ひまわり編・7話
ひまわり編7話です。
可哀想すぎて言葉が出ません。by作者
ナセ「見て、朱華!この子には変身能力があるわ!」
朱華「ああ、そのようだな」
母と父…朱華がそう言ったのは僕が5歳を迎えたばかりの頃だった。
妹が変身の魔法を使うことが出来ると分かった。
妹は変身能力があったからか、僕と比べて親からの扱いが温かかった。
__それからしばらく経ったある日。
僕は少しお腹が空いて、何か食べ物を取りに行こうと調理場へ向かっていた。
何を食べよう…。
ぼーっと考えながら、廊下を歩いて行く。
「ああ、ひまわり様」
すると、前からメイドがやって来た。
うげ…
僕はメイドたちも嫌いだ。
何故なら、
「ひまわり様、どうか私に…」
…王族の遺伝子を欲しがる輩がいるからだ。
王族は夢魔間で繁殖出来る能力を持っている。王族の他にも居るが、夢魔達はやはり王族の遺伝子を欲しがるようだ。
僕の名前を呼んで…どうせ僕じゃ無くても良いくせに。こんな事で僕を求めないで欲しい。
ひま「前にも言った通り、結構です。いい加減諦めて下さい。」
僕はそう言い、スタスタと薄暗い長い廊下を歩いていった。
…どうしてこう僕にはここに居場所がないのだろう。
廊下を歩いていた時だった。ある声が扉の隙間から聞こえてきた。
ナセ「ひまわりは次期王にしてはいけないと思うの」
朱華「ああ、俺もそう思う」
それは父と母の声だった。
そんなに僕は出来損ないだっただろうか。
期待はすでにしていなかったが、やはり僕は王にはなれないのか。
何故そこまで僕を嫌うのか…
ナセ「妹の綾芽を次期女王にしません?」
朱華「ああ、そうだな。ひまわりはここにいては…。城から出ていかせた方が良いと思うのだが」
ナセ「ええ、私もそう思うわ。あの資産家なら引き取って貰えないでしょうか?」
朱華「あそことは仲が良いからな。こちらの事情も話しやすい。1度頼んでみよう...」
聞きたくもない話がどんどん進んでいく。
僕は耐えられなくなって、その場を駆け出した。
(どうして…変身出来ないのがダメだったの?)
それとも見た目のせい?
僕はここに居ちゃいけないの?
僕は自室まで全速力で走り、思い切り泣いたのだった。
もうお気付きの方いるとは思いますが、そうです、ひまわりは見た目がコンプレックスなんです。
こちら側からすれば「見た目のせいなわけないやろ!」っと突っ込んでしまいたくなりますね。
ここまでご覧頂ありがとうございましたm(_ _)m