表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/47

第31話:聖王国からの推薦状

いつも読んでくださりありがとうございます!


最新話をお届けします。

楽しんでいただけると嬉しいです。


明日も更新予定です(*^^*)


それでは、どうぞ!




アルトハイムの英雄。

それが、今の俺に与えられた、新しい称号だった。


街を歩けば、誰もが俺に感謝と尊敬の眼差しを向け、子供たちは「英雄様だ!」と後をついてくる。ケインをはじめとする若い冒険者たちは、俺を兄貴分のように慕ってくれた。


だが、俺の心は、鉛のように重かった。


祝福の泉の真実。人々の生命力を糧にする、天界のシステム。


その事実を知ってしまった以上、彼らの純粋な笑顔を、素直に受け止める余裕など、到底なかった。


魔物の暴走スタンピードから数日後、街の領主から、正式な謁見を求める使者がやってきた。


俺は、リリアと共に、街で一番立派な領主の館へと向かった。


通された謁見の間で、初老の恰幅のいい領主は、深々と頭を下げた。

「この度の英雄的活躍、心より感謝申し上げる。あなたが居なければ、このアルトハイムは、今頃、地図から消えていたでしょう」


彼は、俺に報奨金と、この街の名誉市民の称号を与えると約束してくれた。


そして、彼は、少し興奮した面持ちで、一枚の羊皮紙を俺に差し出した。


「そして、これは、私からの褒賞ではありません。あなたの噂は、すでに王都にまで届いております。聖王国の大教主様が、あなたの功績を高く評価され、特別に、S級冒険者への昇格試験に、あなたを推薦してくださったのです」


S級冒険者。この世界における、おそらく最高峰の栄誉。

だが、今の俺にとって、それは何の価値もない、空虚な響きにしか聞こえなかった。


「…お断りします」

俺の即答に、領主と、隣に立つリリアが、驚いて目を見開く。


「ヴァルさん!?」

「なぜですかな!? これほどの栄誉を…!」

「俺は、英雄になどなりたくない。そもそも、今回のスタンピードは…」


俺が、事の原因が自分にあると告げようとした、その時だった。

魂の奥底で、古代竜(ヴァルス・アステラクロン)の、あの燃えるような怒りの感情が、奔流となって蘇った。


『――偽りの神』

『――を縛る、欺瞞のシステム』


そうだ。俺の中の竜は、知っていたのだ。この世界の、本当の敵が誰なのかを。


そして、前世の記憶もまた、俺の背中を押す。


理不尽なシステム。

その中で、何もできずに、ただ搾取され、心を殺して生きていた、あの頃の自分。


もう、見て見ぬフリはしない。声を上げられなかった後悔は、二度と繰り返さない。

俺は、顔を上げた。


「…訂正します。その推薦、お受けします」

「おお! そうこなくては!」


「ただし、一つ、条件があります。俺は、誰の指図も受けない。ただ、俺自身の目で、この世界の真実を確かめたい。そのためなら、王都へも、どこへでも行くと」


その言葉は、もはやただの冒険者のものではなかった。


領主は、俺の瞳に宿る、揺るぎない決意の光に、ただ圧倒されていた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


その夜、俺は宿にある食堂にリリアとダリウスを呼び寄せ、祝福の泉の隠されたシステムを打ち明けた。


「ダリウスさん、リリアさん。あんたたちが信じている、あの祝福の泉は、人を癒やすと同時に、その生命力を少しずつ奪っているのを、知っておいてほしい」


あまりにも唐突な俺の話に、リリアもダリウスも眉を顰める。


「俺のスキルは、物事の理…その仕組みそのものを読み解くことができる。あの泉の水が、どういう理屈で治癒効果を発揮し、その代償に何を奪い、そのエネルギーがどこへ送られているのか。俺には、それが分かる」


俺の言葉には、何の証拠もない。信じてもらえないかもしれない。

でも大切な街を、誰よりも守っている彼らには知っておいてほしかったのだ。


2人は肯定も否定もせず、帰っていった。

ただ、リリアの顔はどこか青ざめていたように思う。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



そして旅立ちが近づいたある日の夜。


部屋の扉が、コンコン、と控えめにノックされる。リリアだった。


「…本当に行くのですね、王都へ」

「ああ」

「…私も、連れて行ってください」


彼女は、まっすぐに俺の目を見て言った。


「あなたが、あの泉が『神の祝福なんかじゃない』と言った時、私は、正直、腹が立ちました。ですが、同時に、ずっと胸の内にあった、小さな違和感の正体に、触れられた気がしたのです」


彼女は、長年、森と泉の魔力の流れを研究してきた。そして、その流れが、あまりに一方的で、不自然であることに、薄々気づいていたのだという。


「私も、真実が知りたい。この世界の、本当の姿を。そのためなら、森の賢者という、小さな称号など、いつでも捨てられます」


俺は、彼女の覚悟を、そのエメラルド色の瞳に見る。


「…足手まといになるかもしれませんよ」

「ふふ、A級冒険者に向かって、失礼ですね」


彼女は、悪戯っぽく笑った。


俺たちは、しばし見つめ合い、そして、どちらからともなく、吹き出した。


これまでの、奇妙な遠慮や、探り合いの空気が、霧散していく。


「…リリア。これから、よろしく頼む」

俺は、初めて、彼女を呼び捨てにした。


「…ええ、ヴァル」

リリアもまた、初めて、俺を呼び捨てにした。その頬が、恥ずかしさでほんのりと赤く染まっている気がした。


「敬語も、もうやめにしましょう。俺たちは、対等な『仲間』なのですから」


こうして、俺たちのパーティに、三人目の仲間が加わった。

風の理を司る、聡明で、美しいエルフの魔術師。


彼女の存在が、これから始まる、天界との永い戦いの中で、どれほどの支えになるのか俺は、まだ知らなかった。



***********

ヴァルのステータスを表示しておきます。

________________________________________

【個体名】ヴァル

【種族】ヴルム・ドラコ(竜蟲)

【レベル】60

【称号】アルトハイムの英雄

【HP】 5450 / 5450

【MP】 4680 / 4680

【攻撃力】2980

【防御力】3150

【素早さ】2230

【魔力】2610

固有スキル:

《コード・アナライザー》

《古代竜の叡智》

-竜の咆哮ドラゴン・キャノン

-インフェルノ・テンペスト

-竜牙のドラゴン・ファング

-スケイル・アーマー


固有特性:《竜の因子》

スキル:悪食(Lv.7)、栄養吸収(Lv.1)、粘糸(Lv.1)、魔力感知(Lv.5)、魔力操作(Lv.5)、生態探知(Lv.1)、火魔法(Lv.MAX)、風魔法(Lv.4)、幻術(Lv.1)、隠密(Lv.5)、超再生(Lv.1) new!、俊敏強化(Lv.3)、物理抵抗(Lv.2)、魔法抵抗(Lv.1)、麻痺耐性(Lv.3)、酸耐性(Lv.3)、火炎耐性(Lv.2)、毒無効new!、電撃耐性(Lv.1)、ステータス偽装(Lv.1)、空中歩行(Lv.1)、滑空(Lv.1)、遠目(Lv.1) 、言語理解

________________________________________



お読みいただき、本当にありがとうございましたm(_ _)m


今後の展開に向けて、皆さまの応援が何よりの励みになります(>_<)


少しでも「面白かった!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、ぜひ**【ブックマーク】や【評価(★〜)】、【リアクション】、そして【感想】**で応援していただけると、作者が泣いて喜びます(そして執筆が捗ります)(#^.^#)


誤字脱字報告も大歓迎です。


皆さまの声が、皆さまが考えてる100万倍、私の創作活動の大きな原動力になります。


次回更新も頑張りますので、引き続きお付き合いいただけますと幸いです(*^ω^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ