第40話:アジト強襲
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その夜、俺とカインは、闇に紛れて『第七の鐘』の本拠地である、スラム街の地下へと続く古びた教会の前に立っていた。
リリアとミアは、地上で待機し、増援や逃亡者を阻止する後方支援に回ってくれている。俺の肩の上では、本体であるギアが、いつでも戦闘形態に移行できるよう、静かにその時を待っていた。
「準備はいいか、カイン」
「…ああ。とっくにできてる」
彼の琥珀色の瞳には、ギラギラとした、獣の光が宿っていた。
俺たちは、教会の隠し扉を蹴破り、地下へと続く螺旋階段を駆け下りる。
「何者だ!」「敵襲だ!」
アジトの内部は、警報と怒号で一瞬にして騒然となった。闇ギルドの構成員たちが、錆びた剣や歪な棍棒を手に、次々と襲いかかってくる。
「雑魚は俺に任せろ!」
カインが、獣のような咆哮と共に、先陣を切って飛び出した。
彼の動きは、もはや怒りと復讐心に燃える、一匹の孤高の狼だ。
その鋭い爪が、闇ギルドの構成員たちを、次々と切り裂いていく。
俺は、カインの戦いぶりを冷静に観察しながら、後方から漏れなく敵を処理していく。
やがて、俺たちは神殿の最奥、禍々しい装飾が施された祭壇の間にたどり着いた。
そこには、二人の男が、玉座のような椅子に座って、俺たちを待ち構えていた。
一人は、豪華な神官服を纏った、傲慢な笑みを浮かべる優男。先日、ギアの記録映像で見た、呪いの術者である貴族神官だ。
もう一人は、全身におびただしい傷跡を持つ、スラムの主のような風格の、巨大な体躯の男。彼が、『第七の鐘』のマスターだろう。
「おお、これはこれは」
貴族神官が、芝居がかった仕草で立ち上がる。
「穢れた亜人などに肩入れするとは、あなたもよほどの物好きか、あるいは同類ですかな?」
その瞳は、俺の持つ規格外の魔力量に気づき、まるで珍しい実験動物を見るかのように、ねっとりとした好奇心に濡れていた。
「てめえだけは…俺が殺す!」
カインは、闇ギルドのマスターを睨みつけ、怒りに体を震わせる。
俺は、そんなカインの肩をポンと叩いた。
「好きにしろ。だが、殺すなよ。そいつらには、まだ聞きたいことがあるからな」
俺は、貴族神官へと向き直る。カインは、積年の恨みを晴らすべく、闇ギルドのマスターへと突進していった。
戦いは、二つの場所で、同時に始まった。
「さて、神に仕える身でありながら、随分と俗な実験がお好きなようだな」
俺の皮肉に、神官は肩をすくめた。
「これも、大教主様が望む、聖王国の安寧のため。穢れた血を浄化する、聖なる務めですよ」
奴は、そう言って、――光の槍を、無数に放ってきた。
「その『大教主』とやらは、随分と安っぽいみたいだな」
俺は、ギアを変形させた魔導剣《竜牙の剣》で、その光の槍を、いとも簡単に切り裂いてみせる。
「ば、ばかな…!刀で魔法を切るだと…!」
「俺の刀は生憎、特別製でね」
驚く神官に俺は斬撃を畳みかける。
◇
一方、カインは、闇ギルドのマスターを相手に、苦戦を強いられていた。
連撃越しにギルドマスターがカインを煽る。
「お前がいくら暴れたところで、妹を救う薬は、俺たちを通してしか手に入らねえんだぞ!」
ギルドマスターは、カインの最大の弱みを突き、その心を揺さぶる。
「お前が俺たちに逆らえば、お前の妹は、どうなるかなぁ?」
「くそっ…! 黙れぇっ!」
その言葉が、カインの心の、最後のタガを外した。
(もう、騙されない…! 俺は、俺の力で、サラを守るんだ!)
彼の魂が、絶叫を上げる。
「カイン! 怒りを、憎しみを、ただの力任せの爪にするな! それは、お前の魂を燃やすための、ただの薪だ! お前の魂の本質は、そんなものじゃない!」
俺は、今日修得した剣術で神官を圧倒的な力でいなしながら、カインに意識を飛ばしていた。
「お前には炎を扱う素質がある!お前が本当に守りたかったものは何だ! その想いこそが、お前の中に眠る炎だ! イメージしろ、全てを焼き尽くす、情熱の炎を!」
俺の言葉が、カインの内に眠っていた才能の「鍵」を開ける。
妹への純粋な想い、そして、彼女を苦しめた全ての理不尽への怒り。その全ての感情が、彼の魔力を本物の「業火」へと昇華させた。
「うおおおおおおおおっ!」
カインの全身から、紅蓮の炎が噴き上がる。彼の爪は、もはやただの爪ではない。全てを焼き斬る、炎の刃と化していた。
覚醒したカインは、驚愕するマスターを、炎を纏った爪の一閃で、一瞬にして打ち破った。
それとほぼ同時に、俺もまた、決着をつけていた。
戦意を喪失し、震える貴族神官の胸元から、禍々しい魔力を放つ**『呪いの聖印』**を奪い取る。
「大教主によろしく伝えておけ。『七つ目の鐘』は、もう鳴らない、と」
俺の言葉に、神官は「だ、大教主様は、こんなことまでは…! 我らが、国の秩序のために、独自に…」と何かを言いかけるが、俺は聞かずに、その意識を刈り取った。
そして、気絶した神官と、その傍らで伸びている闇ギルドマスターに、立て続けに《コード・アナライザー》を発動させた。
脳内に、二人の存在情報が、詳細なディレクトリ構造となって展開される。
【ルート】
┣ 【オブジェクト名:神官バルザス(人間)】
┃ ┣ 【ステータス】: Level 55、高位神聖魔法の使用者
┃ ┣ 【所属】: 聖王国教会『聖務部』(非公式)、侯爵家三男
┃ ┣ 【精神状態(思考ログの断片)】:
┃ ┃ ┣ 『…忌々しい亜人どもめ。奴らの存在こそが、この聖なる都の穢れ…』
┃ ┃ ┣ 『…大教主様は、ただ『力』を求めておられる。ならば、我ら貴族が、その手段を整えて差し上げるのが務め…』
┃ ┃ ┗ 『…この研究が進めば、亜人から抽出した魂の力で、我ら選ばれたる人間の寿命さえも…』
┃ ┗ 【行動目的】: 亜人差別思想に基づき、大教主の歓心を買うため、独断で非人道的な実験(魂の力の抽出)を主導。
【ルート】
┣ 【オブジェクト名:闇ギルドマスター・ゴードン(人間)】
┃ ┣ 【ステータス】: Level 48、二刀流の使い手
┃ ┣ 【所属】: 闇ギルド『第七の鐘』マスター
┃ ┣ 【精神状態(思考ログの断片)】:
┃ ┃ ┣ 『…教会の連中は気味が悪い。だが、金払いがいいなら、誰にでも尻尾を振ってやるさ…』
┃ ┃ ┣ 『…カインの奴、妹さえいなければ、もっと使える駒だったんだがな…』
┃ ┃ ┗ 『…攫ったガキどもは、どうせ聖務部の実験で使い潰される。なら、その前に少しばかり『楽しんだ』って、罰は当たらねえだろう…』
┃ ┗ 【行動目的】: 金銭欲。神官(貴族)に取り入り、スラムでの支配力を盤石にすること。
(…なるほどな)
俺は、全ての情報を読み解き、静かに息を吐いた。
(大教主は、ただ効率よく『力(生命エネルギー)』を集めたいだけ。亜人だの人間だの、区別はしていない。だが、その下にいる貴族たちが、己の差別意識と選民思想を正当化するために、亜人だけをターゲットにしていた、というわけか)
俺は心の中で違和感の正体に納得しながら、神官と闇ギルドのマスターを縛り上げた。
カインの心は、復讐の達成感と、そして、これから妹を救えるという、確かな希望の光が灯っていた。
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