(44)商人ギルド
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はしゃぎまくるマーレを伴い、屋台で買い食い。お店に入ろうかと思ったけど、たどり着く前に屋台でマーレのテンションがぶち上がった。
「数百年でこんなにご飯が美味しくなるなんて。人族は凄いわ」
って言いながら、端から食べまくっている。屋台のオジサン達も、マーレに微笑まれて鼻の下を伸ばしてオマケしてくれる。わたしたちは、エルフの姉妹と侍女だと思われてるらしい。面倒だから否定はしない。
マーレの気が治まったので、商業ギルドに向かう。ダンジョンから色々な素材が出るので、ここの商業ギルドは国内で王都に次ぐ大きさらしい。
冒険者ギルドより、やや豪華な造りの建物に足を踏み入れる。
「いらっしゃいませ。どの様なご用向きでございましょうか?」
入った瞬間、キレイな人族のお姉さんに声をかけられた。案内係なんだろうね。
「冒険者ギルドのマスターから紹介されてきました。お店を出す予定なので、登録をおねがいします」
「ご登録でございますね。紹介状はございますか?ではこちらに」
カシアスからの紹介状を渡し、案内された部屋へ向かう。ここはカウンターとかはなく、すべて個室対応の様だ。
通された部屋は、なかなか豪華な作りで、猫脚のテーブルと椅子。もしかして、上客向けの部屋に通されたのかも。
エルラインは椅子に座ろうとしないので、仕方なくわたしとマーレだけ腰掛けた。メイドさんがお茶を淹れてくれたが、ここでもエルラインは辞退した。とことん侍女で通すつもりだろうな。
暫くお茶を飲みながら、マーレとここについて話をしていた。マーレが冒険者の頃の商人ギルドはこんなに大きくなかったらしい。興味津々で見回している。
「失礼します」
入ってきたのは、やり手の社長っぽい、白髪混じりのおじさんだった。多分口じゃ負けそうなので、用心しないとな。
「お待たせ致しました。商人ギルドエステラ支部長のエラルドと申します。以後お見知りおきを」
笑顔で握手を求めるおじさんは、何気に偉い人だった。
「ユーミと申します。商人ギルドの登録に支部長さんがおいでとは、何かあるのかしら?」
率直に聞くに限る。
「領主自らのご推薦のお方。粗相があれば困りますからな」
そんなこと言ってるけど、領主が寄こした、わたしたちを品定めしにきたのね。
「商人ギルドへようこそ。身分証明書をお願いします」
わたしたちが身分証明書を渡すと、何やら魔法具に通して見ている。
「代表はユーミさんでよろしいですか?」
「ええ」
支部長は笑顔でこちらに向き直った。
「それでは、商人ギルドについてご説明しましょう。私から説明することはなかなかありませんよ」
そう言って、かかかと笑っている。そんなのいいから早くしてくれ。
「この国に関わらず、この世界で商売をするには商人ギルドに登録しなければいけません。個人間の取引についてはその定めではありませんが、後のトラブルにならないよう、商人ギルドに申告することをオススメしております。売買証明書などの発行も行っております。商人には納める年会費によってランクがあります。こちらをご覧ください」
支部長が示したのは、階級の一覧表だ。
『商人ギルド階級及び年会費一覧
銅級…期間限定のバザーや市での屋台の出店…金貨1枚
鋼級…旅商人。固定の店舗は不可…金貨5枚
銀級…小規模店舗…金貨10枚
金級…中規模店舗。5店舗までの小規模店舗支店可…全店舗売上の1%
白金級…大規模店舗。支店の制限なし。…全店舗売上の5%』
「階級が上がれば、以下の階級のすべてが可能になります。なので、銀級であれば、店舗を持った上で、旅商人を抱えることもできるのです」
なるほどね。取り敢えず銀級でいいかな。
「年度の途中で階級を上げたければ申請すれば、差額を支払って階級を上げることはできます。ただし、銀級以上に上がる際は、ギルドの審査が必要となります」
「審査とはどういうものですか?」
「鋼級までは、登録時に登録料大銀貨1枚と年会費の一部をお支払いいただくだけで登録いただけます。銀級は登録料大銀貨1枚と年会費の一部、冒険者、商人、魔法師、薬師いずれかのギルドで銀級以上の方3名以上もしくはそれに準ずる方の推薦が必要です。更に、支度金大金貨5枚以上お持ちと証明されれば登録できます。金級はいずれかのギルドのマスタークラスからの推薦が必要です。支度金は白金貨5枚以上、更に、商人ギルドの審査があります。商人としての実績などで評価されます。白金級は金級としての実績など、厳しい審査がございます。白金級より上の水晶級もございますが、そこは王室御用達などのお墨付が必要だったりで、中々難しいです。国内でも2つの商会しか水晶級には至っておりません」
一気に説明してもらったけど、銀級難しいのかな?
「エステラで店舗を開く予定だったのですが、難しいですか?」
「いえ、領主様からのご推薦をいただいておりますので。先程、ギルド預かりの預金残高の確認もできましたので、十分可能でございます。ユーミ様は特別に金級までのご登録をさせていただけます」
商人としての実績まるでないけど、いいんかな。でも、取り敢えず、銀級で様子をみよう。
「差し当たって、店舗は1つの予定なので、銀級でお願いします。それで、店舗兼住居を購入したいのですが、紹介していただけますか?」
「かしこまりました。では、登録料大銀貨1枚と年会費の一部のお支払いをお願いします。身分証明書カードからの引き落としも可能です。それから、銀級からは店舗名か商会名が必要になります」
「では、引き落としで。年会費も全額引き落としてください。店舗名は『魔女の薬屋』で」
「かしこまりました。個人カードかパーティーカードかどちらになさいますか?」
「個人カードで」
「承ります。どのような物件をお探しですか?」
うーん、3人の個室、リビングとキッチン、お風呂はマストでしょう?客間もいるよね。お店は広くなくて窓口だけでいいかな。となると、自分で建てたほうが良くない?土地だけにしようかな。
「建物はこちらで建てるので、土地だけお願いします。あまり人のいない所がいいです。なんなら、街の外でも」
忙しいのはごめんだ。のんびりしたい。
「…お店を開くのに、人のいない所ですか?ましてや、街の外…。ですが、皆様がお強いのは紹介状で存じております。ただ、街の外は領主もしくは国の持ち物になりますので、こちらではご紹介致しかねます。領主様でしたら良い物件をお持ちでしょう。一度領主様にご相談ください。売買が決まりましたら、また商人ギルドへお知らせください。それから、薬店を出店なさるなら、薬師ギルドの登録も必要ですのでご注意を」
身分証明書カードを返してもらって、商人ギルドを後にする。支部長直々に対応してもらったのに、なんだか悪いことをした。まぁ、無事に登録も終わったし、良しとしよう。薬師ギルドは取り敢えず後回し。
早速とばかりに、冒険者ギルドに向かった。




