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第1話 変化する日常




「ああ、クソがここまでかよ」

俺は口元に付いた血を右手で拭う。

「高々人間が、神に戦いを挑み勝てるとでも、愚かにもほどがある」

神は笑いながら、剣先を真上に向ける。


「そうだな。今回は俺の負けだ」

そう。今ここで神に勝つ必要はない。


「だが、次会う時は俺がお前を殺す」

「次……だと。何を言ってるのだ」

神は不思議そうにそう言い、俺にとどめを刺した。



『コンティニューしますか?』

俺に聞き飽きた声が問いかけてくる。


「ああ、やりなおす」

俺は必ず神を殺す。そして、ここからでる。




◆◆◆◆◆◆◆◆




俺は高校に通っている高校生。特に目立つ生徒ではなく。成績もクラスで真ん中、運動も平均程度で可もなく不可もなく。そんなごく普通の学校生活を送っていた。


そんな俺の趣味はゲーム。

スマホゲームからパソコンゲーム、家庭用ゲーム機など種類やジャンルは問わず幅広いゲームをやって来た。

ちなみに、eスポーツの大会にも何回か出場し、優勝経験もある。


今日も新作のゲームソフトを買うためにバイトで貯めたお金を下ろし家電量販店に来ている。

ネット販売でダウンロードするのも楽でいいが、やはりマニアとしては現地で箱ごと買いたいのだ。


『本日限定残り一本』

そんな立て札を見つけてしまう。

俺はそのゲームソフトを手に取る。


「こんなゲームあったけ?」

様々なゲームを知り尽くした俺でも見たことないゲーム。

タイトルは『アンリミット・ライフ』

ケースには冒険物の絵が描かれており、俺は気に入ってすぐにレジに行く。


7200円。

最近は消費税も上がり値段が高く感じるが、ゲーマーとしては大して気にならない。



「早速やるか!」

と、行きたい所だが、俺には寄る場所がある。

俺は角を右に曲がり、いつもの花屋でカーネーションを買ったあと立花たちばな総合病院を訪れる。


「お待たせ具合はどうだい?」

俺は病室のカーテンをそっと開け、テレビを見ている妹に話しかける。

「お兄ちゃん。大丈夫だよ心配症なんだから」

妹の琴吹結衣ことぶきゆいはそう言って俺を安心させる。年齢は7歳。俺とは10歳近く歳が離れている。

妹は生まれながらに心臓が悪く、入院と退院を繰り返している。

学校が終わると毎日お見舞いに行くのは俺の日課だ。


「また新しいゲーム買ったの?」

「ああ、これ? 今回も面白そうなのがあって」


「退院したら一緒にやろうな」

「うん。早く治すよ。約束!」

結衣は俺に小指を出す。俺はそれに答えるように小指を結ぶ。

「指切りげんまん 噓ついたらゲームは一生しない」

ひどいな……ゲームを禁止されたら俺は生きる意味を失ってしまうのに。

でも、たった一人の家族なのだ。

ゲームと妹ならば妹を選ぶ。


「わかったよ。ほら、先生来たぞ」

病室の扉が開き医師が入ってくる。

「また明日来るよ」

俺は結衣にそう言って、先生に軽く会釈して入れ替わるように病室を出る。



「元気そうで安心した」

大掛かりな手術が終わったばかりで不安だったが、体調は安定しており数値も問題ないらしい。



◆◆◆◆◆◆◆◆



「さて、やりますか」

俺はカップヌードルのゴミを捨て、今日買ったゲームのソフトを開封する。

しかし、カセットの形は今まで見たことないものだった。

「なんだこれ? 見たことないタイプだ……」

専用のゲーム機がいるのだろうか。


俺はスマホの電源をつけネットで『アンリミット・ライフ』と検索してみる。

「ないな……」

インターネットにはそんなゲームタイトルは載っておらず、俺は少し戸惑ってしまう。

「電話……」

俺は購入した家電量販店の店長に聞いてみることにする。

店長さんとは顔なじみでゲーム友達だが、時刻は深夜1時。知り合いと言っても迷惑だろう。

「眠いな……」

俺はスマホの電源を切り、寝ることにする。

明日は日直。いつもより早起きしなければならない。

俺は下に落ちている枕を取って眠りについた。




「ねえ、起きて」

「……」

琴吹奏介ことぶきそうすけ君。起きてーー」

「う、うう。誰だ?」

時刻は3時を回った所だろうか。俺は誰かに肩を揺らされ右目を少しだけ開ける。

「結衣……?」

俺の顔を覗き込む少女は結衣にとても似ていた。


「お前誰だ!」

俺は眠りが覚め驚いて少女と距離を取る。


「そんなに驚かないでよ。私は……うーん……」

少女は少し悩ん後、口元に笑みを浮かべ答える。

「天使」


「天使? 天使が俺になんの用だ?」

俺はまだ夢を見ているのだろうか。どことなく結衣に似ているが、髪は金髪で服は俺の高校の女子制服を着ている。

学校にこんな派手な髪の生徒はいなかったはずだ。


「君は選ばれたんだよ」

「選ばれた?」

俺はまだ状況を飲み込めていない。


「そう。じゃあ行こうか」

彼女の背中から翼が生え俺はその白く美しい翼に包まれた。












 





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