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交差世界の黄金錬成(アルスマグナ)  作者: 高桐遥輝
第一章--黄金の夜明けの始まり
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解放戦――決戦02フェイズ

 アルカディアがとった迅速な行動は結果的に多くの味方の命を救うこととなった。

 迅速な防御壁を『拒絶し依存する愛憎』に重ね掛け、凶悪な性質を持つ風の攻撃から致命的及び行動不能になるダメージを防いだのだ。


俺とは似ているよう(・・・・・・・・・)で真逆かよ(・・・・・)。どこかでこれになる生物の細胞を採取し解析してこの有様か」

 玖路(くろ)が相手の異能の在り方を吐き捨てるようにつぶやく。

「ラアッ!!」

 声を荒げて黒い獲物を鉈のような大剣へと変化させ、盾としても扱いながらポリプの攻撃を防御、迎撃していくブルネットの少年。

 その背後にいるのが幼い子供を含めた戦えない者たちであることは絶対に無関係ではないだろう。


「アンタたちはそいつらを抑え込んでいて!! 私はついてこれない人達を逃がすわ!!」


 叫ぶはアレキサンドライトの少女。四番目の構築式―ポリプの攻撃が届かない道筋を示す黒き標が避難する者の足元に描かれている―により避難の支援及び二種類の眷獣を使って攻撃を迎撃、全員が安全圏まで行くまで足止めされている。

 

 対して爆心地とも呼べる場所にいるのは優世(ゆうせい)と玖路の他にまだ二、三人残っている。恐らくは非番であった実戦系統の職業者なのだろう。戦いの技や動作に無駄がない。

 

「お前ら!! 残るのはありがたいがあれに勝てるだけの実力はあるんだろうな!? いや、そうなのは見て分かったがお前らはまだ学生だろう!!」

「いや、ここまで来たら出来るならやる(・・・・・・・)で最後まで付き合うぜ!! そもそもアンタたちに粉掛けたのは俺たちだからな!!」


 濡烏の少年が足元と肩甲骨付近から影の刃を数多に分岐させてポリプを貫き、刃から高濃度の量子を注入してポリプの細胞を自壊させながら叫ぶ。

 そして突き刺さっている刃を一つ残さず砕いたのは人型のポリプだった。

 三メートルの人型であろうがポリプに比べたら機動性は比べ物にならず、加えて知能の低下や欠落が見られない。ポリプに変化した者も知能は保っているようだが、人型はどこか行動に冴えが掛かっている様子が見受けられる。

 もしかしたら人型の方は知能や思考速度が向上しているのかもしれない。


「ッ!! 来るよ!!」

 優世の叫びに反応した全員は構えをとる。

 瞬間、玖路の影の刃が如き触腕が多方向から義勇軍に襲い掛かった。


「ぐあ!!」

 義勇軍の一人が脇腹を抉られて倒れ伏す。致命傷ではないが戦闘は出来ないだろう。

影包(シャドウポーチ)!!」

 瞬間、倒れた男が玖路の影に包まれて床に消える。

「青い狸のポケットだと思ってくれ!! 遠隔操作で安全圏に運ぶ!!」

 言いながらも玖路は刃で触腕を弾くことに集中力を費やし続けている。


 そうしなかったら死ぬからだ。


 それは優世も同じ。鞭に変化させた獲物により曲げた一つの線で触腕の多数の点を重ねて防いでやり過ごしている。

 機を見計らって本体に攻撃を入れようとしているが、さすがに隙が無い。

 二人が次の手を考えている最中、戦況は変化した。


「『悪食牙(グーラFS)』!!」

 三体のポリプに密度の高い砂塵が襲い掛かる。

 大量の砂の嵐に巻き込まれた挙句、触れた体から量子だけでなく生命維持に必要なもの全てが奪われていく。

 しかしそのまま行動不能になる様子は微塵も伺えない。


「でたらめ、とは言わないけど厄介な相手ね」

 白髪に金緑石の光沢を乗せた少女が本を片手に砂塵の中で荒れ狂うポリプたちを見つめながら目を細める。

 避難を完了させたアルカディアが2人と合流し、眷獣の一つで足止めをしたのだ。


「やっぱリーダー特権で人型の方が強さは段違い、か」

「加えて二つの肉塊をも同時に相手取らないといけないなんて、頭痛が痛いとか言ってしまいそうね。実際に頭痛い……」

「ポリプ状の体を持った巨大な生物、それに変貌するはまだしもその生体細胞を有した新人類になる固有法則(オリジン)。それが貴方達の所業か」

 

 眷獣を従え防御と危機回避の加護を受けた魔術師、黒き刀を形状と性質を流転させて構える騎士、己が体から黒き伸縮自在な刃を伸ばす強化人間。

 対するはアメリカの怪奇作家が神託の如く閃いた悪夢が一つの飛行するポリプが二体、そしてその生体細胞から構築された進化した人類となる固有法則(オリジン)保有者。


 欲望と責務が、最後の対決を始めようとしていた。


遅くなり申し訳ございません。

生活のサイクルにより書く時間の都合がなかなか......

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