第40話 最終決戦
「Ωウイルスプログラム?」
「ああ、そのプログラムを使ってこの都市全体を覆う仮想領域を展開するんだ」
「学校のスケールが更にでかくなってるじゃない」
「Ωウイルスプログラムは従来の仮想領域とは拡散能力が桁違いだからね。この規模の仮想領域を作り出すことが出来るみたい」
「なるほどね、つまりこれまでのαの数々の仮想領域の悪行はこのΩウイルスプログラムの実験だったというわけか」
「正解! Ωウイルスプログラムの着想は実際に大規模な仮想領域を生み出さないと思いつかないからね。度重なる実験の結果、遂に完成にたどり着いたといえる」
「じゃあ、俺たちがこれまで散々あいつの実験に振り回されてきたってことかゆるせねえ」
「あいつがクズなのはわかってたけど、改めてムカつくわね!」
「でもなんで都市に仮想領域を展開して何がしたいのかな?」
「Ωウイルスはね、さっきも言ったようにその拡散力が半端じゃないんだよ。つまりどういうことかっていうと、一度展開すると周囲の物体に触れるごとに膨張し続ける」
「そんなことって!」
「気づいたようだね。αは全てをゲームの世界で包み込んで自分の理想郷を創り出したいと思っているようなんだ。イカれてて面白いだろ? 私笑っちゃったよ」
「いや、笑い事じゃないわよ。そんなこと許されるわけないわ」
「そうだ、αの奴を直ぐに捕まえに行かないと」
「まさに由愛が言っていた運命が今来ようとしているのね。αの奴はしっかりとナノの意思を引き継いでいる。だけどそれを覆すのが由愛から力を託された私の役割」
「いい感じにそれぞれの決意も固まってきたようだね。早速私のドローンが礼君の位置座標を特定したみたいだよ。今からみんなをそこに転送するけど、準備は出来てる」
「勿論だわ!」
「ええ」
「大丈夫だ!」
「それじゃあ、みなさん! いってらっしゃーい!」
俺たちは国城穂美香の転送装置によってαの元に転送された。
「ここはビルの屋上?」
俺たちが転送されたのは大都市の高層ビルの屋上である。
「寒いんですけど」
上空数百mに俺たちはいる。激しい冷風に体がきしむのが分かる。
「きたわよ」
正面には1人の男子高校生が佇んでいた。
「やっぱり君たちが来たか。どーせ穂美香の奴が僕の位置座標を掴んでるだろうし、こうなることは分かっていた。だからこっちから君たちを待っててやったってことさ」
「随分と余裕があるのねα、こっちは万全の準備をしてここに来たのよ」
「内村礼いやαやっとお前をこの手でお前をぶっ飛ばせるよ。麗美のことは忘れてないからな」
「優戸のことだって許さないんだから」
因縁の相手を前に俺たちは戦闘態勢に入る。
「はっはっは、誰がどうとか、過去がどうとか、自分たちが優位だとか、君たちも穂美香もいちいち言ってることが小さいんだよね。僕はただαの意思に従っているだけ」
「αの意思って何のことだよ?」
「これはそこのβとも散々話したんだけどね」
「自立したウイルスプログラムの意思についてでしょ? つくづくくだらないわね。ウイルスに意思なんてない。使用者がウイルスに自分の信念を乗せてこそ意味があるわ」
「ああ、知ってる、知ってる、君とは分かり合えないことくらいわかってるさ。αウイルスプログラムの意思はただ純粋なる存在誇示、自分がどこまで大きな存在になれるか、ただ誇示をしたいのさ。僕はただこの崇高のαの意思に従っているに過ぎない。そして遂に今日その計画が実行される」
「Ωウイルス、無限に膨張し続ける仮想領域、どこまでそのαとやらは承認欲求が強いのよ!」
「あっはははは、君面白いことをいうね。流石βと春樹君に最後までついていっただけのことはある」
「そんなΩをこの局面で起動させると思う?」
「思わないよ。だからもう起動しちゃった」
「嘘!」
雲と霧にかかった高層ビルの屋上がαが放った、風圧によって一気に晴れる。
外の光景は全てがVRMMOのファンタジー世界で包まれていた。
「あ、念のためだけど春樹君のステータスが反映できないように、違うゲームのプログラムを拡大しておいたよ。いまにでもΩウイルスプログラムは増大して、全てはゲームの世界に包まれる。ああ、すご、もう満足だわ、この光景を生み出せただけで最高の気分だ」
「そう、じゃあ満足お疲れ様。安心してそのまま眠ってどうぞ」
里音先輩は仮想領域を生み出した。
「GAME START」
「まあそうなるよね。βの君が能力を使えば、MMO世界が展開され、これで春樹君のステータスがレベル100なるわけか」
「さて、布陣は整ったわね。後は春樹に頼むわ」
「やっちゃいなさい! 春樹!」
「おう、任せとけ」
俺はレベル100スキルを無数に展開した。
「かかってこいよ! 春樹! これがラストバトルだ!」




