第42話 ダンジョンが現実に出現した
「はあ、みなさん自分の立場分かってるんですか?」
「なんだと」
「皆さんもご存じの通りΩウイルス破壊の際にゲーム世界に閉じ込められた人を救うためのふるいのプログラムが作動します。私はこのふるいのプログラム発動時この対策事務局にもかけることができます。つまりΩウイルスの対策をしない人物は、ふるい発動時ゲーム世界に閉じ込められるということです」
「そ、そんな馬鹿なことが!」
「ふざけるな俺たちの命を何だと思っているんだ」
おうおう、荒れてる荒れてる。
「お分かりいただけましたか? 私はみなさんの引き金を引く権限を持っています。これ以上私の意にそぐわないことをするなら、わたしはこの引き金をいつでも引けますので」
「……」
さあ、満場一致といったところかしら。でも強制的に従わせるのは生産性が落ちるからもう一押し欲しいところだけど。うん?
「じゃあ、引けばいいじゃないの」
「なんですって羅琉」
羅琉はライズのNo.2である。まさかここで反対意見をぶつけてくるとは面倒な。
「わたしは難しいことは分かりません穂美香さん。でもこれは間違っています。わたしは礼のことをずっとみていたんです」
ああ、なるほどね。ライズ時代の礼に思い入れがあるパターンか。
「どうして礼がライズを抜けたのか、それは明確な方針の違いを感じ取ったからです。ならば私はその意思を尊重してあげたい。このように各々には意思というものがあり、各意思は尊重されるもの、穂美香のように縛って拘束するのは間違っています!」
「わたしがみんなを拘束している? 言いがかりだわ。そもそもΩウイルスの膨張を止めるのに意思もなにもない、参加は必須でしょ。この機になってマイペースでいるお前らを私はズレていると言っているのよ!」
「……」
羅琉は頭脳派で能力高いが極度の平和主義である。それでいてNo2だから質が悪い。No1の私がこれくらい強く結わないとこの組織は動かない。
「でも羅琉の言う通り、俺たちの実力を持ってしてもアレを止めるのは至難の業だ。むしろ壊滅なんてこともあり得る」
ああ、なるほどね。どこまでも確信がないと動けない。のろまどもだったわ。やっぱり用意はいくらでもしておくべきだわね。
「大丈夫よみんなには、この国城穂美香ちゃんがついてるわ。私は現ライズNo1で全てを勝利に導く女神だものこのプログラムを見なさい」
私は切り札を切った。
「こ、これはクオリアヘイズ、こんなものを作り上げていたのか」
無限に膨張するΩウイルスに対抗するには、刺激を受けることで無限に反発するプログラムを作ればいい。それこそこのクオリアヘイズ、これが作戦成功の鍵となる。
「クオリアヘイズの維持にはみんなの維持プログラムの技術が必要なの。よろしくね」
「賛同、賛同、賛同」
すっごい掌返しで笑えるんだけど。結局実力で分からせるのが一番だわ。
国城穂美香により満場一致でライズの残存天才ハッカーたちはΩウイルス無効化に動き出すのだった。
「はあ、はあ、はあ」
「どうした? レベル100スキルの使い過ぎで消耗しているようだけど? お得意のヒールでダメージはないんじゃなかったのかな?」
「ふん、レベル100スキル「スタミナヒール」」
「なんでもありかよ」
「これで持久戦にも対応できる」
「はっはっはっ、やっぱり春樹君を倒すには普通のやり方じゃダメみたいだね」
「その言い方だと、他に秘策があるのか?」
「ああ、何も僕の攻撃方法は物体をぶつけるだけじゃない。Ωウイルスを僕は操っているんだぞ。拡大機能を使えばこういうこともできる」
「なんだこれ? スケールが一気に変わったのか…」
αはダンジョンを出現させた。
「ははははは、Ωを合わせたαの力はダンジョンすら生み出せるのさ。このダンジョンにはMMOゲームで消えた精神世界の怨霊が漂っていてね。精神を浸食することができる。僕は君が普通の高校生と知っているからね。このダンジョンに耐えられるかな」
「そんなダンジョンレベル100爆発スキルを使って一瞬で壊してやるよ」
「もう遅いよ」
「はっ」
俺はαが作り出したダンジョンの中に転移していた
「こ、ここはどこなのよ」
「里音先輩と夏菜も。そんなにスケールが大きい攻撃だったのか」
αによって俺たちは突如出現したダンジョンに閉じ込められた。
「どうやら私たちはαの作りだしたダンジョンに閉じ込められてしまったようね」




