ひまわり編・1話
長らくお待たせいたしました。
ひまわり編1話です。
3年間に渡って書いていたので、不自然な箇所や誤字脱字あると思いますがそこはご愛嬌ということで……
コツ、コツ、とアパートの廊下を歩く音が聞こえる。
僕は、カフェオレを啜った。
そして、その足音は、恐らく僕の部屋の前で止まった。
僕は玄関に目をやり、カフェオレの入ったコップをそっと机にを置いた。
そのまま立ち上がり、玄関へ向かう。
今、インターホンに手を伸ばしているであろう彼女の姿を思い浮かべながら、ガチャリ、とドアの鍵を開けた。
彼女は手を引っ込めた。見なくても、優に想像が着く。
僕はドアを開けて言った。
ひま「こんにちは__先輩」
(_それは3年前の事だった__。)
さく「やっほ~来たよ~。お邪魔しま〜す」
ひま「はい、先輩お疲れ様です」
先輩を先に部屋に入らせ、僕も後から入ってドアを閉めた。
さく「ん、カフェオレの良い匂い~」
ひま「ああ、来るまで飲んでたんでね。先輩も飲みます?」
さく「あ、良いの?」
僕は用意していたコップを手に取り、カフェオレの粉を入れ、まだ温かかったお湯を注いだ。
(_僕は予めコップを二人分用意するのが嬉しくて、いつも得意げに飲み物を注いでいた。)
ひま「ちょっと冷めてるかもしれません」
さく「あ、全然良いよ。冷たかったらあっためるから」
ひま「そうですか………。はい、どうぞ」
僕はソファーと机の間に座る先輩の前に、コップを置いた。
(_でも、今はもう僕のコップの隣にもう一人分のコップが並ぶことは、ほとんど無くなった。)
ひま「そんなとこ座らずにソファー座れば良いのに」
さく「あーうん、そうする」
ひま「もーなんでいつもそんな変なとこ座るんです?」
さく「何かさー、こことこの間って落ち着かない??」
ひま「確かに分かりますけど…そんな毎回座るほどじゃ無いですよw」
さく「そうかなぁ」
先輩はそう言いながら、ソファーに座り直した。
僕も隣に座る。
さく「私が来るまで何してたの?」
ひま「テレビ見たり、SNS見たり…」
さく「ふーんゴロゴロしてたの?」
ひま「まあ、そんなところです」
さく「テレビ……何これ?…ドラマ?」
ひま「『 何これ?』ってあーたが出てるやつでしょう!」
さく「うえ?!そうだっけ?!………あー、あーうん、あーこの……このシーンね!!分かった!!私ここ居なかったんだよ」
ひま「ああ、だから」
さく「台本でちらってみたくらいで……。私この時違うロケ地行っててさ………」
ひま「へぇ~そうだったんですねぇ」
(_何気ない会話を、ただ何気なく話すことが出来て、)
さく「あ、そうそう…録画取り損ねちゃったからさ、また見せて」
先輩はそう言って、コテンとこちら側に頭を預けた。
ひま「はい勿論良いですよ」
さく「ありがと」
ひま「…先輩」
さく「ん?」
僕が先輩を呼ぶと、先輩はキョトンとこちらの顔を見た。
僕はそんな先輩をぎゅっと抱きしめた。
さく「えへ、どうしたの?」
先輩もそう言って僕を抱きしめ返した。
(_抱きしめると、ただ受け入れて抱きしめ返してくれた。)
またキュゥ……っと胸が苦しくなる。温かくて……自然と口角が上がっているのに気付く。
ひま「いや、なんでも?」
さく「ふーん?」
ひま「先輩、」
さく「ん?」
僕は先輩に顔を近づけた。
チュッ…っと音を立てて、また顔を離した。
今も尚キョトンとしている先輩に、また顔を近づけた。
さく「うえぇぇぇ?!?!ちょちょちょ…………ん!」
無理やり先輩の口を僕の唇で抑えると、先輩は「ん!」と大きな声を出して、ずっと行き場をなくしていた手を僕の背中に回した。
さく「ん、んんん…!」
まだ唇を離さずにいると、そのままギュッと後ろで服を握られた。
ひま「……先輩………しません?」
(_もう隣にどれだけ手を伸ばしても、ソファーの生地が当たる感触だけが伝わって。)
_僕は今日も1人、カフェオレを飲んだ。
悲しいですね。うんうん…でもこれ1話です。
ここまでご覧頂きありがとうございましたm(_ _)m