第25話:規格外のCランク冒険者
いつも読んでくださりありがとうございます!
最新話をお届けします。
楽しんでいただけると嬉しいです。
明日も更新予定です(*^^*)
それでは、どうぞ!
静まり返った訓練場に、ケインが絞り出すような「参りました」という声だけが響いた。
俺は、膝をついた彼に手を差し伸べながら、内心では冷や汗が止まらない。
(やっちまった…! 絶対、やりすぎた…! もっとこう、数合打ち合った末に、辛くも勝利、みたいな展開を想定してたのに!)
「…今の動き、一体、何をしたのですか…?」
呆然としていたリリアが、ようやく我に返り、俺に問いかける。彼女の瞳には、畏怖と、それ以上に純粋な知的好奇心が燃え盛っていた。
「いやー、運が良かっただけですよ。ははは…」
俺が、乾いた笑いで誤魔化そうとした、その時だった。
「マスター。対象『ケイン』の戦闘継続は不可能。よって、この模擬戦はマスターの完全勝利です。評価:S。ただし、力の加減に課題を残します。要改善」
ミアの頭の上に乗っていたギアが、カチリと歯車を鳴らしながら、淡々と戦況を分析した。
「「「「「「「しゃ、喋ったぁーーーっ!?」」」」」」」
その場にいたリリアと、ギルドマスターのダリウス、そして冒険者たちの驚愕の声が、綺麗にハモった。
特にリリアは、「あの人形、やはりただの装飾品ではなかったのね…!」と、わなわなと震えている。
「あー、こいつはギア。俺の、まあ、相棒みたいなもんだ」
俺が雑に紹介すると、ギアは「自律型支援ユニットです」と即座に訂正した。
「…ふ、ふむ」
ダリウスは、咳払いを一つして、気を取り直した。
「ヴァル君。君の実力は、よく分かった。正直、我々の想定を遥かに超えている。Cランクどころか、Aランク、いや、Sランクとしても、遜色ないだろう」
彼の言葉に、周囲の冒険者たちが息をのむ。
「だが」と、ダリウスは続けた。
「残念ながら、このアルトハイムのギルドで発行できるランクは、Cランクが上限なのだ。それ以上のランクを望むのであれば、王都のギルド本部で、改めて昇格試験を受けてもらう必要がある」
「そうなんですか?」
「うむ。ここは、良くも悪くも辺境だからな」
つまり、どんなに強くても、ここではCランクまでしか上がれない、ということか。
俺としては、別にランクにこだわりはない。人間界で活動するための「身分証」が手に入れば、それで十分だ。面倒な昇格試験など、むしろ受けずに済むなら好都合だ。
「分かりました。では、Cランクで結構です」
俺がそう即答すると、今度はダリウスさんの方が目を丸くした。
「…良いのかね? 君ほどの力があれば、Sランクの名誉も、それに伴う富も、手に入れるのは容易いだろうに」
「俺は、そういうのにはあまり興味がないんで。それより、こいつの試験もお願いできますか?」
俺は、自分の後ろに隠れているミアを、ポンと前に押し出した。
「えっ!? わ、わたしもやるの!?」
ミアが、驚いて声を上げる。
「当たり前だろ。お前も、俺のパーティメンバーなんだからな」
俺の言葉に、ミアは一瞬戸惑い、やがて「うん!」と、決意を固めた顔で頷いた。
ミアの試験は、俺の時とは違い、複数のDランク冒険者を相手にした、集団戦形式で行われた。
「お嬢ちゃん、手加減はしねえぜ!」
冒険者たちが、ミアを子供だと侮りながら、四方から同時に襲いかかる。
だが、ミアはもはや、魔界で震えていただけの少女ではない。
「――《シャドウ・ウィップ》!」
彼女の足元から、数本の影の鞭が伸び、冒険者たちの足を的確に絡め取る。
「うおっ!?」
体勢を崩した彼らの頭上から、ミアはさらに影の壁――《シャドウ・ガード》を叩きつけ、動きを完全に封じた。
その間、わずか数十秒。
「…しょ、勝負あり!」
ダリウスの声が、再び静まり返った訓練場に響く。
ミアの実力もまた、Cランクと認定するには十分すぎるものだった。
こうして、俺とミアは、晴れて『Cランク冒険者』となった。
ギルドから渡された、真新しい銅製のプレート。それが、俺たちがこの人間界で手に入れた、最初の身分証だった。
「ヴァルさん、ミアちゃん。改めて、ようこそアルトハイムへ」
リリアが、どこか楽しそうな、それでいて、何かを見定めるような目で、俺たちに微笑みかけた。
「あなたたちのこと、これからもっと、色々と教えてもらうことになりそうね。特に、その不思議な相棒さんのことも」
彼女の視線の先で、ギアが水晶の単眼をカシャリと光らせた。
今回もお読みいただき、
本当にありがとうございましたm(_ _)m
今後の展開に向けて、
皆さんの応援が、何よりの励みになります。
「面白かった!」
「続きが気になる!」と思っていただけたら、
ぜひ、
【ブックマーク】や【評価(★〜)】、
【リアクション】、そして【感想】
で応援していただけると嬉しいです!
誤字脱字報告も大歓迎です。
皆さんの声が、
私の創作活動の本当に大きな原動力になります。
次回更新も頑張りますので、
引き続きお付き合いいただけますと幸いです!




