第23話:強さの誤算
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リリアに連れられてやってきたのは、街の中でも一際大きく、そして騒がしい建物だった。
木の扉を開けると、酒と汗の匂い、そして武具がぶつかり合う音と共に、荒々しい男たちの熱気が俺たちを包み込む。
壁には無数の依頼書が張り出され、屈強な冒険者たちが、昼間からエールを飲み交わし、武勇伝を語り合っている。
ここが、冒険者ギルドか。なるほど、魔界にはなかった種類の、独特の活気がある。
「うわぁ…人がいっぱい…」
ミアが、少しだけ気圧されたように、俺のローブを強く握る。俺は彼女の頭を軽く撫で、大丈夫だと目配せした。
俺たちの存在に気づいた冒険者たちが、好奇と、少しばかりの侮蔑が混じった視線を向けてくる。特に、俺の隣に立つリリアの姿を認めると、その視線はより一層強くなった。
「おい、見ろよ…リリア様だぜ」
「またギルドに来てたのか。相変わらず、お綺麗だな」
「すらっとしたスタイルに、金色の髪がたまんねぇぜ」
「隣の男は誰だ? 隣を歩けるなんて羨ましいぜ…」
リリアはこの街の有名人らしい。
彼女はそんな視線を気にも留めず、まっすぐにカウンターへと向かった。
「こんにちは、エマさん。少し、お願いがあるのですが」
カウンターの向こうから、きびきびとした動きで顔を上げたのは、亜麻色の髪をポニーテールに結んだ、快活な印象の美女だった。胸元が大きく開いたギルドの制服が、彼女の豊かなプロポーションを強調している。彼女が、このギルドの看板受付嬢、エマさんらしい。
「あら、リリア様。いらっしゃいませ。今日はどういったご用件で?」
「この二人の、冒険者登録をお願いしたいのです。身元は、私が保証します」
リリアの言葉に、エマさんは少し驚いた顔で俺たちを見た。
「リリア様が保証されるとは…珍しいこともあるものですね。分かりました。では、そちらのお二人さん、こちらの水晶に手をかざして、魔力を流し込んでみてください。まずは、魔力量の測定から始めます」
そう言って、彼女がカウンターに置いたのは、人頭大ほどの、透明な水晶だった。
「まずは、お嬢さんからどうぞ」
促され、ミアがおずおずと水晶に手をかざす。すると、水晶はぼんやりとした光ではなく、力強い紫色の輝きを放ち始めた。
「まあ!」
エマさんが、感心したように声を上げる。
「この若さで、これほどの魔力量…素晴らしい才能ですわ。おそらく、Bランク級といったところでしょうか。将来が楽しみですね」
周囲の冒険者たちからも、「おいおい、マジかよ」「あのチビ、大したもんだな」と、驚きの声が上がる。ミアは、褒められたことに少し照れたように、俺の後ろに隠れた。
「では、次はあなた」
俺は、言われた通りに水晶へと手をかざした。
(人間界の冒険者は、レベル100超えがゴロゴロいる猛者の集まりだ。ここで下手に魔力をセーブして、弱者だと思われ、ミアに危害が及ぶのだけは避けたい。ここは、ある程度の実力を見せておくべきだな)
俺は、そう判断し、体内の魔力の一部を、水晶へと流し込んだ。
その瞬間だった。
ピイイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!
水晶が、これまで聞いたこともないような、甲高い絶叫を上げた。
そして、ミアが放った紫色の光など比較にならない、まるで内側で太陽が爆発したかのような、凄まじい純白の閃光が、ギルド全体を白く染め上げた。
「な、なんだ!?」
「目が、目がああああ!」
ギルド中の冒険者たちが、何事かと一斉にこちらを振り向き、そのあまりの光量に目を覆う。
「ひ、ひぃっ! こ、壊れるっ!」
エマさんの悲鳴とほぼ同時に、水晶の表面に、ピシッ、ピシッと、無数の亀裂が走り始めた。
(――まずいな)
俺は咄嗟に手を離した。
すると、水晶の光は急速に収まり、元の静けさを取り戻す。だが、その表面には、痛々しいヒビが無数に刻まれ、チリチリと小さな煙を上げていた。
ギルド中が、水を打ったように静まり返る。
全ての視線が、俺一人に集中していた。
「…あー、その、弁償します」
俺がそう言うと、エマさんは、わなわなと震える指で俺を指差した。
「こ、これは、そういう問題じゃありません! この魔力測定器が、計測不能のエラーを起こしてヒビが入るなんて…あなた、一体、どれだけの魔力をその身に宿しているんですか!?」
彼女の叫びに、周囲の冒険者たちもざわめき始める。
「計測不能だと…?」
「上位の魔術師でも、あんなことにはならねえぞ…」
リリアもまた、信じられないものを見る目で、俺とヒビの入った水晶を交互に見比べている。その瞳には、もはやただの興味ではない、畏怖に近い感情が浮かんでいた。
(しまった…)
俺は内心で舌打ちした。冒険者の強さを見誤ったかな。
「…実力は、魔力量だけでは測れません」
エマさんが、引きつった笑顔を何とか取り繕いながら言った。
「すぐにギルドマスターを呼びにいって参りますので、そのままお待ちください…!」
そういうと、エマさんは慌ててギルドマスター室へと向かうのだった。
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