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第49話 全てが元通りに

ああ、これでもう全部終わりだ。


 ビルから身を投げ出した。全てから解放される。


「一緒に来て礼。いやなことも悪いことも全部忘れて、夢の中で理想を描くよ」


「穂美香? どうしてここに」


「私は礼がαから解放されるのを待っていた。バーチャル世界で一緒に過ごしましょう」


「もういいよ。僕は無だ」


「それは逃げてるだけだよ。進まないと先はない」


「でももう心が虚無なんだ」


「そういうのは自然と治るものなの。自然と治った先の世界であらたな活力がうまれるはずよ」


 穂美香の言葉を聞いた僕は、昔の穂美香にライズであった時の約束を思い出した。


「さっきは助けてくれてありがとう今度は穂美香が礼を助けるね」


「いいよ別にそんなことしなくて」


 ああ、そういえば俺は学校で能力が高すぎていじめられてる穂美香を助けったんだっけ。あの時穂美香は僕を助けるって言ってくれて。


「思い出した、私はずっとあなたを助けるつもりで動いてた。αウイルスを消す方法を」


「僕に仲間なんていないさ、春樹君とは違って敵キャラだからね」


「最初は何もない状態から始まるのよ。私もそうだった。先が見えない学校生活、そんな時に礼が手を差し伸べてくれたんだ。だからつぎは私があなたに手を差し伸べるわ」


「それは喜ばしいことだね。ただ才能のあるものが、脚を引っ張られて朽ちていくのを受け入れられなかっただけなんだけど、それが結果的に自分を救うことになったわけか」


「でもそれは仕方がないじゃない。能力は生まれた段階でほぼ基礎値が決まる。誰もが天才を羨むのよ。あなたもないものは欲しいでしょ?」


「でもいったいどうしてこんなことに」


「これは概念みたいなものよ。本来自然界では争い勝たなければ、生き残れない。だから力を欲するのよ」


「そんなこと間違ってる。なんで競わないといけないんだよ。どう考えても時代遅れだ」


「そうだね現実はそういうものよ。だから私たちは今からゲームの世界で一緒に理想郷を築くのよ」


「悪くない気がしてきた」


「GAME CREAR」


 Ωウイルスは遂に国城穂美香とライズのメンバーが維持したクオリアヘイズと同時期、琴音沙月がライズの前任ボスのプログラムを破壊したことで消滅した。同時にαとβ、γウイルスも消滅して、国城穂美香のクオリアヘイズの次の機能が発動。ゲームの閉じ込められた人がふるいにかけながら復活するのだった。









「現実世界はどうだった礼?」


「うーん悪くなかったよ色々と刺激的だった」


「ふーん、ライズでの生活は何点?」


「うーん、50点くらいかな。ちなみに100点はΩウイルスを使った瞬間」


「なーに? 私との日常より自分の理想をかなえた瞬間の方がポイント高いの?」


「いや穂美香と過ごした時間は90点だよ。でもライズの方針は嫌いだから減点。それにΩウイルスが100点で文句ないだろ。あの超常的な雰囲気とスケールのでかさが段違いで、滅多にお目にかかれない最高傑作さ」


「まあ私が破壊したんだけどね。つまり90点の私が礼の一番ってことね」


「まあ、今はそういうことになるね」


「じゃあ、私たちはVR世界で一緒に永遠と旅をしましょう」


「それも悪くないな」














「やっと終わりましたね」


「ええ、まさか穂美香もαと一緒に落ちていくなんて」


「でも消えてなかったかしら?」


「おそらくゲームの世界に移ったんだと思う。彼女にも思うことがあったんでしょうね」


「さあて、全部終わりましたし、今日はもう帰りますか」


「今日は里音先輩の家で打ち上げよ!」


「なんで私の家になるのよ」


「先輩の家が一番、落ち着くんですもん」


「はあ、分かったわ。それでいきましょう」




 翌日。


「おい、春樹何してるんだよ」


 普段と変わらない教室に俺はいる。


「え? あ、ああ、ごめん、頭が回ってなかったみたい」


「おいおい、勘弁してくれ、テスト勉強に備えるんだろ? 瑠美ちゃんと約束してたじゃないか、だから道安先輩から過去問をもらってきたんだろ」


「そうだテスト勉強だ! えっとどうやっていくんだ?」


「テスト勉強に大事なのは要点を抑えることだ」


「その要点を抑えるには瑠美ちゃんの情報網が一番だからな!」


「瑠美ちゃんの情報網か。今は誰が一番鋭いんだ」


「真紀ちゃんがいいらしいぜ」


「真紀ちゃんか!」


 この時全てが戻ったことに気づき安堵するのだった。


「やっと日常に戻れた」


「うん? どうした春樹?」


「なんでもねえよ。ちょっと用事を思い出したわ」


「ああ、分かった。今度里音先輩も誘っておくぜ」


「よろしく頼むわ」


 一目散に駆け出した。向かう先はあれだけ忌み嫌っていた、エリート校近くの公園である。


「もう、二度とこの場所にはこないだろうと一時は思っていたんだがな」


 今は希望をもってその場にいる。


「春樹君!」


「麗美!?」


「今日は一人なの?」


「うん、そう、一緒に帰ろ?」


「勿論だ」


 ゲームが現実になる。そんな非日常は忘れ難い経験であった。でも今俺の日常は戻った。あの非日常は嘘のように全てが元に戻ったのである。



「面白かった、続きが読みたい!」


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