暑い時は氷魔法を使いましょう
暑い日に考えたお話になります。
この日は本当に暑くて『何か涼しい話を書きたいなー』と思って書きました。
スローライフらしい、魔法使いらしい物語になったでしょうか?
『暑いよー・・・』
『だな・・・』
スフィアの家に遊びに来たものの、外が暑いから何もしたくありません。
二人ともテーブルの上でだらけています。
『海に行く?』という相談もしましたが、
この町から海がある場所まで少し遠いから馬車に乗らないと行けません。
それはそれで面倒なのです。
私はふと氷魔法を使って手の平で氷の玉を作って遊んでました。
『あ、涼しいかも・・・』
普通の氷とは違ってなかなか溶けず、ひんやりとしています。
スフィアがそれを見て羨ましそうにしていたので、
スフィアの分も氷の玉を作ってあげました。
『あ、本当だ。涼しいな』
『でしょう?気休めになるわよね』
そう言うと、スフィアは突然立ち上がって声を上げました。
『これだよ!エリナ!!』
何か閃いたようです。
『えと・・・何か閃いたの?』
尋ねると、スフィアに両肩を掴まれて迫って来ました。
『エリナ・・・お願いがあるんだ・・・』
『お願いって?』
顔が近いので体温が更に上がってしまいそうです。
いえ、それは置いといて。
私はスフィアのお願いを聞き、いい提案だと思ったので外に出て裏庭に行きました。
まあ、裏庭と言ってもガーデニングがあるわけではなく、
雑草や石ころがあるだけですが問題はありません。
私は杖を構え、スフィアは私を見守っていました。
スフィアに期待に応える為に頑張りましょう!
『氷よ!氷の壁を作れ!』
魔法を唱えると、私よりも大きな氷の壁が目の前に出現しました。
本来、この魔法は防御をするために使うものですが、
今日はこれを利用して涼しみます。
私が最初に氷の壁にそっと手で触れてみました。
次に身を任せるように氷の壁にくっつきました。
『凄く涼しい!!』
『本当!私も触ってみる!』
スフィアも私と同じようにすると、とても涼しそうにしていました。
『これは・・・快適だな』
『快適よねー』
しかし、いくら日陰の所でもやっぱり外に出ると暑いですね。
これは改善が必要になります。
二人で考えているとスフィアが、
『槍を取って来るからエリナはもっと大きくて四角い氷を作って』
と言って家に戻って行きました。
んー?何をするんでしょうか?
それにしても、要望が以外と難しいですね。
作れないことはないと思うけど・・・取りあえずやってみましょう。
『氷よ!!力を貸して!!』
想像をして魔法を唱えると、何とか上手く出来ました。
あら、私って天才かしら?
スフィアが戻ってくると、とても驚いていました。
スフィアはお礼を言ってから『後は私に任せて』と槍を構え、
私に『少し危ないから離れていて』と言葉を残しました。
本当に何をするのかしら?
すると、スフィアが一呼吸してから槍を思いっきり突きました。
『はあっっ!!』
槍が氷に刺さると、刺した所からヒビが入ってきて氷が砕け、
真ん中に空洞が出来ました。
『ふー・・・上手くいったな』
そう、スフィアは氷のかまくらを作る為、
大きな氷を作ってほしいとお願いしたみたい。
『す・・・凄い・・・』
『いや、凄いのはエリナだよ。ありがとう』
そう言って頭の上に手をポンッと置いてくれました。
幸せー!!
いえ、それは置いといて。
早速二人で入ってみました。
『『涼しいー!』』
これは想像以上に涼しいです!むしろ、ひんやりしています。
外があんなに暑いだなんて嘘みたいになりました。
『これは快適だわー』
『さすが、エリナだよ。これは快適だ』
今日は凄くスフィアに褒めれるから幸せー・・・。
二人で快適に過ごしていると、聞きなれている声がしました。
『なにこれっ!?』
『氷のかまくら・・・?』
振り向いてみると、友達のアインとネイでした。
『おっ、アインとネイ!いい所に来たな。そこにいても暑いから入って話そう』
姉妹を見たら二人でノースリーブの格好していて、
姉がミニスカートを穿いて妹がホットパンツを穿いてました。
涼しい格好をしていましたが、顔に少し汗を掻いていました。
『お邪魔しますー』
『お邪魔するね』
アイン達が少しだけ遠慮をしながら入って来て、
奥まで氷のかまくらに入ると、二人は驚いていました。
『んっ、涼しい!!』
『あら、本当ね』
二人にも絶賛してくれました。やったです。
四人で涼んでいると、スフィアが口を開いて話始めました。
『ところで、アインとネイはどうして此処に?』
『あっ、そうよね。スフィアに用事があったの?』
二人に尋ねてみるとアインが
『暑いからデザートを食べに行こうと思って誘いに来たの』と言い、ネイが続いて
『エリナの家にも行ったんだけど、留守だったからスフィアの家に居るのかなと思って来た』
と話してくれました。
それはお手数掛けましたね。
二人の話を聞いたら確かにデザートも食べたい気分ですね。
けど、此処から離れたくない気分もあります。
んーそれにしても、何か大事な事を忘れている気がします・・・。
頭の中で考えていると、スフィアに肩をちょこんと叩かれました。
『なーエリナ』
『ん?なぁに?』
デザートを食べに行くかの相談かな?と思ってましたが違いました。
『この氷の魔法って溶けないのか?』
『・・・あ』
そうです、そろそろ溶ける時間帯です。
気がついたのが遅く、魔法の効果が切れて一瞬にして大量の水が降って来ました。
『わっー!!』
『冷たいっ!』
『ネイ!大丈夫!?』
皆が水で全身濡れ、服が透けて下着が見えてしまいました。
『わー!すっかり忘れていたわ!!ごめんなさい!!』
『アイン、ネイ!家に上がって着替えを!』
もう、どたばたでした。
皆の服が乾くまで外出を辞めて家の中で過ごしました。
アインとネイはスフィアに私服を借りていました。
『ありがとうー、スフィア』
『洗って返すわね』
『いや、良いさ。それよりもエリナー・・・』
バスタオル一枚で過ごしている私を見て心配されました。
『私の服、借りなくていいのか?』
『だ、だって・・・スフィアの服を着たら私、興奮してどうなってしまうか』
『普通に問題発言をするな!』
ツッコミをされてしまいました。
結局、スフィア言い負かされてレディースのワイシャツを借りて着ました。
『あ・・・スフィアの良い匂いがする・・・』
『恥ずかしくなるから辞めろ!!』
激しいツッコミをされていたかったです。
しばらく待機をしていると、皆の服がようやく乾いたので服を着替えました。
皆でデザートを食べに行こうと思ってましたが、外が暗くなっていました。
空いている窓からアインとネイが外を眺めて残念そうにしてました。
『んー、今日はもういけませんねー・・・』
『残念ー・・・』
これって私の所為かしらね?そうよねー・・・。
誤ろうとしてアイン達の元に行こうとしましたが、
アインが振り向いて笑顔で言ってくれました。
『まぁ、涼しかったし楽しかったからこういうのもいいよね』
『エリナとスフィアが氷のかまくらを作ってくれたおかげだねー』
まさか感謝をされるとは思いもしなかったので驚いてしまいましたが、
同時に照れくさくなりました。
だから、私も笑顔で答えました。
『うん!どういたしまして!』
アインとネイが優しい子で本当に良かったです。
スフィアも『確かに水を被ったおかげで涼しかったよな』
と笑って許してくれました。
次回はダークエルフのフリシアが登場します!