8日
「え?なんでいるの??」
突如、目の前に現れた想い人に困惑する私。
「いや、実は・・・。」
相手は頭を掻きながらぼそぼそと語し始めた。
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「淋しくないんですか?」
仕事中、話しかけられたので振り返ると部下のひとりが立っていた。
なんのことか、と聞き返そうとした同時に空がゴロゴロと鳴り始めたので、”ああ、そういうことね。”
と察した私は笑いながら答えた。
「そのことなら大丈夫。さっき会ったから。」
「え!?」 部下は目を丸くした。「・・だって、今日は8日ですよ!」
「うん。」 まあ、そうなんだが。
近年、七夕は毎年と言ってもいいほど天気が悪く、織姫と彦星は逢えずにいてばかりであった。
真面目に働くようになったのにこれではあんまりだ、という事で「年に1度」というなら、二人はいつでも逢える事になったのであった。
完