魔法使いの休日
エリナの休日回です!
のんびりとしたお話をお楽しみ下さい。
『ここの喫茶店は落ち着くわー。ハーブティーも美味しくて最高ね』
『エヘヘー、ありがとうね。エリナちゃん!』
今日はギルドに行きませんので魔女の格好をせず、
花の絵柄がオシャレなチュニックブラウスを着ています。
そして今私は「ミンティ」という喫茶店でペパーミントを飲んで寛いでいます。
ここのお店は友達のアーナちゃんの親が兼営しているところで、
スフィアがとてもお気に入りの喫茶店なんです。
アーナちゃんはいつも親の手伝いをしてとてもいい子なの。
今日も一生懸命働いています。
『お待たせしましたー、アイブライトでーす』
『はーい、アルファルファのおかわりですねー』
『オレンジピールですね、少々お待ちをー』
・・・急がしそうですね。
アーナちゃんの母も大変そうにしています。
これは手伝ってあげた方がいいかな?
私の近くを通ったアーナちゃんに声を掛けました。
『アーナちゃん!手伝うよ!』
『えっ?』
私はアーナちゃんの親にも許可を貰い、手伝ってあげることにしました。
予備のミントが散りばめている絵柄のエプロンを貰って装着し、準備万端だわ!
やる気は十分でしたが、アーナちゃんの親は申し訳なさそうにしてました。
『本当に手伝って貰っていいのかしら?なんだか悪いわ・・・』
『エリナちゃん、お客さんなのにー・・・』
『いえいえ、気にしないで下さい。面白そうだから一度やってみたかったんです』
そう言うと、任される事になりました。
『じゃあ、お願いしますわ』
『任されました!!』
『よろしくね!エリナちゃん!』
こうして、一日限定の店員さんになりました。
『はーい!レモングラスですねー』
『ローズマリーでーす!どうぞー!』
初めてにしてはテキパキと動けていると思うけれども、
男性客の視線が気になります。
んー、もしかして失礼な事をしちゃっているのかしら?
『あの赤い髪の子、すっごい可愛いよなー』
『だな、モロタイプだわー』
『ナンパしてみようかなー』
『辞めとけ、あんなに美少女なんだ。お前じゃ無理や』
『んーだよなー』
『やっべーわ。まじで美人だわー』
エリナが心配して私に相談をしていたけど、その心配はないようですね。
めっちゃ人気者です。
私もお客さんに可愛いーと言われているけどエリナには勝てないなー。
その後、お客さんがお会計をする前にエリナに声を掛ける人が多かったです。
『一目惚れしました!』
『付き合ってください!』
『仕事終わったらどっか行かないかい?何でも奢ってやるぜい!』
凄い勢いでナンパをされたエリナは丁寧にお断りしていました。
『ごめんなさい!好きな人がいるから無理です!』
男性客は素直に諦めて帰りました。
それにしても、エリナに好きな人がいるなんて初耳ですので驚きました。
手伝いが終わった後に尋ねてみると、
『私には大好きなスフィアがいるから他の人と付き合えませんわ』と言われました。
本当に仲良しな二人ですね。
手伝いが終わったエリナは再びカウンター席に座り、
ペパーミントをお代わりして休んでいました。
『さてと・・・そろそろ私は行くね!お会計お願いしますわ』
『えっ、手伝って貰ったのに受け取れないよー。ね?ママ』
困った私は、隣にいたママを見て話しました。
ママも『受け取れないわ』と言ってハーブティー代を無料にしました。
『ご馳走様でした!また来ますね!』
『いつでもいらっしゃい、エリナちゃん』
『エリナちゃん、まったねー!』
ハーブティーが無料になって嬉しくなった私は、つい顔がほころんでいました。
フフー、得した銅貨で何を買いに行こうかしら?
と、言いましても先ほどに衣類屋に行き、
雑貨屋にも行って欲しい物がなかったからどうしましょうか。
『どこかにいいお店ないかしらー・・・』
町を歩きながら考えていると、ある事を思い出しました
今日はあのお店やっているわね。
いい所を思いついたので早速行くことにしました。
◯
目的地の『姉妹の薬屋さん』という名前のお店に辿り着き、やっているかを確認しました。
『おっ、やっているわね』
ドアには『open』と看板が書かれていたので入りました。
『久しぶりねー、元気にしている?』
店内に入ると、左右の棚に色んな薬が小さなビンに入って並べられていて、
カウンターに白髪の姉妹がいました。
二人は私に気がつくと、とても喜んでくれした。
『あっ!エリナだー!』
『久しぶりね、エリナ』
そう何を隠そう、この薬屋の経営している姉妹は友達のアインとネイなんですよ。
童顔で可愛くて似ている姉妹の見分け方は、
白髪のポニーテールが姉のアインで、髪が肩までしかないちょっと短めなのが妹のネイ。
ちなみに、こちらもスフィアの友達でもあります。
軽く挨拶を済まし、私は棚からある薬を手にしてカウンターに持って行きました。
『アインー、ポーション一つ頂戴』
『はーい、まいどありねー』
銅貨を数枚出してお会計を済まし、
ビンの蓋を開けてその場で飲みました。
『ん~!やっぱりここのポーションは美味しいわね!』
『ふふ、ありがとうね』
『うちのポーションに勝てる薬屋は他にないのー。ね、お姉ちゃんー』
『うちの自慢のポーションよね』
ここのポーションは本当に美味しくて、
元気があってもつい飲んでしまいます。
そんないつも通りに会話をし、
飲み終わった後も直ぐに帰らずに立ち話をしていると、ドアが開く音が聞こえました。
お客さんが来たんでしょうね。
『『いらっしゃいませー』』
ふと、私も後ろを振り向いて見ると、
とても小さくて可愛らしい女の子が来ました。
見た目は七歳くらいでしょうか?
金髪に短めのツインテールに、白いワンピースを着ている美少女でした。
か、可愛いー!!
御使いかな?カウンターの近くに来てネイに声を掛けました。
『おねえちゃんー、ママがかぜひいたのー・・・』
『風邪薬ね、丁度一つあるよー。今持ってくるから待っててねー』
『うん!』
ネイがカウンターから出て、風邪薬を棚から取り出して女の子に渡しました。
『銅貨5枚ね』
『はーい』
女の子が薬をピンク色のポシェットに入れ、財布を捜していました。
『・・・あれ?』
女の子は焦ってポシェットを床に置き、中を漁っていました。
『ない!?家に忘れてきちゃったかも・・・ごめんさないおねえちゃん!』
薬をカウンターに戻して一度帰って取りに行こうとすると、
アインが止めて呼びかけました。
『待って!』
薬を手にとって女の子の元に寄り、薬を手渡ししました。
『お母さん、風邪を引いて大変でしょう?だからこれを持って行ってあげて』
『え?でも・・・お金が・・・』
『お金は今度お店に来たときに払ってくれればいいわ。
だから、早く持って行ってあげなさい』
女の子は申し訳なさそうにしながら薬をポシェットにしまい、
お礼を言いました。
『ありがとっ、おねえちゃん!』
『ええ、またね』
女の子がお店から出るのを見届け、アインがこちらに戻って来ました。
『いいの?』
私がアインに尋ねると、笑顔で返ってきました。
『ええ、だってお母さんの為に薬を買ってくる子よ?悪い子なわけないじゃない』
『もー、お姉ちゃんは本当にお人よしなんだからー』
『ふふっ、そうかもね』
アインは本当に女子力が高いなーと改めて思いました。
『さてと、それじゃあ私もそろそろ行くわ』
『ええ、またね。エリナ』
『まったねー!』
お店から出ると、外はうす暗くなっていました。
ちょっと立ち話をしすぎたかしら?
そろそろ帰りましょうか。
今日はゆっくり過ごせて楽しかったのですが、スフィアに逢えなかったなー。
今度、スフィアの家に遊びに行くのもありですね。
次回は魔法使いらしい日常?