(57)メイドは必要
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取り敢えず、新しい武器は後にして、改築を進めようと思う。マーレさん、そのミスリルの山仕舞ってください。
クラウルが眠ったので、カサンドラにも参加してもらう。
「ところで、クラウルが回復したら、クラウルはここに住む?女だらけだけど大丈夫かしら?」
クラウルは元々貴族だし、未婚の女性が同じ屋根の下ってのに抵抗は無いと思うんだけど、それはあくまで下女や侍女であって、対等、もしくは目上の者では無かったはず。更に、わたしの従者って訳でもないし、気を遣わないだろうか。
カサンドラは、うーんと考えている。
「そうですねぇ。元々女性の少ない家で、家族のほとんどは騎士でしたし。居心地は悪いかもしれませんが…」
ん?なんか言葉を濁すなぁ。
「しれないけど、なんなの?」
「私は…」
「私は?」
「…ここに居たいっ」
苦虫を噛み潰すような表情だ。
「もちろん、クラウルの事は愛していますし、一緒に居たいと思います。ですが、ですがっ!ここに居れば好きな研究を寝る直前、起き抜けからできる訳ですよ。興味もない研究をさせられた挙句、結果を出せとか無茶振る王族とかもいないんです!ユーミさんを始め、私の探究心を擽る人達がいっぱい居て、自分だけの研究室があって、研究ばかりせず社交界に出ろとか言う親も居ない!自分の魔力や古代人で有る事を隠す必要もなく、言動に注意する必要もない!最高な場所なんです!」
カサンドラは立ち上がり一息で熱弁する。勢いに圧倒されたわたしは、
「う、うん」
しか言葉が出ない。
「…私の気持ちを知ったら、クラウルはここに住むと言うでしょう。でも、彼に我慢させたくないんです」
溜息を吐きながら、カサンドラは座った。
「貴方達、落ち着いたら結婚するんでしょう?だったら、それまでは別居して、働きながら二人で住むのに丁度いい家を探せばいいじゃない。時々クラウルが泊まっても良いように、カサンドラの部屋は大きく取ってあげるわ。ただし!ちゃんと寝てもらわないと困るから、研究室とは離すわよ」
「ユーミさん…ありがとうございます」
「クラウルは身の回りの事は自分でできるわよね?」
「行軍で野営することも有りますし、学園を卒業して暫くは騎士団の寮に居たので大丈夫だと思います。野営は出来ますが、料理は出来ないので、近くに食事処でもあれば平気でしょう」
「クラウルの住むところは、カシアスに聞いてみれば何とかなるわ。クラウルが転移出来れば良いんだけど」
「クラウルの魔力では転移は難しいですね」
「でしょうね。でも、カサンドラは出来るんだから、新居の場所はそんなに心配要らないんじゃない?」
「…私が身の回りの事があまり出来なくて…」
カサンドラが恥ずかしそうに俯く。そういや、カサンドラってイイとこのお嬢様だった。
「幼い頃から身の回りのすべてを担ってくれていた、侍女がいました。私が軟禁された時も出奔した時も一緒でした。私の味方はお姉様と侍女のナタリアだけでした」
カサンドラは遠い目をしている。もう二度と会えない二人だ。カサンドラが良いところのお嬢様だったなら、歴史にその後が残ってるかもしれない。今度探して見てあげよう。
「じゃぁ、クラウルは心配ないけど、カサンドラが心配ね。エルラインは、わたしの専属みたいなものだし。それにこの広い家にエルラインだけじゃ大変だものね」
とは言っても、色々と秘密の多いこの家に人を雇うのは難しい。奴隷とかは嫌だしなぁ。アンドロイド的なものできないかな?
クリエイト、アンドロイド
『クリエイトします。機能を付け加えてください』
やっぱり、メイドよね。小柄だけど家事全般熟して、ちゃんと主人達に意見が言える。指導や注意したら素直に聞き入れる。迷惑なお客にも対応できて、スルー力も有って多少戦える。オールマイティーなメイド。衣装はエルラインより可愛いやつ。
『クリエイトします。終了まで1時間』
あんなアバウトな事でイケるんだね。わたしのイメージが反映するのかな。しかし、時間はかかるね。
一体目のメイドアンドロイドが出来るまで、改築の話を進める。
「ユーミさん、急に無口になりましたが、どうかしましたか?」
「ああ、カサンドラの専属メイドをどうしようかと思ってね」
「お手数おかけします…」
カサンドラは恐縮しているが、そんな必要はない。
「貴方は大事な従業員だもの。福利厚生はしっかりしないとね」
「福利厚生?」
「まぁ、いいのよ」
カサンドラと研究室の大きさとか、必要な機材を話し合っていた。
『終了まで5秒前、4、3…』
お、できるな。
『終了しました。空間収納に送られます』
よしよし、できたできた。
「皆、ちょっとこっちにきて」
リビングの広いところにシートを敷く。そこに、今できたアンドロイドメイドを出す。
「これは…?」
カサンドラは目を丸くしていいる。
見た目には16〜17歳の少女だ。だが、エルラインと違ってわたしの血液は使っていないので、肌質はシリコーンのようだ。髪は黒髪のオカッパだ。エルラインを思い浮かべてしまったから、引きずられたのかもしれない。姉妹のようだ。
どうやって起動すんのかな?わたしは触れてみる。
『起動します。命名してください』
「まぁ!声がっ!」
カサンドラの目がらんらんとしている。
名前ねぇ。色白の美少女だし…
「アナタはパール。アナタの名前はパールよ」
『個体名:パール。認識しました。起動します』
パールの目が開く。黒い瞳が輝いている。パールは起き上がると、お辞儀をする。
「お初にお目にかかります。パールと申します♪」
おや、性格はエルラインとは違うようだ。ニッコリと微笑む顔が可愛い。
「パール、アナタは今日からこの屋敷のメイドとして働いてもらいます。メイド長はこの、エルラインよ。良く言うことを聞くように。それと、アナタには、このカサンドラの専属メイドを申し付けます。カサンドラに必要ない時はエルラインから指示を受けて仕事をして頂戴」
「はい!かしこまりました。ご主人様」
そう言って、わたしに再び礼をすると、カサンドラに向き直る。
「カサンドラ様、どうぞよろしくお願いします」
と頭を下げる。
「よろしくお願いするわね」
「はい。何でもお申し付けください」
次は、エルラインに向けて
「エルライン様、ご指導お願いいたします」
と言った。
「エルライン、パールを頼むわね」
「承知致しました」
「後二人作るわ」
「カサンドラ様、くすぐったいですぅ」
パールを見ると、カサンドラがあちこち触っている。
「こらこら」
「も、申し訳ございません。人造人間など、わたしの時代にはありませんでしたので」
「あー、多分今もないよ」
それから、赤毛のポニーテールのルビー、ブロンドのツインテールのシトリン二人のアンドロイドを創造した。何故か性格はマチマチで、明るくしっかりもののパール、生真面目で大人しいルビー、天真爛漫なシトリンって感じだ。
ルビーには、マーレの世話を頼んだ。専属って訳じゃないけど、あの人は何かと浮世離れしてるので、一人は必要だろう。シトリンは基本的にエルラインに従う。早速、エルラインはシトリンに教育的指導をしているが、どこ吹く風だ。
なぜだ。同じアンドロイドを作ったはずなのに。鑑定してみるか。




