第29話:変幻の御業
俺TUEEEE回です(=゜ω゜)ノ
明日も更新予定です(*^^*)
それでは、どうぞ!
絶望が、城壁を支配していた。
地平線を埋め尽くす魔物の濁流を前に、歴戦の冒険者たちですら、その顔から色を失っている。誰もが、街の終わりを覚悟していた。
その、全ての希望が失われかけた最前線に、俺は一人、静かに立っていた。
背後から、リリアさんやミアの悲痛な声が聞こえる。だが、俺は振り返らない。
俺が引き起こした災厄だ。ならば、俺が終わらせる。
「…ギア」
俺は、肩の上に乗る小さな相棒に、静かに問いかけた。
「何か、手はあるか?」
「…………」
ギアは、水晶の単眼で眼前の軍勢をスキャンし、数秒間、沈黙した。
彼の内部で、無数の歯車が高速で回転する音が聞こえる。
やがて、彼は淡々と、しかし確信に満ちた声で言った。
「提案します、マスター。この状況を打開する、唯一の最適解が存在します」
「何だ?」
「――マスターの左腕を、天に掲げてください」
「…は?」
思わぬ言葉に、俺は眉をひそめた。
「腕を掲げろ? ふざけてるのか。そんなことをして、何になる」
「説明している時間はありません。生存確率を最大化するためには、私の提案を実行することを推奨します。早く」
有無を言わさぬ、機械的な催促。
(…こいつ!)
腹は立ったが、今は、この小さな機械の相棒を信じるしかない。
俺は、疑念を振り払うように、左腕を、まっすぐに天へと突き上げた。
その瞬間だった。
俺の肩から飛び立ったギアが、一筋の光となって、俺が掲げた左腕に吸い込まれるように合体した。
「なっ!?」
カシャッ! ガキンッ!
俺の腕に、金属のプレートが次々と展開・装着されていく。
歯車が噛み合い、魔力のラインが青白く発光する。
それは、もはや俺の腕ではなかった。
流線型の装甲に覆われ、銃口のように開いた先端部から、膨大な魔力の光が漏れ出す**『魔導砲』**へと変貌していたのだ。
《固有スキル《古代竜の叡智》と、自立型支援ユニット『ギア』がリンク》
《魔力循環システムを最適化。広域殲滅形態『アーク・ビット』を起動します》
脳内に響く、無機質なシステム音声。
俺の意思とは関係なく、体内の魔力が、腕の魔導砲へと凄まじい勢いで吸い上げられていく。
「おい、ギア! これは一体、どういうことだ!?」
『マスターのスキルと魔力を、この状況における最適解――『広域殲滅』という形で実行します。マスターは、ただ、狙いを定めるだけで結構です』
腕と一体化したギアから、直接、声が響く。
眼下には、城壁に殺到しようとする、魔物の大群。
俺は、覚悟を決めた。
「…よく分からんが、やってやるよ!」
俺は、照準を、軍勢の最も密集している中央部へと定める。
魔導砲の先端に、世界の全てを白く染め上げるほどの、凄まじい光が収束していく。
そして――。
「――喰らえ」
俺がそう呟くと、ギアが応えた。
『――アーク・ビット、発射。《竜の咆哮》』
一筋の、極太の蒼白い閃光が、静寂を切り裂いて放たれた。
それは、まさに竜の息吹そのもの。
着弾した瞬間、世界から音が消えた。
次の瞬間、轟音と共に、巨大な爆発が巻き起こった。
魔物の軍勢の中央部が、一瞬にして蒸発し、巨大なクレーターが生まれる。その衝撃波だけで、周囲の魔物たちが、木の葉のように吹き飛ばされていった。
俺の脳内に無機質なアナウンスが鳴り響く。
《経験値を獲得しました》
《レベルが51に上がりました》
《レベルが52に上がりました》
《レベルが53に上がりました》
《レベルが54に上がりました》
城壁の上が、水を打ったように静まり返る。
ダリウスも、リリアも、ケインも、他の全ての冒険者たちも、目の前で起きた、神の御業としか思えない光景に、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「…す、ごい…」
ミアの、震える声が聞こえる。
俺は、まだ煙を上げる自分の左腕を見下ろした。変形は解け、ギアが再び元の姿に戻って、俺の肩にちょこんと乗っている。
『マスター、魔力消費、約70%。広範囲の目標は、概ね排除完了しました』
「…お前、とんでもない隠し機能を持ってたんだな」
『マスターの潜在能力を、私が引き出したに過ぎません。ですが、この**広域殲滅形態『アーク・ビット』**は地形と状況を著しく選びます。また、MP消費が膨大すぎるため、推奨はしません。基本は、マスターの戦闘スタイルに合わせた、別の形態を推奨します』
ギアの言葉通り、俺のMPは残りわずかだ。
だが、眼前の脅威は、まだ完全には消えていない。
先頭集団こそ消滅し、進行速度も減少したが、後方には、まだおびただしい数の魔物がいる。
「…第二ラウンド、といくか。推奨する『別の形態』とやらを、見せてみろ」
俺がそう言うと、ギアは再び俺の手の中に飛び込んだ。
カシャ、カシャリ、と小気味よい音を立てて、歯車と水晶が再構築されていく。
光が収まった時、俺の右手に握られていたのは、すこしSFチックな美しい長剣の柄だった。
『**近接戦闘形態**に移行。マスターのスキルに応じて、刃を構築してください』
俺は、残った魔力をグリップに注ぎ込み、スキルを発動させた。
「――《竜牙の剣》」
グリップの先から、白銀の光が伸び、鋭利な刀身を形成していく。
それは、スキルだけで作り出した時のような、不安定な魔力の塊ではない。ギアを核とすることで、完全に安定し、より洗練された、美しい白銀の魔導剣だった。
魔導砲による圧倒的な『殲滅』。
そして、これから始まる、魔導剣による『蹂躙』。
街の人々が見守る前で、俺は、この世界の住人ではない、規格外の力の全貌を、今、完全に解き放った。
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