~四話 大河の休日1~
大河は休みの日は昼まで寝るのが日課。しかし、その日は災難だらけ。
4章
ピンポーンピンポーン
大河が寝ているとインターホンの音で起こされた。
ったく、日曜日の朝から誰だよ。
大河がドアを開けるとそこには学がいた。
「今日は何の用だ」
とめんどくさそうに大河が言う。
学はニコッと笑いながら言った。
「今日で、あのウイルス対策ソフト作ろうぜ」
そう俺たちはあのウイルスに対抗するソフトを開発している。そもそもこれは防御システムのようなものだ。
家に上がるなり学はパソコンを開いて作業に取り掛かる。大河の家は2LDKだ一つの部屋は、パソコンルームの様な感じで机にデスクトップのパソコンのモニターが三つある。
黙々と作業をしていると十二時を回っていた。
「学、俺は今から飯を作るけどお前はどうすんだよ」
大河がリビングにいる学に聞いた。
「どうしたんだよ。一人はさみしいか」
学は笑いながら言う。
「別にどうするか気になったんだよ」
大河は素っ気無く答える。
「なら一緒に食べようぜ」
「そうか、でも材料がないから買いに行かないとな」
と言い、まず学は家に帰って親にご飯がいらなくなった事を言い、二人はマンションを出た。
自転車置き場に着くとそこには部活帰りの佐倉がいた。
「二人でどこに行くん?」
と佐倉は聞いた。
「部活お疲れ、今から大河の家で昼ご飯食べることになったから、食料調達に行くんだよ」
それを聞いた佐倉はニコニコ二ながら、私も行くと言う。
「もう一時だけど腹減ってないん?」
と大河が聞く。そしてさらに続ける。
「ご飯は二時ぐらいになるけど、大丈夫か?」
大河が聞くと佐倉は少し考え、答える。
「多分大丈夫」
と佐倉は小さい声で言う。
「これはダメですね」
と学が笑いながら言う。すると佐倉が少しピクッと眉毛が動く。そんな事も知らない学は続ける。
「咲は腹が減るスピードが異常だからな」
学が続きを言おうとしたら佐倉の堪忍袋の緒が切れた。
「おい学いい加減にしろよ。また、気絶したいか?」
とゴミを見るような視線を学に送る。流石に学もこの視線には耐えられなかった。
「ワリィ」
先程の威勢はどこにいったんだよ。でもあれは怖い。
「分かればいいんだよ」
次に言ったら殺すと言わんばかりの顔を学の顔に近づける。
「なら、早く行こうぜ」
この尋常ではない空気をどうにかしたかった大河は言う。
「ちょっと待って。着替えてくる」
流石に部活終わりで汗臭い。
「急げよ」
と大河が言うと分かった、と佐倉が言いマンションに入って行った。
七月の半ばの昼に自転車置き場で待つのは、地獄だった。
俺と学は特に話すことがなくなると、沈黙となる。この沈黙は別に仲が悪いということではない。
俺たちはこんな暑い日は「まじ暑くね」とかは、言わない事となっている。
話さないイコールつまらない人という概念はないようにしている。
二十分ぐらい待つと佐倉がマンションから出てきた。
ここ最近はポニーテールにしていたが今は髪を下ろして、セミロングのような感じとなっていた。
「ごめん、遅くなった」
と言いながら走ってきた。
「今日はなんでワンピースなんだよ。いつもみたいにジャージでいいだろ。てか、ジャージ以外の服持っていたんだな」
学が素っ気無く言う。
「早く行こうぜ。ここは暑い」
更に学が言う。
確かに暑い。佐倉はいつからオシャレに興味が沸いたんだよ。学の言う通り、ジャージではない佐倉は久ぶりに見る。
学の感想がイマイチだったようだ。佐倉の少しの沈黙の後で言う
「私に言う事ない?」
自転車を出していた、二人に聞く。
学は少し考えて、ピンと何かを思いついた。
「あぁ、そうだよな。流石に失礼だったな」
と言う。佐倉は満面の笑みを浮かべる。
「レディーファーストだよな。何が食べたいんだよ」
とめんどくさそうな態度が気に入らなかった佐倉は何か理解した。そして言う。
「だから、彼女が出来ないんだよ」
気にしていることを言われた学は慌てながら言う。
「早く行こう、お腹がすいた」
三人は自転車に乗り、二十分ぐらい過ぎて大型ショッピングセンターに着いた。自転車を置き、三人は店内に入る。
「俺は食材を買うから、お前らぶらぶらしといてくれ」
大河が二人に言う。
「もう昼ご飯ここで食べない?」
と佐倉が提案する。
確かに今から買い物してから、帰って作ると時間が掛かってしまう。悪くない考えだな、佐倉にしてはすごい。
「そうするか」
と言って三人は三階にあるフードコートに向かった。