ひまわり編・5話
ひまわり編5話です。
この回は作者の中ではかなり大切な回なんですよね。
「大丈夫?」
ひま「…あ、ありがとうございます…」
精一杯ニコリと笑ってみせた。
女の子は僕の傷口に目を移す。
「どういたしまして!それ…いたいよね。」
ひま「もう、なれました」
「…そう言えば!あなたの名前は?」
言いたくない…。僕、自分の名前好きじゃないんだけどな…。女の子らしいから好きじゃないのだ。見た目だけでなく名前まで女の子らしいのが嫌なのだ。
でもまあそんなことも言ってられないので、渋々と答えた。
ひま「_ひまわり。ぼくはひまわりと言います。」
「ひまわり!」
ひま「…えっと…」
「さくはさくらって言うの!」
ものすごく元気に答えたくれた。
さくら…って言うのか……。
ひま「さっきは本当にありがとうございました。…すごかった…」
いじめっ子達がすぐに逃げ出すほどに…
ひま「ぼくもあんなに強かったら…」
そしたらもう虐められないだろうか。
楽しく、何も考えずに外を歩けるだろうか。
でも、変身魔法もろくに使えないような……こんな僕なんかに…
さく「なれるよ!強く!」
僕の気持ちをかき消すように、またよく響く声でそうさくらさんは答えた。
ひま「ほんと?」
さく「ほんと!」
さくらさんはニカリと笑いながら親指を立てた。
さくらさんに武術を教わったら強くなれるのだろうか…。
こんな……僕でも……
ひま「…えっと……」
さく「なに?」
ひま「…今度さくらさんのところヘあそびに行ってもいいですか?」
さく「もちろん、いいよ!」
ひま「お家ってどこに?」
さく「あそこ!あのでかいやつ」
そう言ってさくらさんが指さしたのは王宮だった。
ひま「え…まさかさくらさんって…王女か何かですか?」
さく「うん、そうだよ。よろしくね、ひまわり」
ひま「…よろしくおねがいします」
そ、そんな凄い精霊がなんでこんなところに……?
謎が色々頭に浮かび始める。
その瞬間、さくらさんは僕の背中に手を回した。
僕は驚いて硬直してしまう。
さく「へへ、よろしくねのぎゅう」
さくらさんは耳元でそう言った。
ぎゅう……。
ああ、ハグのことか…。
1度もされたことが無かったからピンと来なかった。
…それに、変な感覚だ。
こんな寒い日なのに、何故か温かかった。
単に彼女の体温が高かったからでは無い。
心が、温かかった。
何かは分からないけど、初めての感覚だ。
そして、ただ心がじんわりと温かいだけなのに、自然と笑顔になってしまう。
ただ背中に手を回されているだけなのに、
とっても嬉しい。
そして温かくて苦しかった。ギューっと胸まで締め付けられるように。
でも、嫌な苦しさじゃない。
…もっと、もっと、この時間が続いても良い。
僕もさくらさんの背中に手を回した。
あ、ちょっと救われた…。ひまわり、良かったね…。
読者の皆様の思ったこと代弁してみました。
ここまでご覧頂ありがとうございましたm(_ _)m