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第32話:告白

いつも読んでくださりありがとうございます!


最新話をお届けします。

楽しんでいただけると嬉しいです。


明日も更新予定です(*^^*)


それでは、どうぞ!




王都への旅立ちを翌日に控えた朝。


俺とミア、そして肩に乗せたギアの三人は、リリアの住む湖畔の塔を訪れていた。


静かな湖面と、朝日を浴びてきらめく祝福の泉。数週間前、初めてこの景色を見た時とは、俺たちの置かれている状況も、心境も、全く違って見えた。


塔の扉を開けると、リリアが、すでに旅支度を整えた姿で俺たちを迎えてくれた。


「おはよう、ヴァル、ミアちゃん」

「おはよう、リリア」

「王都へ行く前に、君に話しておかなければならないことがある」


俺の真剣な口調に、リリアは微笑みを収め、静かに頷いた。


俺たちは、彼女の研究室である2階へ向かい、テーブルを囲んで向き合う。


「俺たちは、君が思っているような、ただの人間じゃない」

俺は、単刀直入に切り出した。


まず、俺は自分のことから話した。


この世界の生まれではない、異世界からの転生者であること。最初は、最弱のモンスター【ワーム】だったこと。そして、古代竜の因子を取り込んだ結果、今の【ヴルム・ドラコ(竜蟲)】という、人間とは似て非なる種族になったこと。


信じがたい話だろう。だが、俺は証拠として、手の甲に意識を集中させ、黒曜石のような光沢を放つ、数枚の竜の鱗をわずかに浮かび上がらせて見せた。


次に、ミアが、意を決したように俺の隣に立つ。


「わたしも…」


彼女は、これまでずっと隠してきた《幻惑擬態》を、自らの意思で解いた。


すると、彼女の額の髪の生え際から、二本の愛らしい、しかし紛れもなく人ではない証である小さな角が現れた。


「わたし、インプなの」


最後に、ギアが俺の肩からテーブルの上へと飛び降りる。


「そして私は、古代竜の聖域のガーディアンの『アストラル・コア』より生まれた、自律型支援ユニットです。マスターのサポートを最優先事項とします」


カチリ、と歯車を鳴らし、ギアは自らの出自を簡潔に告げた。


転生者、竜蟲リュウキ、インプ、そして自律型のオートマタ。


あまりに荒唐無稽な告白の数々。普通の人間なら、気味悪がって逃げ出すか、あるいは、異端者として騎士団に通報してもおかしくない。


だが、リリアは、ただ静かに俺たちの話を聞き終えると、ふっと、息を吐いた。


「…やはり、あなたたちは、この世界のルールの中から生まれた存在ではなかったのですね。薄々、感じてはいました」


彼女の瞳には、恐怖も、嫌悪もなかった。あるのは、長年の謎が解けたかのような、澄んだ納得の色だけだった。


「私たちの古い伝承に、こうあります」


彼女は、エルフにのみ伝わる、失われた神話について語り始めた。


「今の女神信仰が広まるより、遥か昔…この世界には、竜が空を支配し、高度な文明をもつ星詠ほしよみの民がいた、と。ですが、その話は、今の天界の教えとは大きく異なるため、『異端の神話』として、今では書物もほとんど残ってはいません」


彼女の言葉に、俺は息をのむ。竜の聖域で見た、あの絵本。直接繋がるわけではないが、通底する「何か」を感じずにはいられない。

「あなたと出会い、あの泉の秘密に触れて、そして今回の森の暴走スタンピード…。全てが、繋がり始めました。きっとあなたこそが、その失われた時代の真実を解き明かす、鍵となる存在なのでしょう」


リリアは、俺を、そしてミアを、真っ直ぐな目で見つめて言った。


「だから、私も行きます。種族が何であろうと、あなたがあなたであることに、変わりはありませんから」


その言葉は、俺の心の、一番固い部分を、優しく溶かしていくようだった。


俺は、この時、初めて、この世界で「理解者」を得たのかもしれない。


俺は、彼女の信頼に応えるため、《コード・アナライザー》で彼女の魂の本質を改めて見つめた。


【ルート】

 ┣【オブジェクト名:リリア・ラシャーナ(エルフ)】

 ┃ ┣【物理パラメータ】

 ┃ ┃ ┗ レベル:45(A級相当)

 ┃ ┗【魂の構成要素コア・アトリビュート

 ┃   ┗【属性親和性アフィニティ:風】


(風…)


ミアの『闇』に続いて、二人目だ。


俺の中に眠る『竜』の力と、彼女たちの持つ『属性』。

この出会いには、何か特別な意味があるのだろうか。


秘密を共有し、本当の意味で仲間となった俺たち。


俺は、領主から受け取った「S級昇格試験への推薦状」をテーブルに置いた。


「さて、最初の作戦会議だ。リリア、君はどう思う? この、いかにも胡散臭い招待状を」

リリアは、羊皮紙に目を通すと、すぐにその意図を見抜いた。


「罠、でしょうね。あなたの規格外の力を危険視し、王都という管理しやすい場所へ呼び寄せ、監視下に置こうという魂胆が透けて見えます。この試験は、あなたの力を測り、制御できるかを試すための、『査問会』のようなものでしょう」


罠かもしれない。だが、逃げる選択肢はない。王都に行かなければ、真実には近づけない。

俺は、不敵に笑った。


「上等じゃないか。向こうがそのつもりなら、こっちも、その『試験』とやらに、堂々と乗ってやろうじゃないか」


「ヴァル…?」


「俺は、この街で出会った人たちの、そして魔界に残してきた虫のバグズ・ネストの住人達の、あの面白くて、穏やかな日常を守りたい。それだけだ。だが、あの泉…そして、その先にある天界のシステムは、明らかにそれを脅かしている。この国の中枢である『聖王国』は、天界の教えを絶対としている。つまり、今の俺たちにとって、聖王国と天界は、ほぼ同じものだ。だとしたら、俺がやるべきことは一つだ」


俺は、窓の外に広がる青い空――その遥か上空にあるであろう、天界を見据える。


「俺の本当の目的は、S級冒険者になることじゃない。俺の大切な人たちから、知らず知らずのうちに何かを奪っている、あの空の向こうの連中の正体を、この手で暴き出すことだ。そのためなら、英雄のフリでも、何でもしてやるさ」


それは、神が作ったこの世界のシステムに対する、静かだが、燃えるような闘志を秘めた宣戦布告だった。


新たな仲間と、確かな目的を胸に。

そして俺たちは、ついに女神信仰の心臓部、聖王国ルミナスへと、その駒を進める。




第二章はここで完となります。


お読みいただき、本当にありがとうございましたm(_ _)m


今後の展開に向けて、皆さまの応援が何よりの励みになります(>_<)


少しでも「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ぜひ**【ブックマーク】や【評価(★〜)】、【リアクション】、そして【感想】**で応援していただけると、作者が泣いて喜びます(そして執筆が捗ります)(#^.^#)


誤字脱字報告も大歓迎です。


皆さまの声が、皆さまが考えてる100万倍、私の創作活動の大きな原動力になります。


次回更新も頑張りますので、引き続きお付き合いいただけますと幸いです(*^ω^*)

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