第52話 ゲーム世界で無双して得た者
「どう? 穂美香さんは逝ってしまわれたけど今のNo1でやっていける羅琉」
「穂美香さんは素晴らしいお方だった。マニュアルなくともあらゆる発想で物事を成立させてしまう真の天才だ。私などが脚元にも及ぶはずもない」
「まあ、流石にハードルが高すぎたよね。ライズ創設者とされるライズ様もあの穂美香がいなくなったことは惜しいと思ってるはずだわ」
「ふん、何をいまさら、穂美香さんと礼さんが双璧を成していたころから、とっくにライズ様は二人の凄さを知っていただろうに」
「ふーん、確かに言われてみればそうかもね」
「No1になった私にはすべての真相を知る権利が与えられる。封印の間に近づき、隠された書物を読んだことで、私は全てを理解したわけだ」
「で、真相を知った感想は」
「まったくライズ様という方はお騒がせなものだ。真相を他人に話すことはできないが、間接的に表現するとそうなる」
「ふふふー、凄い意味深、私もNo1になってそれを知りたいかも」
「お前には無理だな芹利、そもそも穂美香さんがいなくなっても、まだ他の追随を許さない私がいる」
「ははは、流石永遠のNo2、永遠のNo1が消えた瞬間、永遠のNo1になったみたいね」
「まったく不名誉な称号で少しも嬉しくないなそのいい方は」
「ごめん、ごめん。これからライズはどうするの?」
「大方ライズ様が残した全ての課題は解決されただろう。おそらく穂美香さんの功績はライズ様の願いの全てをかなえるものですさまじいものだ。私がNo1だったらこれを成し遂げることはできない」
「ほーう、つまり、ライズは活動方針を失ったと」
「ああ、それどころかライズは解散だ。全てはライズ様の書物の元No1の者が方針を示す。そのNo1の私が今書物を見て言えることは、全ては穂美香さんが終わらせたから、何もすることはないということだ」
「やっと、解散できるのかい。堅苦しい組織が抜けられてよかったわ」
「そうだな、私も自分の慈善活動に重きを置くことが出来る」
「ふーん、あなたとは付き合い長いしいつでも連絡してよ」
「ああ、そうさせてもらう」
「じゃあ、モニターオープン」
次の瞬間、ライズのメンバー前任が招集された会議が始まった。
「さて、皆にいう私からの方針はライズ解散だ」
「賛同、賛同、賛同」
「全員満場一致、それでは解散!」
ここはゲーム具現化を探求する堀本凜のクラブである。
「琴音沙月さん、それはつまりどういうこと何ですか?」
「えーと私は堀本凜さんを取材しましてね。彼女曰くゲームが具現化することはあり得るということなんですよ。これ本当マジで本当!」
「はっはっはっ、そんなことあるわけないでしょ。ゲームが具現化ですって」
「私もね、最初は信じられなかったんですけどね。すっごいプログラムウイルスが生まれて、それがゲームの世界を具現化しちゃうんですって」
「意味不明なこと言わないでくださいよ。堀本凜さんもそう思ってるんですか?」
「今日は私のクラブに琴音沙月さんのグループのみなさんが特集を組んでくれたという、とても喜ばしい日だ。それを踏まえて答えを出すとだね、正解だ」
「ぎゃはははははは、意味が分かりません。やっぱりとんだオカルトクラブですね。まあ、この不思議な雰囲気を俺たちは楽しみに特集を組んだんですが」
「ちょっとちょっと、全く皆さん信用してないけど」
「元から冷やかしに来てるんですよ凜さん。取材料は発生するんですから我慢してください」
「ふむ、真実を話しているだけなんだが、これは致し方なしというものだ」
「じゃあ、そろそろ取材はお開きということでみなさん解散しますよ」
「待ちたまえ取材人の諸君たちよ」
「なんだ、なんだ、まだ何かあるんですか堀本凜さん」
「ちょっと、ちょっと、何する気なんです凜さん」
「沙月さんよ私はやられっぱなしというのが嫌いなんだよ」
「ほえースイッチは行っちゃたよこの人」
「みなさん、ゲームの具現化を体験した少年少女の話は興味ないかね?」
「興味あり! 特集に使わせてくれ」
「あちゃー、余計なこと言っちゃったよこの人。ごめんね、藤宮君たち、迷惑が掛かるかもだけど我慢してね」
「それでさ優戸がさあ、私に勘弁してくれって泣きついてきたのよ」
「ふふふ、それはとても無様な姿ね」
「ああ! 里音ちゃんまた悪い顔してる」
「おいおい、三人とも少しは優戸さんの立場に立って発言した方がいいんじゃないか?」
「うん? ちょっと意味がわからないかも」
「え? なんか言った」
「春樹は黙ってなさいよ」
「はい、ごめんなさい」
麗美と夏菜、里音先輩と俺は4人であの時の喫茶店に訪れていた。最近だと常連になっている。かなり仲が深まったのである。
「でもさあ、俺もいいエピソードがあるんだよ」
「何々? 超気になるかも?」
「道安先輩がやらかしたんだよ」
「でたあー道安先輩、凄い面白い人よね」
「はあ、道安君はちょっと情熱が空回りしがちだよね」
「それで? いったいその道安先輩が何をやらかしたのよ」
「道安先輩はゲームが大好きなんだけど、彼女さんとのデート日を忘れてて、新作ゲームに熱中してたんだってさ。怒った彼女さんは道安先輩のゲームを全部ゴミ箱に捨てたとかなんとか」
「ちょっ、なにそれ! ウケるんですけど道安先輩」
「ふん、くだらないわね」
「その道安先輩ってバカなんじゃない? 彼女さんには激しく同意だわ」
「は、はははははは」
どうやら麗美にしかこの話はウケなかったようである。
「なんだ君たちは」
「うん?」
「ガタガタガタガタ」
なんだ、カメラを持ったスーツ姿の集団が一斉に喫茶店に入ってきたような。
「き、君たちが現実世界に具現化したゲームを体験したっていう高校生か」
「ちょっ、なんなの、こいつらむさくるしいんですけど」
「えええ? 私たちがゲームを、どういうこと?」
「ちょっと麗美さん、こいつらは記者よ。拡散されるから相手にするだけ無駄だわ」
「ちょちょちょちょちょ、何なんですかあなたたちは」
「き、君が春樹君か! 堀本凜と琴音沙月の話では君が、ゲームの具現化の恐ろしい野望を止めたみたいじゃないか! 是非うちのオカルト特集の表紙を飾ってくれ」
「え? 俺が、表紙を飾る? どういうことですか」
「春樹―行ってらっしゃい」
「春樹君、頑張ってねー」
「ちょっ! 夏菜も麗美も、そんな俺を犠牲にするなんて。助けてください里音先輩」
「はあ、凜さんと沙月さんが余計なことを言ったわね。対応策はあなたに握られてるわ。取材ガンバ春樹!」
「ふ、ふざけんなよおおおおお!」
それから俺はオカルト特集のために丸一日取材陣に拘束されたのだった。
何がともあれ、全ての日常がもとに戻ったのである。
取材では色々話したが、全て面白話として片づけられ、特集の題材にされて終わった。
ゲームが現実で具現化したら無双しちゃったけど、いろんな過去を振り返って、いまではこうしてたくさんの仲間を得た。だからあの体験も悪くなかったと思った。
「里音ちゃん」
「ああ、やっと会えた」
「私も嬉しい」
「由愛、おかえり」
「面白かった、続きが読みたい!」
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