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〜グラディウスの乙女〜
かつて、『人魔大戦』と呼ばれる戦争があった。その戦争は、魔王と呼ばれる最悪の災厄と全人類の全面対決であった。それは数千年に及び、大地を腐らせ、大空を歪めて、大海を焦がした。人類の凡そ三分の二を犠牲に、魔王は一人の人間によって滅ぼされる。その英雄はまだ幼い少女であった。少女は自らを『グラディウス』と名乗り、その偉業から人類統一の礎となった。
少女『グラディウス』は、人類統一国家の初代女王として、人類の平和を護り続けた。
それは、人類がバラバラに散った今でも、轟く神話にして伝記である。
しかし、彼女の事を知る者は数多あれど、その真名も素性も誰も知らない。そして、彼女が何故『グラディウス』を名乗ったのかも。
誰も何も知らないのである。