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交差世界の黄金錬成(アルスマグナ)  作者: 高桐遥輝
第一章--黄金の夜明けの始まり
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解放戦――決戦フェイズ01

 制圧部隊は思ったよりも早く撃破することが出来た。練度は高いが異能者が存在しておらず、何よりテロリストが異能者を含めて高度な戦闘技術を有していたのが大きいだろう。


 とはいえ結果的には解放戦に良い影響を与えたこととなった。

 三人と義勇軍が合流した後人質に紛れ込んだテロリストの伏兵を無力化し、アルカディアの展開した防御魔術により怪我無く人質を避難させることに成功した。


「ぬりゃああ!!」

 筋肉質な男性が制圧部隊を硬化した体による正拳突きにて沈黙させる。

「燃えろ!!」

 金髪に染めたラフな格好の若者が発火能力(パイロキネシス)にて銃器を融解させる。

「フリーズ!!」

 交霊術にて霊を使役した女性が人質への盾として操る。


「結構やるわね、モールの占拠の時に存在を隠すことが出来た実力は確かね」

 構築式を本の形に変換し、強化された魔術にて放課後にも出した二種類の召喚獣を使役するアルカディアはそんなことを口にした。

 義勇軍十四人と三人を足して十七人である彼らはテロリストと制圧部隊の混戦の中、人質を含めて一人も死傷者を出していない。

 アルカディアの防御魔術『拒絶し依存する愛憎』により銃弾は強い衝撃を体に与えるだけに留めている。銃器とリーチの短いナイフだけの制圧部隊はこの魔術により攻撃手段の察方力が大幅に低下している。

 そのため異能者を抱えているテロリストたちの方が脅威として大きいのだ。

 加えてテロリストと制圧部隊両者どうしの争いにより両敵勢力はじわじわと削られている。

 そこに加えて――


「『雷付(らいふ)刃跡(じんせき)』」

 大鎌と薙刀を合成させたような長物が紫電を纏い、切り裂くと同時に高圧電流にて痺れさせてゆく。

「『影爪(かげづめ)』」

 黒き無形の触手が、少年の影から飛び出し切っ先を鋭利に変形させて四肢の腱を切る。

「『四元たる十二頭犬ゾディアスヘルハウンド』」

 融合した四元の三頭犬が十二の頭からブレスを吐く。


 テロリストの異能者グループ『アルファチーム』をアルカディア、優世(ゆうせい)玖路(くろ)の三人が押さえ込んでいるのが解放戦の成功に近づく大きな要因であった。


「『霧隠し(ミスト)』!!」

『フライトポリプ』の異能者が固有法則(オリジン)を展開する。

 周囲にいる人間の五感を惑わせる異能、そして展開した霧の中で誰が惑うかを選べる(・・・・・・・・・)のは術者の任意だ。

 それに加えて銃弾を含めたあらゆる固体を任意の温度の液体に変換する異能者が見通しの良い霧の中で三人に銃撃した。

 三人の頭蓋へと向かう銃弾はしかし、固体でも液体でもなく、ましては気体でもない状態となって霧散した。


「チッ、あの槍の力か!!」

 射手が不条理のからくりを看破する。恐らくは優世が振るう不可思議な長物に纏う電撃の仕業によりプラズマ化したのだろう。しかし「どうやって消滅させたのか」は理解できても「どういう仕組みの消滅手段なのか」は分からない。

 うかつに近づくのは危険だと判断し、フライトポリプアルファチームは目の前の若者たちの警戒レベルを更に挙げた。


「しかし、主力っぽいこいつらは減らないな……腐っても一流兵士ってことか」

 心底面倒くさそうにぼやく玖路。彼にはアルカディアの感覚共有により優世が見ている視点から、刃の軌跡の結界(・・・・・・・)の隙間から影なる触腕の迅撃を繰り出していた。

 優世が持つ長物の刃が描いた軌跡には不可視の電撃が残っている。それに触れた場合刃に触れられたものとは比べ物にならない電撃が触れたものに走ることとなる。

 三人はその透明な電界結界を視認できる優世の視点を介して銃弾が電界結界に接触(・・・・・・・・・・)するよう狙わせる(・・・・・・・・)立ち回りをしたりすることで守のアドバンテージをとっているのであった。


「結界はこれで十分だね。ならここからはこっちの出番だ」

 優世が左手に握っていたこれまた奇妙なショットガンに長物を融合させて両手で構える。

 盾となっている銃口付近が片手で持てる大きさから両手で持たねばならない大きさに変貌し、建ての表面から銃口が複数出現する。

 マズルフラッシュが走った瞬間、三人のアルファチーム隊員が吹き飛ばされた。

 一人は優世の正面にて防御の構えをしてなお弾き飛ばされ、そしてもう二人は優世の斜め後ろにて配置についていた。


「空間操作……!? いや違う、『反射』の力で散弾を跳ねて奇襲しやがったな……!」

 盾と融合したその姿を見てフライトポリプの副隊長たるアルファ2が優世の持つ散弾銃の能力を看破する。

 厄介な能力だと舌打ちするアルファ2.

 厄介な難敵だとため息する優世。

 ここまで察しの良い敵と戦ったこと自体はある。あるのだがやはりこの手のタイプは厄介と言うに他ならない。

 それはアルカディア、玖路も同じなようでやや苦々しい表情をしている。

 フライトポリプのメンバーも表情は同じなのだが、必死さの方向がどこか違うのが見る者が見ればわかるだろう。


 やがてフライトポリプの陣形が変わり、三人の兵士がアルカディア、優世、玖路と相対する。

 アルカディアたちは知らぬことだが相手はアルファ1,2,3と国際指名手配されている危険人物だ。三人はそれぞれ苦渋と煩わしいという表情で相対している。


「『飛行する極智の絶亡(フライトポリプ)』」

「「『飛行絶亡改次(ポリプマークツー)』」」


 アルファ1の声とそれに続いたアルファ2と3の宣誓が響き渡った瞬間、軍服に身を包んだ彼らの全身がポリプ状に膨張した。


「「「なっ……!?」」」


 それはかのアメリカの怪奇作家が『飛行するポリプ』と名付けた悪夢の怪物、その再現――否、『体現』であった。

 アルファ2、アルファ3が変貌した怪奇小説による記述通りの翼がなくとも触手で歩くように空中飛行し、口笛のような声を放つ巨大な肉の塊、それは極めておぞましい醜悪な怪物だ。

 だがアルファ1が変貌したモノに比べれば可愛いと言える。


 彼が変貌したモノは身長三メートルのポリプ状の人型巨人と言ったその姿は3Dモデルのマネキンを思わせる顔だちをしており、その場にいた全員に「あの肉塊の方がまだ精神に優しいのでは」思わせるモノだった。


 そしてそれが、恐るべき剛と迅を以て敵対者に襲い掛かる――!!


怪奇小説の恐怖、彼らはそれさえ欲望の糧としたのか――


遅れてすいません...... なるべく早く多く投稿するよう心掛けているのですが......

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