ろく
翌日から、涼子はナルミについて学校にいった。
フリをしないで友達をつくる、見つける作戦と題して、涼子はナルミを促したが、フリをしていた彼女はいつも通りに、完璧にふるまった。
涼子が横でごちゃごちゃアドバイスしたが、まったく効果はなく、1日はあっという間に過ぎて、下校時間となってしまった。
「じゃあ、また明日」
笑顔でクラスメートを見送り、大きな溜息をつく。
「本当、何が友達じゃないの?フリも全然フリじゃないと思うよ」
ナルミが昨日激白していたが、涼子が見る限り、演技になんてとても見えなかったし、周りのクラスメートともに仲良く話をしている。
(なんかこれで友達がいないとか、張り飛ばしたくなる。彼女が求めているのは何なの?友達ではないんじゃないの?)
その夜、涼子は問い詰めてみたけど、成果が上がることなく翌日となった。
翌日、涼子に対して両親から行方不明の届が出ていることがクラス中で話題になった。自分のことなので、耳ダンボになって聞いてみるが、親身になってくれるような人がいなくて、わかっていたが正直がっかりしてしまった。
そんな彼女にナルミだけが、両親に会いにいこうかと提案してくれ、涼子は嬉しくなった。
「……娘さんは透明トナカイになってます」
「無理だと思うよ」
家の前まで来て、二人は足を止めた。
涼子のことを正直に説明するのは無理だ。でもぼかして話すと変な疑いがかかってしまう。
悩んだ結果、涼子はあきらめた。
「多分、そこまで心配されてないから大丈夫。それよりも早く元に戻らないと」
「そうだね」
ナルミは頷くが顔色が曇っている。
「友達ってどうやって作るんだろう」
「そんなの知らない。私には友達がいないから。大体小原さんは友達がいるのに、いないとかおかしいよ。どう見ても仲のいい友達じゃない。何が不満なの?」
「だって、無理に話を合わせたり、こういったら喜ぶかなあと思って会話するの疲れるし。友達ってそういうこと考えないんでしょ?」
「しらない。私には友達がいないから」
「そっか……」
ナルミは小さく相槌を打つと黙り込んでしまった。
その態度に涼子は頭にきてしまう。
彼女には理解ができなかった。
(友達いるのに、友達がいない。友達がほしいなんておかしい)
「もう一生トナカイかもしれないあ」
投げやりになってそうぼやくと、ナルミは申し訳なさそうな顔をした。でもそれだけだった。
「しょうがない。罰があたったのかな。お母さんを泣かせたし、まあ、故意じゃなかったけど、トナカイもサンタも傷つけたし。ああ」
「涼子ちゃん。もし一生トナカイでも大丈夫だから。私と一緒に暮らそう。そうすれば、ご飯にも寝るところにも困らない。うちは両親がずっと海外だからほとんど戻ってこないしね」
「あ、ありがとう」
詰ってしまったのに、そう提案されて、涼子は自分が恥ずかしくなってしまった。
「なんで、小原さんはさ。友達がいないって思うの?周りにいる子たち、ちゃんと友達だと思うよ」
「うーん」
ナルミは浮かない表情を見せるだけで答えることはなかった。