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第51話 英雄のやり直し

「遂に来たわねアート」


「ああ、行くぞライズ」


 俺たちは現実世界に行くための、最後の工程である魔王フロロメと対峙した。


「おいおい、追放しまくりの冒険者パーティーのリーダーが相手か。追放しまくって増強した戦力なだけにずいぶんと強力だな」


「黙れ! 俺は数多の犠牲を力に変えたんだ」


 フレレメに勝つには体の限界を超えるしかない!


「四色だ、何百もの冒険者の同胞を追放して手に入れた女神級を超える4つの神器、具現化のα、接続のβ、抑制のγ、拡大のΩ、二次元を三次元に書き換える最強アイテム、これで限界を超える!」


 俺の力は四つの神器使って限界を超えた。それを魔王フロロメに全力をぶつけた。


「馬鹿なああああ」


 こうして俺はかつて捨てた仲間と引き換えに手に入れた力で魔王フロロメに勝利したのだった。


「ライズ、遂に俺たちはまだ見ぬ現実という世界にいくことになったぞ」


「さっきの衝撃で私とアート以外全員消えちゃったね」


「でもこれで現実とやらに遂にいける」




 魔王を倒すと辺りは光に包まれ、遊園地のような空間の場所に転移した。


「どうしたライズ?」


 ふとふり向くと、ライズの様子がおかしかった。


「すまないアート、私は実は現実世界の住民なんだ。いわゆる転生者ってやつだ」


「どういうことだ?」


「やっと私は現実世界に帰れたのだ。アートの目の前にいる私はライズとは瓜二つの存在だ」


「な、なんだと?」


「ここはどこかわかる?」


「わからん?」


「転移するはざまの場所、私ライズの転生者としての能力は、神器をもって魔王フロロメを倒すことでこの世界と現実を全てをつなぐ役割があるんだよ」


「それが魔王フロロメを倒した時に起動する魔法の答えか」


「そうそう、だから私はずっとあなたをここに来るように導いていたの」


「過去を思い返せば、そういえばそんな感じだったな。幻想世界の情景を見たいとかライズがいいだして、不思議とここを訪れることになったんだ。でもどうしてこうなった」


「どうしてとは」


「俺はあのライズが語った情景を聞いた瞬間から頭の中に認識できる空間を思い浮かべた。その世界の中ではこんなことになるはずではなかったのだ。あのワクワク感を返して欲しい。あの映像から織りなす最高の物語、それを今の俺なら創り出すことが出来る、そう確信していた。だけど俺が体験した冒険者としての物語は他人を追放し汚い手を染めて、ようやくたどりついたというものだった」


「そうなった感想はどう?」


「深く沈んでいく感覚だったよ」


「じゃあ、もう一度やり直してみない」


「そんなことができるのか?」


「できるよ。現実世界に戻れば君は新たな存在として生まれ変わるんだ」


「その提案乗った、魔王を倒し英雄となった俺は第二の人生を現実とやらで過ごす」


「じゃあ、よろしくね」


「沈んでいく、深海に沈んでいくのに、いまだにライズの加護を感じるのである」


 ライズの加護はアートの全てを飲み込んで現実世界へ転送した。


 その時の動力源はα、β、γ、Ωの4つの神器だった。


 現実世界に転移したアートは自らを違う世界の英雄と名乗るも誰も信じてくれなかった。









 それから親切な人に拾われたアートは、そこでスローライフを送って、安心して寿命を迎えたのである。彼の墓にはかれがずっと身に着けていたとされる4つの神器がそなえられた。それは液状化して、解けていったのである。


「あーあ、アートは寿命になったか。私は異世界にいたままだから寿命の流れは違うからまだ生きてられたけど、これは彼なりに第二の余生を過ごせてよかったともいえるのかな」


「ライズ様、アートの神器を4つ現実に転送し終えました」


「ふむ、これで準備は整ったね」


「はいそうですね」


「私も決めたんだ。アートのように満足した最期を迎えるって」


「行ってしまわれるのですか」


「うん、私も現実世界に戻るとしよう。そこで遺伝子操作で現実世界に非日常をもたらすとどうなるかちょっと見てみたいかも」


「そんなことに何の意味が」


「あの神器は嫌いだからね。α、β、γ、Ω、これらを集めるためにアートの冒険者としての生活は破綻したんだよ。私の理想にのってくれたとはいえ、これらのアイテムは入手難易度が高すぎだ」


「それは神器ですからね」


「だからα、β、γ、Ωの彼らに人々と同じ体験をしてもらおう。これで彼らも私たちが体験した痛みを味わってくれるはずさ」


「そんな方法があったとは驚きです」


「じゃあ私は現実世界にいって、神器に体験を持ってもらうための、システムつくりをする組織を作るとするよ」


「それはどんな名前なんですか」


「そのままライズかな」


 こうしてライズは自らの名を冠するライズを創立した。


 そしてアートの能力を神器に接することで、プログラムウイルスの基盤を完成させたのである。


「それじゃあ、私はもう寿命みたいだ、後のことは後任の君たちに任せるとするよ」


「任せてください!」


 その代の中に、ナノの前任のボスがいたのであった。


 つまり違う世界の英雄と、ナノの前任のボスが言っていた転生体とはアートのことであったのだ。






「どう? 穂美香さんは逝ってしまわれたけど今のNo1でやっていける羅琉」


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