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友達の定義

作者: 汐なぎ
掲載日:2025/11/02

 僕は周りに馴染(なじ)めず、いつも自分の席で、窓の外を見ていた。別にいじめられていたとか、そういう訳ではない。ただ、集団でいるのが苦手と言うだけだ。


 はじめは僕を誘おうと話しかけてくる奴もいたが、一学期も(なか)ばを過ぎると、誰もちょっかいを出さなくなった。


 そんな僕とは正反対に、クラスの人気者で、いつもみんなの中心で笑っている奴がいる。僕とは決してまじわることはないと思えるが、いつも聞こえる笑い声につられて、彼を振り向くことが何度かあった。しかし、時々、彼の笑顔が、つらそうに、寂しそうに見える時がある。そんなことは有り得ないと思いつつも、彼が僕と似ている気がして、つい目で追うようになった。


 ある日の放課後、僕がゴミ捨てに行くと、校舎裏から声がした。誰かが告白していると思い、気不味くなって方向を変える。その時、後ろから彼の声がした。


「悪い。邪魔したな」


 話しかけられて、僕は振り向く。その時、泣きながら走り去る女子を見て、彼が告白を断ったのだと分かった。


「こっちこそ、タイミング悪くてごめん」


 そう言うと、彼に頭を下げて、その場から慌てて走り去った。


 僕がゴミ捨て場から帰ってきても、彼はまだそこにいた。彼は僕を見ると、酷く傷ついた顔をして寂しそうに笑う。


「あの子、俺の笑顔が好きなんだってさ」


 唐突にそんな事を言われても、どうすればいいか分からず僕は戸惑う。しかし、彼は気にせず先を続けた。


「なあ。お前から見て、俺ってどう映るの?」


「え? 何で僕に?」


 彼が何故こんな話をするのか分からず、間の抜けた質問をする。すると、彼は真剣な顔をして僕に告げた。


「俺の事、いつも見てるよな?」


 バレていたのかと、鼓動が早くなる。否定も肯定も出来ず黙っていると、彼は悲しそうに僕を見た。それから「何でもない」と言って立ち去ろうとする。


 このまま彼を帰してはいけない。僕はなぜかそう思って、咄嗟(とっさ)に彼の腕を掴んだ。


「え?」


 驚いたように振り向く彼に、僕は告げる。


「いつも寂しそうだなって……でも、気にしないで」


 話している途中で後悔し、言い訳のように付け足す。しかし、彼は嬉しそうに僕を見た。


「なあ。友達になってくれないか?」


「え、何で?」


 意味が分からず聞き返すと「俺、友達いなくて」と言って自嘲気味(じちょうぎみ)に笑った。


「嫌ならいい」


 友達なら沢山いるだろうと言いかけるが、いつも寂しそうな彼を思い出し、僕は慌てて引き留めた。


「嫌じゃない」


 そう言うと、彼はありがとうと微笑んだ。

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