(59)ギルド職員の心情
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〈あるギルド職員視点〉
私はウェーブルの冒険者ギルド本部職員、エリア。私はとても有能。敬愛すべき神龍にして伯爵、偉大な冒険者でもあったギルドマスターからも、絶大な信頼を置かれている。差し詰めマスターの執事であるエド様が右腕ならば、私は左腕と言っても過言ではない。
「ちょっと!メイシェル!報酬換金にいつまで時間をかけるつもり?時間は有限なのよ?」
「エリアさんすいません。急ぎますぅ」
あの羊獣人は、トロくってイライラするわ。間延びした喋り方も鼻につくし。マスターはナゼあんなのを受付主任にするのか…。
このエステラ冒険者ギルドは、神龍がマスターを務める、世界にただ一つのギルド。職員は誇り高く有るべきよ。すべての職員はそれを自覚して、完璧でないと。
「やぁ、エリア。頑張ってるな」
「マスター!お疲れ様です」
最近、見た目を若返らせ、美しさに磨きがかかっている。
「メイシェルもご苦労様」
「お疲れ様です」
ちっ。アンタは笑ってないで手を動かしなさいっ。
マスターは、伯爵様。1代限りの騎士爵や准男爵とは違い、跡継ぎが必要よ。以前それとなくその事に触れた時は、養子でも構わないなんておっしゃってたけど。そんな事を言うので、ドラゴンはドラゴン同士で無いと子が成せないと思っていたけど…。
「いや、そんなことはないぞ。竜人族は遠い昔、龍族と他種族が交わって生まれたんだ。人族、エルフ、ドワーフ、獣人、魚人族、神獣…。人化出来る龍なら交わることは出来る。胎生か卵生かは母体によるな」
「そうなんですね。では、竜鱗族も末裔ですか?」
「いや、アレは竜とはついているけど、蛇人族が、人族と交わるに連れて、蛇の特性が薄れたもので、龍族とは関係ない。本人達は知らんみたいだがな」
「そうだったんですか。でも、龍族は人型種なら交配できるんですね」
「まぁ、子の寿命は龍族より多少短くなるがな。神獣やハイエルフならばそう変わらんだろうが」
そんな会話を思い出した。となれば、私が伯爵夫人となって、跡継ぎを産む事はできる。マスター、私はいつでも求婚を受け入れます…。
「マーレ!」
マスターの言葉に、我に返った。マスターは足早に女の元へ行ってしまった。あの、憎き女…。
「あら、今日は表にいるのねって、聞いてないし。こんな場所で抱擁って恥ずかしいってか、邪魔」
最近、エステラにやってきた魔法師の女が呆れながら、マスター達を見ている。この女が元凶なのだ。憎きマスターの元相棒にして、表向きはエルフのプラチナフェンリルのマーレをここへ連れてきやがったのだ。マーレとマスターは夫婦と言うことになっていたが、それは世を欺く為の偽りであった事は、エステラの冒険者なら皆知っている。それなのに…。
「マーレ、今日は来るのが遅かったんじゃないのか?屋敷まで出向こうかと思っていたのだ」
「やぁねぇ。まだ、昼前よ。昨日、ユーミが面白いものを創ったから色々見ていたの。私も会いたかったわ」
ぐぬぬぬ。イチャイチャしやがってぇぇ!
「マーレさんとマスターはラブラブですね」
「余計な事を言ってる暇があるなら、仕事なさい!」
「はぁい」
メイシェルが逆なでする。
「エリア、しばらくマーレ達と話をするから、執務室には人を通さないように」
「…かしこまりました」
マスターはマーレの腰を抱きながら、執務室に向かった。ユーミと無表情で人形のようで、薄気味悪いエルラインとか言うメイドも後をついていく。
マーレ…、魔女の薬屋。許さない…。マスターは渡さないわ。どんな手を使ってでも潰してやる。
しばらくお休みしてましたが、またボチボチ再開していきます。




