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ショウウィズ  作者: kouto
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ショウウィズ2-2話

 アマカ達四人はしばらく練習を行い、休憩に入った。

コウナ「シキシマさん、後半のダンス、振りが小さくなってましたわよ。もっと意識してはいかが」

アマカ「あ、ありがとうハクトウインさん」

コウナ「これから一緒に歌うのですから、みっともないダンスはやめて頂きたいですわ」

アマカ「うん、頑張ります。・・二人は上手いよね、いつ頃から歌ってるの?」

コウナ「二人で始めたのは10ヶ月ほど前ですわね。それ以前ですと私は小学生の頃からバレエを習ってましたわ」

アマカ「そうなんだ、タカサキさんは?」

ホマレ「二人で始めるまでは特に・・」

アマカ「そっか、私は四か月くらい前から始めたんだ」

コウナ「ハストさんはいつ頃からですの?」

チヅ「私は小さい頃からずっとだし10年以上になるかな。・・そうそう二人に聞きたいんだけど」

ホマレ「はい」

コウナ「何ですの?」


チヅ「二人って笑わないの?」

コウナ「・・何ですの? その質問」

チヅ「いや、二人のライブ観たけど笑顔になったりしないじゃない? 練習中も変わらないし」

コウナ「意味が分かりませんわ、それの何がいけないと?」

ホマレ「・・」

チヅ「だって笑った方が視聴者も喜ぶと思うよ?」

コウナ「ライブは歌う所、歌で喜ばせればよろしいじゃありませんか」

チヅ「歌だけならライブの必要ないでしょ、ライブは生でやるんだから」

コウナ「何にせよ、笑顔見せるなんて事しませんわ。あざといのね」

チヅ「あざとくないよ」

 チヅは一呼吸置くと続けた。

チヅ「・・自分の為にやったらあざといんだろうけど、ファンの皆を喜ばせるためにやるのってあざといの?」

コウナ「なんだかんだ言った所で、結局人気取りの手法ではありませんか」

チヅ「別にそんなつもりはないんだけどなぁ」


コウナ「それならあなたの目標は何ですの?」

チヅ「目標?」

コウナ「そうですわ、『ビーグロウ』私は誰からも振り向かれるような輝ける人になる。その為に歌を上手くなりますの」

チヅ「私は私の歌を見てくれた人に元気を与える事だよ。アマカは?」

アマカ「私?」

チヅ「うんアマカの目標は何かなって」

アマカ「私は・・チヅみたいに上手くなりたいなってくらいしかないんだけど・・」

チヅ「いいと思うよ、今はそれで」

アマカ「・・えっとタカサキさんも何かありますか?」

ホマレ「歌に意味を持たせる事です」

アマカ「歌に意味? それってどういう事ですか?」

ホマレ「・・目標を見つけるのが目標、という事です」

アマカ「はあ・・?」


コウナ「そろそろ練習を再開しません事?」

チヅ「うん、分かったけど・・ねえ、一回だけでも笑ってみない?」

コウナ「お断りしますわ」

 アマカ達は夜になるまで練習を続け、その後コウナの家の車に乗せてもらい、それぞれの家に送ってもらった。


 コウナはその夜、寝る前に自室の机に鏡を置いて自分の顔を見ていた。

 そして彼女は自分の頬に手を当て口角を上げた。

 自分の作り笑いを見た彼女は首を振り、呟く。

「やはりあざといですわ」


 アマカ達が四人で練習を始めてから数週後の事、コウナは次のライブについて話し始めた。

コウナ「次のライブですが、シキシマさんを除いた三人で行いますわよ」

アマカ「え? 私出たら駄目?」

コウナ「あなたまだダンスが未熟ではありませんか、そんなもので一緒に出て頂くわけにはまいりませんわ」

チヅ「別にいいじゃない」

コウナ「よくありません、50点の歌が混ざったら90点の歌も50点に下がってしまいますわ」

チヅ「私達ウィザーはアーティストじゃないんだから、前にも言ったけど上手に歌った所を見せたいならライブの必要はないよ」

コウナ「ならあなたはなぜ歌の練習をいたしますの? 上手くなるためでしょう。下手な歌は必要ありませんわ」

チヅ「確かに上手いに越した事はないけど、アマカは人に見せれるだけの歌はできてるし、コウナに負けないものがあるよ」

コウナ「またそれですか、あなたの言いたい事は察しがつきますわ。つまる所あざとさでしょう? そんなものいりませんわ」

アマカ「チヅ、私今回はいいよ。ハクトウインさんの言う通りまだ上手くないし」

チヅ「良くないよ、四人でやらなきゃ組んだ意味がない」

コウナ「シキシマさんが上手くなってから四人でやれば良いのでは? 上手くダンスできるのでしたら私だって何も言いませんもの」

チヅ「それじゃあ駄目だよ」

コウナ「どうしてですの?」

チヅ「言っても分からないからライブで見せたいんだよ」

コウナ「・・あなたが何をお考えか知りませんが、私は今のシキシマさんとライブするつもりはありませんわ」


ホマレ「・・対決ライブしたらどうですか」

チヅ「え?」

コウナ「ホマレさん?」

アマカ「対決ライブっていうのは・・?」

ホマレ「アマカさんとハクトウインさんがそれぞれ観客に歌をみせあってどっちが良い歌だったか、投票してもらうライブです」

コウナ「そんなもの必要あります?」

チヅ「・・うん、やろう対決ライブ」

アマカ「ええ?!」

チヅ「対決ライブの経験ないでしょ? やってみた方がいいよ」

アマカ「でもそれって私一人でライブをするんだよね?」

チヅ「そうだけどすぐ近くに皆がいるから大丈夫だよ」

コウナ「本当にやりますの?」

チヅ「いいじゃない、まさか負けると思ってるわけじゃないでしょう?」

コウナ「何をおっしゃいますか、いくらあざとくても下手な人には負けませんわよ」

チヅ「じゃあハクトウインさんはいいってことで、あとはアマカの方だね」

アマカ「私は、急に観客の前で一人で歌えって言われても・・」

コウナ「あなた、ウィザーでしょう? ライブするのをためらう必要ありません事?」

アマカ「いいの? 下手なのに?」

コウナ「ライブしないウィザーなんていませんでしょう」

アマカ「・・そうだね、うん。私、対決ライブするよ」

コウナ「決まりですわね、折角ですからハストさんも出てはいかが?」

チヅ「私はいいよ、折角の二人の勝負なんだから」

コウナ「勝負になればいいですがね、シキシマさん」

アマカ「はい?」

コウナ「大差で負けて恥をかいても知りませんわよ」

アマカ「う・・でも、しますから」


 アマカとコウナのライブ当日、コウナ達はコウナのダンスルームをショウウィズの舞台にする。

 舞台装置の『エムデバ』を設営し、ライブ会場を作り出していた。

 ステージの上にはチヅとアマカの二人が立ち、視聴者に向けて挨拶をしていた。

 コウナとホマレはステージの外で出番を待っていた。


チヅ「皆さん、おはようございます」

アマカ「おはようございます」

 二人が挨拶をすると視聴者たちは挨拶のコメントを返した。

チヅ「今回の私達のライブ、二人のウィザーの方に来てもらいました。ビーグロウのコウナとホマレです」

 コウナとホマレの二人はステージに上がる。

コウナ「皆さま、ごきげんよう」

ホマレ「おはようございます」

チヅ「ビーグロウの二人には対決ライブしに来てもらいました」

コウナ「私とアマカさんの二人が対決しますのよ」

ホマレ「ルールを説明しますね。二人には『プラズマ』をそれぞれ歌ってもらいます」

チヅ「二人が歌い終えた後、投票時間が設けられますので良かった方に『いいね』してください」

ホマレ「歌の前に二人に意気込みを聞こうと思います。まずはコウナからどうぞ」

コウナ「同じ曲を歌うという事ですが、私とアマカさん、どれだけ違うか見て頂きたいと思いますわ」

チヅ「続いてアマカどうぞ」

アマカ「まだ下手な自分だけど頑張りますから応援してください」

チヅ「それでは対決ライブを始めたいと思います。先に歌うのはアマカです」

 チヅがそう告げるとアマカ以外の三人はステージから降りる。

 そしてアマカは『プラズマ』を歌い始めた。


コウナ「やはり下手ですわね」

 アマカの歌う姿を見ながらコウナは言った。その言葉にチヅは反応せずアマカの方をじっと見ていた。

アマカ「プラズマ」

 曲のサビでアマカは微笑む。するとステージに応援のコメントが多く流れる。

ホマレ「・・やっぱりあざといと思いますか?」

コウナ「それ以外に何がおありで?」

ホマレ「少しだけ、私には彼女が輝いてるようにも思えます」

コウナ「あなたも彼女の肩を持つのね」

ホマレ「そんなつもりはないです」

コウナ「・・まあ別に構いませんわ。なんにせよ私が勝ちますから」

 そう言ってコウナはアマカをじっと見つめた後、ホマレに少しだけ目をやった。


 アマカが歌い終わるとコウナはステージに上がる。

コウナ「お疲れ様でしたわ」

アマカ「ありがとうございます」

 コウナと変わるようにアマカはステージを降り、コウナが『プラズマ』を歌い始める。

チヅ「アマカ、お疲れ」

アマカ「うん」

 アマカはステージの方を向き、歌うコウナの姿を見た。

アマカ「やっぱり上手いなぁ・・」

 やがてコウナも歌のサビに入る。 その時、彼女は。


コウナ「プラズマ」

 不敵に笑った。

 今まで見せなかった笑みにチヅは驚く。見ていた観客たちのコメントも驚いたと思わせるものばかりだった。

チヅ「・・ホマレさん、ありがとうね」

ホマレ「思ったことを言っただけです」

チヅ「・・そう」

ホマレ「・・」


 コウナが歌い終わり、四人全員がステージに上がる。

チヅ「それでは投票の時間です。良かった方に『いいね』してください」

 そして投票の結果は8対2でコウナの勝利だった。

コウナ「皆さん、ありがとうございます。・・少しだけ、輝けるようになった気がします」

 そう言ってコウナは笑う。

 コウナを見るアマカにチヅは肩を叩くと前を向かせた。

アマカ「次はもっと上手くなります。頑張ります」

 そう視聴者にアマカは言った。



コウナ「今日は皆さんにお伝えしたい事がありますわ。実は対決ライブ以外にも来た理由がありますの、ねえアマカさん?」

アマカ「・・えっと、私とチヅは新しくビーグロウに入ります」

チヅ「これからビーグロウはこの四人で行っていきますので皆さんよろしくお願いします」

コウナ「そしてこの曲は私達四人が結成した記念の歌、四人で歌いますわ。やりますわよアマカさん」

アマカ「え? は、はい!」


『クロスライン』


歌詞 プラズマ

1

灰に包まれた世界

無味に生きる私

乾いていくは心

血も灰になって


探し求めてる

熱せられた渇きを

熱く癒せ

心燃やす

その輝きはまさに


プラズマ


光になって

照らす世界を

鮮やかに変える


緑茂る

海は青く

血は赤く

花は何色


2

虹がかかる世界

奏で歌う私

ビート刻むは心

血も踊りだす


世界彩る

あたたかな居場所

夢落ちて

心照らす

空から注ぐのは


Sunlight


光注ぐ

輝く私を

鮮やかに変える


大地揺れて

空は青く

頬は赤く

私何色



探し求めてる

熱せられた渇きを

熱く癒せ

心燃やす

その輝きはまさに


プラズマ


--------

歌詞 クロスライン


1

脚を開いて登った山道

一段飛ばしで上がった階段

空を見上げて通った人波

前を向いて歩いた交差点


頑張って、進んだ道を振り向いて

穴だらけ、そのままにして行かないで

ゆっくりと、周りをもっと見てみたら

変わらない、あなたと同じ人がいる


今、四人が交わるクロスライン

向かう道は新たな高み

後ろ向いて支えあい、埋めあって突き進み

四つの色が導く光の道

夢へ夢へ続く道


2

手を伸ばしてつかんだ知恵の実

恐怖に負けず飛び出す宇宙

勢いつけて届いた月面

感謝を胸に話した青い星


支えられ進んだ道を共にして

続いてる描き続けた夢たちを

私達だって叶えてみてみたい

変わらない彼らと同じ人だから


今、四人が交わるクロスライン

向かう道は新たな高み

前に立って引っ張って、埋めあって突き進み

四つの色が導く光の道

空へ前へ続く道



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