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彼女の目覚め、幾年の夢のめざめ

彼女は個体を取り戻し、水中を翔け行く


謎は彼以外に解き明かされることは無い



水の中を高速で駆け抜ける




そんな意識、尾びれは足よりもずっと速くこの身体を動かしてくれる






先程、大型魚の群れを追い、水面に顔を出した途端思い出したのだ、【過去】を








―――…




2010/9.15   00:09







イイダ君?間違いない?




前身の隔離服の白衣の男が尋ねる


「はい」


ここは



「あの、ここは?」



大丈夫?麻酔で記憶が混濁しているようだけど


問題ないだろう、此処に居る限り誰も関知できないし、本人の事前承諾書類も用意してある。



始めよう




目の前にシートを被せられ、視界がぼんやりと曇る


担架で何処かに運ばれているようだ



「潮の香り…?」




そうだよ、ここが君の住みかとなる






『輸送艦 とよと』だよ



身体を起され、シートが取り除かれ


目の前のプールには巨大な海獣が三体海水に浸っていた




眠っているのは、居ませんね。


ほらイイダくん、先輩たちだよ



『ヴォーォヴァ』『ヴゥィーブィ』


二体の巨体が水槽から顔を出してあいさつした




真ん中の一体は鎖につながれて、眠っている







あの真ん中が君の新しい肉体だ





「なぜか…なぜだか、この身体より好きになれそうです」






喜んでくれて何より、それじゃあ君をあの中に意識を送るよ





「はい、お願いします」








ここからは『僕』の記憶は途絶えているので管理員の保存したカメラの映像から続く





―――2010/9/20




『手術プール』




「『検体004』の脳を移植する」



その後、巨大な脳が入ったビニールがクレーンで繋がれ運ばれてきた





『処置室』




「脳波調整…周波数は…」


突然にブザーの警告音が鳴る


「どうした!」


「意識の混濁が始まりました!他の検体も暴れています!」




「くそッ!一階に降りる!」





『手術プール』



「脳は露出したままですが…」





ギョロとこちらに目を睨む『004』




拳銃のコックレバーを引き海獣の脳に向け


「コード7だ!」



「他の個体同士で意識の混濁、溶解が始まっています!」





「!」


船が金属の軋みを挙げ、実験室全体に勢いを持って海水が流入する






「なんてことだ…」





カメラは傾き、男の足元を移す


その最後の一言が印象的だった




「人類の時代の終焉だ…」




---



2010.9/22


10:08



誰かがカメラを持ち、映像が他の場所に映り民家の室内のテレビを映している




『北米、アジア大陸、アフリカ大陸、世界全土、様々な場所にこの現象が…』





『みなさん、自分の身を第一に…』




外の悲鳴が局内にも聞こえる。





『神よ…!』



この悲劇に女性キャスターは祈りを捧げずには居られなかった






――

















場面転換し、今度は荒廃した都市の大型テレビを映していた



2015/12・26


11:24




『生きとし生けるもの、今、生きている人類へ告げる』







『特に、人間は脳波拡散装置の近くにお寄りください』



『再度告げます』






――――――…






人類はまだ生きているだろうか…


原因は自分に有るので余計に気になる






まず、先程の私の行動を思い返す



『歯』が数本痒くなり、海の中の鉄柱を噛んでいた、その柱が何か青い光を照らし




それに驚いた私が海面に逃げたところマグロの群れを見つけ



海面に飛び出したマグロを追いかけて食い荒らした











私はこの水没した都市の周りに縄張りを持っていたようだが


獲物も少なくなっていた


獲物を得るには海洋に出なければならないし縄張りを固持する必要もないだろう


この身体の大きさからして近場の海底にも潜れるだろうし





よし、満腹になったら故郷に帰ってみよう












海洋で彼女は数多の出会いを果たす


ご視聴ありがとうございました

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