変わらない僕達
僕はいつもの場所にいる。
ここにいると落ち着く。日差しが当たり、街の人々の声が聞こえ、そして
「シリウス、またそこにいるんだ〜」
そう言って、いつも屋根上に寝転んでいる僕に声を掛けてくる少女がいる。
「あ、シュリ!」
シュリは、ここ無類国家パンドラで出会った友人の1人だ。胸下までの長さがある黒い髪に、綺麗な黒の目。首元には細い紐にハートを半分にしたような飾り、そしてどこか不思議なオーラのある少女はいつも屋根上にいる僕を呼ぶ。
俺は屋根をおりシュリの元へ向かった。
「よし、今日はどこ行く?」
「あのC-03地点にある広場はどう?」
「そうだね!なら行こう!」
"C-03地点"このように、無類国家パンドラは区切りを作っている。
僕が住んでいる場所は、無類国家パンドラが領地としている領域のほぼ中心にあたる、A-02地点にある。シュリも同じだ。その時、前方から手を振ってこちらに走ってくる少年が見えた。
「おーい!2人とも〜!今日も先に集まって何話してるの〜!」
「来たね、これで3人揃ったわ」
少年の名は、アサ。アサも、ここパンドラで出会った友人の1人。僕らはいつも3人で集まり、遊んでいる。ここ無類国家パンドラは子どもがあまりおらず、ここA-02含めAで区切られている地点にいる子どもは僕ら3人だけだ。
「今日はどこに探検に行くの?」
アサは目を輝かせて聞いてきた。アサは、僕のひとつ下の歳で、まさに弟のような存在だ。無邪気で好奇心旺盛で、なによりも、優しさに溢れている。
「C-03地点までだよ!」
僕はアサに広場まで行くことを伝えた。
「歩いて、30分はかかるわ。遅れないでよ、アサ。」
「シュリは歩くのが早いんだよー!」
アサがそう言うと、シュリは少し笑い
「なら、手でも繋いであげようか?」
「えー!シュリと?やめとくよ!シリウスから怒られちゃうから!」
「ア、アサ!!何言ってんだお前!!」
「ふふふ、シリウスは良いのよ。さっ、行きましょ」
僕達3人は毎日こんな感じで"探検"に向かっている。
いつもと変わらない日々。
今日も何も変わらない楽しい日だと良いな。