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短いです。
あれから我が家の主治医の診察を受けたが特に悪いところは無く、取り敢えず安静にするようにと診断された。
急いで帰宅してくれた叔父もお医者様の診断結果に一安心すると、自室で寝ている私の頭を何度も撫でてから部屋を出て行った。
だけど部屋を出る瞬間に険しい顔に切替るのを見てしまった私の背筋がヒュンと冷たくなる。
家ではいつも柔和な叔父の怒った顔を見たのは何年ぶりだろう。
恐らく今日の騒ぎに関して対応をするのだろうと思うけど、綺麗な顔している人が怒ると本当に怖い。
これから治癒魔法士のクインがどうなるのか非常に気になるところだけど……
今は大人しく寝ているのが正解。
ベッドから抜け出したところを見つかったら、暫くは監視付きで部屋に軟禁されそうだ。
それにしても……
クインは結局何をしたかったのかしら?
途中まではいつもと同じ治癒魔法だった。
普段は太陽の日差しを浴びたような暖かさしか感じないはずの魔法が突然「熱砂の砂漠」にいるような状態にまでなるなんて、あのまま続けていたら呼吸ができずに窒息死なんてことになってたかも……
自分を卑下するわけではないが、引き篭もりに近い傷物令嬢である。
私自身に何かする価値があるわけでもないし、ある程度の地位や生活を保障されている治癒魔法士の待遇を捨ててまで私に害を為す理由が思いつかない。
あるとすれば……
叔父様のお仕事絡みか、恋愛事情かしら?
あの若さで、あの容姿、独身で有り余る財産。
本人は姪と甥が落ち着くまでは結婚はしないと公言しているから、叔父様狙いの女性達にとって私と弟は邪魔だろう。
弟は後10年もすれば成人を迎え、それほど将来に心配はないが私は違う。
きっと嫁の貰い手も無いだろうから、居座る可能性が高い。
修道院へ送る方法もあるが、叔父のことだから私から行きたいと言い出しても阻止するのが目に見えている。
ならば手っ取り早く……ってことかな?
可愛い姪っ子を亡くした傷心の叔父様に近づくのがチャンスと捉える人もいるかもしれない。
そう考えると怖いな……
でも、クインから解放されたら直ぐに体調は元に戻ってきたし、私がエマに助けを求めなくても遅かれ早かれ直ぐに二人は気づいただろう。
あのやり方よりも、近くに寄った際にナイフで一突きの方法が確実よね。
うーん、有り得そうだけど想像の域を出ない。
実行犯が捕まれば依頼主にも直ぐに辿り着くような、わざわざそんな方法を治癒魔法士に行わせるなんて、リスク高すぎて有り得ない気がする。
と、なると……って、あぁ、もう……キリがない!
結局いろいろ考えを巡らせても、クイン本人の話を聞かない限り謎は解けないじゃない!
はぁ……もう寝よう……
考えることに疲れた私は目を閉じた。
目を閉じても頭の中でグルグルと考えが巡っていたが昼間の騒動の疲れもあったため、いつの間にか直ぐに眠りに落ちてしまった。
そして翌朝、私は衝撃の事実を知ることになる。
拙い文章を最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
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