り方に優しさとかないけど)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「……やっぱり優しい……!」
(いや違うって!!)
ヴァルナは俺を抱きしめた。
「……ありがと……杖……
なんか……ちょっとだけ元気出た……」
(いや抱きしめるな恥ずかしい)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「ふふっ……今のは照れてる光り方だね……」
(いや違うって!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「ほら、やっぱり照れてる!」
(違うって言ってるだろ!!)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
ヴァルナはくすっと笑った。
「……でも……ありがと。
私……もうちょっとだけ……魔王、頑張ってみる……」
(……まあ、それなら俺も付き合うけどな)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
「うん、よろしくね……相棒」
(……相棒、か)
宝玉が光る。
「ひゃああああああああああ!!」
その光は、いつもより少しだけ柔らかかった。




