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第33話:スキルの応用

いつも読んでくださりありがとうございます!


最新話をお届けします。

楽しんでいただけると嬉しいです。


明日も更新予定です(*^^*)


それでは、どうぞ!




アルトハイムの街に別れを告げ、俺たちはついに、聖王国の王都へと向かう旅に出た。


ダリウスさんやケイン、宿屋の女将さんたちに見送られ、街の門をくぐる。


これから始まる、世界の真実を巡る長い旅。その第一歩だ。

「ヴァル、ミアちゃん、こっちよ」


街を出てすぐ、リリアが俺たちを手招きした。

彼女が指差す先には、立派な幌馬車と、それを引くたくましい馬が二頭、待機していた。


御者台には、人の良さそうな商人が座っている。


「え、馬車?」

「当然でしょう? アルトハイムから王都までは、歩けば数ヶ月はかかるのよ。まさか、その距離を全部、自分の足で歩くつもりだったの?」


リリアが、呆れたように言う。

(やべえ、そのつもりだった…)


俺は、移動手段について頭から完全に抜けていたみたいだ。


「それに、旅には色々と荷物が必要でしょう? 食料に、水、野営道具、着替え…。あなたたち、ほとんど手ぶらに見えるけど、どうするつもりだったの?」


彼女の至極もっともな問いに、俺はミアに目配せする。

「ミア、頼む」

「うん!」


ミアは、こくりと頷くと、リリアの目の前で、自分の足元の影にすっと手を入れた。


そして、ズボッ、と。


影の中から、先日買ったばかりの、俺の着替えが入った大きな革袋を取り出してみせた。


「「…………え?」」

リリアと、馬車の御者さんが、同時に固まった。


「な、今…どこから…?」

「わたしの、ひみつのぽけっとだよ!」


ミアは、得意げに胸を張る。

「正確にはスキル《シャドウ・ポケット》です。現在、この馬車一台分程度の容量ならば、問題なく収納可能です」


俺の肩の上で、ギアが冷静に補足した。


リリアは、しばらくの間、ミアの足元の影と、ミアの顔を交互に見比べ、やがて、深いため息をついた。


「…もう、あなたの仲間が規格外なことには、驚かないようにするわ…」


その顔には、呆れと、それ以上の好奇心が浮かんでいた。


結局、俺たちはリリアが手配してくれた馬車に乗り込み、快適な旅を始めることになった。


道中の旅は、驚くほど平穏だった。


街道は整備され、時折、騎士団の巡回部隊ともすれ違う。

魔界の、いつどこで魔物に襲われるか分からない緊張感とは、全くの別世界だ。


しかし、街道を少し外れれば、そこにはやはり魔物がいた。


「前方、500メートル。レベル20『ロック・リザード』の群れを5体、感知」


ギアの報告に、御者の商人が顔を青くする。

「ひぃっ! 冒険者様、お願いします!」

「まあ、任せとけ」


俺は、馬車を降りると、ミアとリリアに合図する。

「リリアは後方から援護。ミアは、一体でいい。動きを止めてくれ」


「「了解うん!」」

俺は、群れの中心へと一直線に突っ込む。


リリアの放つ風の刃が、リザードたちの注意を引き、ミアの《シャドウ・ウィップ》が、一体の足に絡みつき、体勢を崩させる。


そして、俺が《竜牙の剣》で、とどめを刺す。


もはや、レベル20程度の魔物は、俺たちの敵ではなかった。

戦闘後、俺はいつものように、倒したロック・リザードの亡骸に手を置いた。


「さて、と…《悪食》」

俺がスキルを発動させ、リザードの体が光の粒子となって俺の手に吸い込まれていくのを、リリアが慌てて止めた。


「ちょ、ちょっと待ちなさい、ヴァル!」

「ん? どうかしたか?」


「どうかしたか、じゃないわよ! その魔物の素材はどうするの!? 鱗も、爪も、魔石も、全部ギルドで高く売れるのに、あなた、全部消してしまったじゃない!」


彼女に言われて、俺はハッとした。


そうだ。魔界では、素材は全て、喰らうものだった。


売って金にする、という発想が、まだ俺の中には根付いていない。


「もったいない…! あれだけで、銀貨数十枚にはなったのよ!?」


頭を抱えるリリア。

「うーん、でも、解体とか面倒だしな…」


俺がそう呟くと、肩の上のギアが、カチリと歯車を鳴らした。


『提案します、マスター。《悪食》と《コード・アナライザー》の応用により、その問題は解決可能です』


「本当か!?」


『はい。まず、《コード・アナライザー》で、対象の構造情報の中から、換金価値のある部位(素材、魔石)と、不要な部位(内臓、血液など)を定義します。そして、《悪食》を発動する際、不要と定義された部位のみを吸収対象として指定するのです』


つまり、必要な素材だけを残して、残りの邪魔な部分だけを、綺麗に喰らい尽くす、と。


それは、解体という手間を完全に省略できる、究極の素材回収術だった。


「…やってみるか」

俺は、残りのリザードの亡骸に手を置き、ギアの言う通りにスキルを発動させた。


すると、どうだろう。


リザードの肉や内臓だけが光の粒子となって消え、後には、完璧に血抜きされた美しい鱗と、爪、そして心臓部にあった魔石だけが、綺麗に残されたのだ。


「「…………」」

リリアと、御者の商人が、今度こそ、本当に言葉を失っていた。


『マスター、素材回収、完了しました』

ギアが、淡々と告げる。


「おお、すごいな、ギア! これなら、リリアに怒られずに済む」


俺が喜んでいると、ギアは補足するように続けた。


『ただし、この方法にはデメリットも存在します。魔物から新たなスキル情報を獲得するためには、最も魔力濃度が高い部位――すなわち、魔石や特定の器官を《悪食》で分解する必要があります。 今回はそれを素材として残したため、スキル情報の獲得は見送られました。効率的な情報収集スキルハントか、換金可能な素材回収か。状況に応じた判断を推奨します』


「なるほどな…。スキルを取るか、金を取るか、か」


つまり、俺は、自分の成長と、目先の生活費を、天秤にかける必要があるわけだ。


なかなか、世知辛い仕様じゃないか。


「…ヴァル。あなた、本当に人間…?」


リリアが、震える声で尋ねる。


(いや、だから人間じゃないんだけどな…)


俺は、肩をすくめながら、また一つ、自分の力がこの世界の常識からかけ離れていることを、改めて実感するのだった。


お読みいただき、本当にありがとうございましたm(_ _)m


今後の展開に向けて、皆さまの応援が何よりの励みになります(>_<)


少しでも「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ぜひ**【ブックマーク】や【評価(★〜)】、【リアクション】、そして【感想】**で応援していただけると、作者が泣いて喜びます(そして執筆が捗ります)(#^.^#)


誤字脱字報告も大歓迎です。


皆さまの声が、皆さまが考えてる100万倍、私の創作活動の大きな原動力になります。


次回更新も頑張りますので、引き続きお付き合いいただけますと幸いです(*^ω^*)

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