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SR満州戦記4  作者: 異不丸
巻末附録:LS兵隊戦史
32/32

LS兵隊戦史第二部「北方連隊」


【小説情報】--------------------------


ジャンル:歴史(文芸)


作者:異不丸


あらすじ:

 昭和一七年、帝国陸軍は軍制改革の途上にあった。前年の日支和平と日米融和を受けて人員は半減、師団数は半分以下となる。予算も削減された。陸軍の第一目的は帝国本土防衛とされ、防衛総軍が陸上戦力と航空戦力を一元的に指揮することとなった。

 数多の島嶼に戦力を緊急展開できる様に、島嶼連隊と支援部隊が整備された。敵勢力の侵攻根拠地へ長躯攻撃するために南方連隊も整備される。島嶼連隊三個と南方連隊三個の編制は完結し、数度の演習も完了した。南方連隊の一部は仏印に出動中だ。

 そして、満州に駐留する関東軍の数個連隊が北方連隊への改編中だった。大陸での戦闘に特化した北方連隊は、欧州大戦での戦訓が取り入れられた。荒涼・厳寒と長距離・長射程の課題を解決するために、兵器体系は独自のものが採用される。三式あるいは四式で制式化される兵器、その大半が北方連隊向けであった。

 しかし、満ソ国境では新式兵器の到着を待っていられない。しばらく静謐だった国境が、朝鮮分離を機に一気に不穏となったのだ。兵隊たちは訓練と演習だけでなく、国境紛争や暴動にも出動せざるを得ない。


 満州の冬。国境に配置された兵隊は緊張の中にあった。



※世界設定は、LN東條戦記第1部~第3部の延長上にあります。

※推敲は縦書き三〇字で行なっています。


キーワード:

 架空戦記、昭和、東條英機、地味、大日本帝国、陸軍、機動連隊、軍隊、馬賊、満州




【陸軍編制】--------------------------


■陸軍師団


【大日本帝国陸軍師団一覧】


師団号|通称|編制地|歩兵連隊号|特記


近衛|宮|東京|Gi1,2,3|東部軍

近衛第2|仏|東京|Gi4,Gi5,Ti1|南方連隊(Gi5)

第1|玉|東京|i1,i49,i57|関東総軍

第2|勇|仙台|i4,i29,i16|東部軍

第3|幸|名古屋|i6,i34,i68|関東総軍

第4|淀|大阪|i8,i37,i61|中部軍

第5|鯉|広島|i11,i21,i42|西部軍、南方連隊(i11)

第6|明|熊本|i13,i23,i45|関東総軍

第7|熊|旭川|i26,i27,i28|北部軍

第8|杉|弘前|i5,i17,i31|関東総軍

第9|武|金沢|i7,i19,i35|関東総軍

第10|鉄|姫路|i10,i39,i63|関東総軍

第11|錦|善通寺|i12,i43,i44|関東総軍

第12|剣|小倉|i24,i46,i48|関東総軍

第13|鏡|仙台|i104,i65,i116|関東総軍

第14|照|宇都宮|i2,i15,i59|関東総軍

第15|祭|名古屋・京都|i60,i51,i67|関東総軍

第16|垣|京都|i9,i20,i33|関東総軍

第17|月|姫路|i54,i53,i81|関東総軍

第18|菊|久留米|i55,i56,i114|西部軍、南方連隊(i55)




【欧州大戦年表】--------------------------


1939年(昭和一四年)

 9月 1日独軍が波蘭に侵攻。

3日英仏が独国に宣戦布告。

米国大統領が中立を声明。

英客船アセニア号が雷撃を受ける。

4日日本が中立を表明。

米海軍が大西洋で中立パトロールを開始。

5日米国が中立を公式宣言。

7日仏軍がザール攻勢。

   15日ノモンハンの日ソ両軍が停戦。

   16日仏軍、独領より撤退。

   17日ソ軍が波蘭に侵攻。

   18日波蘭首脳部が降伏せずに脱出。

   28日独ソ境界友好条約が締結、波蘭分割。


10月 1日独ソ軍が波蘭全土を制圧。

2日パナマ宣言。米海軍が南北米大陸周辺海域を哨戒。

   10日英国首相が独国の和平提案を拒否。

バルト3国がソ連の勢力圏となる。

11月 4日




【一 日ソ総合対話会議】--------------------------


ハバロフスク


佐藤尚武大使と白鳥次官。佐藤大使は飛行機嫌いを理由にモスクワからシベリア鉄道で来た。もちろん嘘で、目的はシベリア鉄道を観察することだ。複線化がどこまで進んでいるのか。車両の駐機場はどのあたりで、機関車が多いのか。その他、乗客の内容や貨物の中身など。

モスクワからは米大使館の外交官も同行、英国は拒否された。他にモスクワからモトロフ外相。

・北満州油田の石油をウラジオ経由ではなく、満州里経由で輸入したい

・満ソ国境での度々のソ連軍進入、国境侵犯の非難、防止策

・朝鮮への武器搬入、ソ連軍事顧問その他の禁止など

・北サハリン油田の権利譲渡の白紙

・満州、日本からのトラック、食料、民生品の輸出増加

・第2シベリア鉄道への出資

・ウラジオの非武装化

・カムチャッカ半島の購入

・越境捕虜の扱い、日本が送り返してソ連が処刑すれば、次回はソ連兵は捕まらないように抵抗が大きくなる。善処して欲しい

それはできません、軍紀がある

 →最終章でしっぺ返し。その侵入者(日本兵)なら軍規に反したので処刑しました。


ソ連にとって、日本が満州から手を引いたのはいいことだった。しかし、いいことづくめでもない。満州のことを話すのに、日本だけを相手ですんだ以前と違って、今はまず満州そして米国・日本と相手が三カ国になった。4カ国協議の中で、ソ連は常に1:3の不利であった。ソ連外交の前線で、祖国の戦略は成功したのだろうかと疑わずにはいられない。



ソ連の隣は日本である。

これを米国に理解させるには、ソ連の隣の満州に関わることが手っ取り早い



もともと北海からの支援を不安視して、日本のご機嫌とりを始めたが、これが当たった。

今、ソ連は米国からの支援を北太平洋、すなわち日本の近海からに頼っている。

だから、日本海軍はおもしろくない。


試製四式戦車をはじめ新兵器がソ連軍の護衛を突破した芬蘭軍に強奪されたという。




【一 大日本帝国】--------------------------


 帝都東京の総理官邸には東条内閣の閣僚たちが集まっていた。総力戦研究所による内外情勢の説明会である。閣内統一を保つためには、情報共有だけでなく、解釈一致も欠かせない。今朝は、欧州大戦の昨年の経過が説明されていた。


 1942年夏に米国が連合国として参戦したにもかかわらず、欧州の戦況に劇的な変化はなかった。むしろ、劇的な変化がなかったことが、米国参戦の影響だったのかもしれない。それほどまでに枢軸国に優位な地勢的変動や戦略的変遷が、その年には続いた。例えば。

 枢軸国の弱点は石油燃料問題だと大戦のはじめからみられていた。枢軸陣営にはルーマニア油田しかない。人造石油の大規模プラントを持つドイツも、同盟国にまで分配できる余裕はないとされた。

 ところが、6月にイタリア領リビアで大規模油田が発見された。続いてフランス領アルジェリアにも油田の存在が確認された。両者を合わせると、枢軸国すべてを補って余りある。しかも、フランスの地中海沿岸には世界的規模の精油所があった。

 一方で、ソ連が持つ世界規模のバクー大油田は、その夏の枢軸軍の爆撃で灰燼となった。いまだに全面鎮火にいたってない。大産油国ソ連は、一夜にして石油輸入国に転落した。


 総研第二別班の班員が、要点を強調する。

「ドイツは自陣営の弱点を克服した上で、さらにソ連の優位を排除したのです。彼らは石油の戦略的価値を正しく理解しています」

 一段落と解した閣僚の一人が意見を述べた。

「鎮火ができないとはおかしいのじゃないか?」

「独空軍が投下した爆弾の30%は時限信管です。それも数十日から数ヶ月。鎮火に成功したとしても、精油所の心臓部である水素発生装置は破壊されています。英空軍によって」

「あの国のやり方はあれだな、容赦がない。わが国も見習いたいものだ」

「精油所の心臓部だけを破壊するとはたいしたものだな。独空軍はどこを狙ったのだ」

「英空軍は数年前から作戦案を練っていました。バクーの油井も精油所も英資本が入っていますからね。一方、独空軍の爆撃は先次大戦の情報を基にしたと」

「ソ連が英国の同盟国になったのは昨年の6月からですからね。そういうことでしょう」

「なるほど。すると、王立空軍は東京爆撃の素案ぐらいは持っているな」

「どこから出撃するのです。長距離爆撃機とて行程は三千キロ、マレーやブルネイからでは往復できない」

「フィリピンだろう。米国に基地を借りるのじゃないか。下手をすると、英米両空軍の爆撃機が来る」

「いや、ソ連沿海州、ウラジオじゃないかな。この目的のためだけに同盟を結びかねん。そういう国だ」

「振り返ると、帝国も危ない橋を渡ろうとしていたのですね。敵は選ぶものだ」

「選ぶべきは敵だけでなく、味方もです」

 東條首相の言葉に、出席の閣僚全員が頷いた。



 首相の目配せを受けて、星野官房長官が素早く動く。帝都機能の戦時移設案に閣僚の署名を受けるのだ。移設先は長野県某山中の地下壕とあった。

 全閣僚の署名の間、休憩となった。署名を終わった閣僚は、筆と硯を次の大臣に渡して一服する。情勢報告に来た総研の所員と雑談を交わすものもいる。

「松岡さん、よくまとめてありますが、少し情報が古くありませんか?」

「はい。この報告書は議会に提出されます。広く国民に公開されるのが前提ですから、確認作業もあって、古いものになります」

 公開と聞いて、何人かの閣僚がぎょっとして振り向く。

「あ、公開されるのは報告書です。閣議での発言ではありません」

 それを聞いてほっとした一人に海軍大臣の豊田副武大将もいた。



 休憩が終わると、東條首相の指示を受けて、総力戦研究所第二別班幹事の松岡洋右は次の報告を開始した。

「欧州大戦の戦場で大規模な作戦が行なわれたのは、独ソ正面の東部戦線だけです。枢軸軍南方軍集団による夏季攻勢はグラウ、灰色作戦です」

「はい。大規模と言えば、北極海、正確にはノルウェー海でしょうが、ソ連への支援物資を載せた米英艦隊と迎撃した独海空軍の海戦です」

「海相、空中戦も海戦ですか」

「あたりまえだ。」



 つまり、石油と兵站、二つの要を抑える位置にあるのが大日本帝国だった。前年の日米融和で

日本が連合国に参加したわけではなかった。

米国もソ連も、大日本帝国に関心を持たざるをえない。そして、枢軸国の独逸もまた、日本に関心を持つ必然があった。



 独逸は、イタリア海軍艦艇を地中海で全力出動させるために、1942年夏季攻勢を極めて限定的なものとした。石油を得た自陣営の優位を保つために、敵陣英の石油を根絶しようとしたのだ。そのため、東部戦線では枢軸軍北方・中央・南方の三つの軍集団のうち、積極的に動いたのは南方軍集団だけであった。1942年を通じて。



「迂遠だな、その話は聞き飽きたよ」

「そう。君はすでに結論を言っている。そこからでいいじゃないか」

「今の話だ。今時点で予測される重大事項は何かね?」


「独逸は長期戦を覚悟したのかもしれません」

「ほう。人と油を解決したというのか」


ロス中佐を第2艦隊に引き抜くにあたって、

スプールアンスは海軍情報部や通信部隊などに長い。ハルゼーとは駆逐艦長時代からの古いつきあいで、もう20年にもなる。そのスプルアンスがロスを推薦した。





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