さくら編・11話
さくら編 11話。
あの後、自室にテスト置いて、マフラーとはんてんしっかり持ってから外出たの想像するとちょっと可愛いですよね。
さくらは蔦善と別れを告げたあと、そのまま外へ出た。
さく(どうしよう…外へ出ちゃったけど、何しよう…)
外はすっかり冷え込み、さくらも巻いていたマフラーに顔を埋めた。
さく(うう…さむ……やっぱ外に出るんじゃなかったな…)
はんてんの襟を手で抑える。
辺りを見回すとすっかり木の葉も落ちきり、街の精霊達もどこか足早に通り過ぎていっている気がした。
さくらは街の方へと歩いていく。
「あらさくちゃん、今日は見栄えも味も良い野菜を仕入れられたんだ。サービスしてあげるよ~?」
いつもの八百屋のおばさんがさくらに話しかけてきた。ありがたいがそんな気分でもなかったさくらは苦笑いして言った。
さく「うへへ、ありがとう。でも今日はいいや」
「あらいいのかい?」
さく「ありがとおばさん。また来るね」
再び1人で街を歩き出す。
_その時、ふと歌声が聞こえた。
さく(男の子の声…?)
そしてその歌は妙に聞き覚えのある歌だった。
さく(この歌は……)
間違いなかった。何度も聞いた歌、何度も弾いた曲_
さく(この歌はママの歌だ…!)
辺りを見渡す。どこから聞こえる?
ぐるりと一周すると広場の外れの道で精霊たちが数人集まっていた。
さく(あそこだ…!)
さくらはその歌に惹き寄せられるように、その男の子の元へ歩いていった。
八百屋のおばさんとは今も仲良しです。
ここまでご覧頂きありがとうございました。