第14話:星の羅針盤
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次の階層へ続く扉を開けた先は、俺の想像を絶する光景が広がっていた。
そこは、巨大なドーム状の空間。天井には、魔力で精巧に再現された満天の星空が広がり、床には大陸や海が描かれた、広間いっぱいの巨大なジオラマが鎮座している。
「うわぁ…」
ミアが、天井の星々を見上げて感嘆の声を漏らす。
俺もまた、その光景に圧倒されていた。
「プラネタリウム…いや、それ以上の何かだ。これは、天体や世界の魔力の流れそのものを観測するための、巨大なシミュレーターか…?」
だが、床のジオラマは沈黙したまま、何の光も放っていない。
(これを起動させること自体が、試練というわけか)
俺がそう直感した瞬間、天井の星々のうち、ひときわ明るい七つの星が、まるで「バグ」を起こしたかのように、不規則な軌道を描いて暴走を始めた。それに伴い、床のジオラマのあちこちで、赤い魔力の嵐が渦巻き始める。
脳内に、直接声が響く。
《試練を開始する。乱れたる星の運行を、その魔力で調律せよ》
「星の調律、か。面白くなってきた!」
俺は、手に入れたばかりの《魔力感知》と《魔力操作》のスキルを、意識のトップギアに入れて起動させた。
世界を満たす魔力の流れが、青白い光の線として視える。
暴走した星々は、その流れをかき乱す、強烈なノイズだ。
俺は、暴走するエネルギーの一つに狙いを定め、両手から魔力の糸を伸ばして制御しようと試みる。
「ぐっ…! エネルギーが強すぎる…!」
《《魔力感知》の熟練度が一定に達したため、スキルレベルがLv.2に上がりました》
《《魔力操作》の熟練度が一定に達したため、スキルレベルがLv.2に上がりました》
一人で抑え込むには、あまりに強大だ。
まるで、決壊したダムを素手で止めようとしているようなものだった。
「ミア! 手を貸してくれ! 俺が光の奔流を無理やりこっちへ向ける! お前はその『影』で、エネルギーの受け皿を作ってくれ!」
「うん、わかった!」
俺の叫びに、ミアは即座に反応する。
俺は《魔力操作》の精度を極限まで高め、暴走する星のエネルギーのベクトルを捻じ曲げる。
凄まじい抵抗。
腕の血管が張り詰め、MPがゴリゴリと削られていく。
「今だ、ミア!」
俺が作り出した奔流の先に、ミアが《シャドウ・ガード》を巨大な黒いカーテンのように展開する。
ゴオオオオッ!
暴走した星のエネルギーは、ミアの影に激突し、ゆっくりと軌道が修正された。
「いけるぞ!」
俺たちは、一つ、また一つと、暴走した星々を鎮めていった。最後の星を正しい軌道に戻した瞬間、空間全体が眩い光に包まれた。
《《魔力感知》の熟練度が一定に達したため、スキルレベルがLv.3に上がりました》
《《魔力操作》の熟練度が一定に達したため、スキルレベルがLv.3に上がりました》
「はぁ…はぁ…。やったな」
「うん…!」
MPを使い果たし、座り込む俺の隣で、ミアも息を切らしている。
だが、その顔は達成感に満ちていた。
試練をクリアしたことで、床のジオラマが、ついに青白い光を放ちながら完全に起動する。
ジオラマ上には、無数の光点が現れた。
《コード・アナライザー》で解析すると、それらが「魔力の吹き溜まり=一般的なダンジョン」の位置情報であることが分かる。
そして、その中でもひときわ強く、明らかに異質な六色の輝きを放つ点が、世界に点在していた。
一つは、今俺たちがいるこの場所を示す、星のような金色に輝く光。
(なんだ…? この6つの場所は、そこらのダンジョンとは明らかに“格”が違う。)
俺がその謎に思考を巡らせていると、祭壇の中央の床が静かにせり上がり、なにやら装置が出現した。
「これは…転送装置…!」
俺はすぐさま解析する。
行き先として、先ほどジオラマで示された**「5つの特別な場所」と、「最後に記録された座標」がリストアップされていた。
最後の座標を解析すると、それは「世界の境界付近、未知のエネルギー反応あり」**と表示される。
ゼノンが言っていた『人間界』に繋がる唯一の手がかりかもしれない。
俺はふと自分のステータスを確認する。
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【種族】ヴルム・ドラコ(竜蟲)
【個体名】ヴァル
【レベル】6
【HP】 400 / 400
【MP】 2 / 340
【攻撃力】210
【防御力】250
【素早さ】150
【魔力】220
スキル:悪食(Lv.4)、外殻強化(Lv.3)、火炎ブレス(Lv.2)、アシッド・ブレード(Lv.1)、魔力感知(Lv.3) new!、魔力操作(Lv.3) new!、火魔法(Lv.1)、麻痺耐性(Lv.2)、酸耐性(Lv.2)、火炎耐性(Lv.2)、毒耐性(Lv.1)、電撃耐性(Lv.1)、物理抵抗(Lv.2)、魔法抵抗(Lv.1)、HP自動回復(Lv.1)、隠密(Lv.1)、言語理解
固有スキル:コード・アナライザー
固有特性:竜の因子
称号:竜の記憶を継ぐ者
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強くなった。
だが、まだ足りない気がする。
(他の5つの特別そうな場所に行くか…? いや、今の俺たちでは情報が足りなすぎる。それに、あの石板の『機械の神』のことも気になる。やはり、まずは別の文化や知識を持つ『人間』と接触すべきだ)
俺は、他の特別な場所という選択肢を、今はあえて選ばず、「世界の境界」へと向かうことを決断した。
「ミア、しっかり掴まってろよ」
俺は転送装置の行き先を「最後の座標」に設定する。
「どこに飛ばされるか分からんが…きっと、面白いことになる」
「うん!」
ミアが、俺のローブを強く握る。
俺たちは、人間界への希望と、未知への不安を胸に、転送装置の眩い光に包まれていった。
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