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げーむおーばーしました、そして彼女はどこかで目覚め始める

そして、たくさんのアリス達の内、一つの物語は始まる





1978年



始まりは北米の観光地である山の永久凍土



山に堆積していた古代の氷が崩れて行く様子


それを撮影していた家庭のホームビデオ、観光客の一般的な携帯電話で撮影した映像から物語は始まった




氷の一面が崩れ、その先の一枚の巨大な氷に周囲の人々は驚きを隠せなかった












【18メートルはあろうかという巨大なワニのような生き物】が頭を空に向け氷に眠っていたのだから







直ぐさまその国の機関が動き出し、この出来事が国家的なニュースとなる前に研究機関へと移送された



再び物語が日の目を見るにはそれからしばらくの年月が必要となる












2009年



往年よりも科学技術は飛躍的に発展し、電子機器や生体工学、サイバネティックスや医術的な分野が特にに発達し


人々が夢見た仮想の世界へと旅立つことのできる


"ゲーム"という形態の一つの完成系ともいえる


仮想空間の電子ゲーム機器


ヴァーチャルリアリティ 通称VR


ベッド型の没入型VRゲーム機が廉価版となって

ゲームセンターなどで比較的大量に出回ることのできる時代となった












数々のゲームソフトが発売され、一番の人気は人類とは違う視点で


人類とは違う"身体"を動かすことのできるゲームが少数であるが発売された





特に海、陸に分かれた生き方のできるゲーム



   【リビング・オブ・シー&ランド】



という超人気作は様々な生物に分かれ同じ現実の実物大のマップにプレイヤーが好きに生きるという自由な発想のゲームがその自由度の高さから選ばれていた






日本の一人の男性の青年の彼が今回の物語の主役である































ネットの攻略サイトでもその異常な難易度の高さに


扱うことができた人間は廃人プレイヤーでも引くレベルのネタとして扱われる


その名をもじり『猛者さん』と呼ばれる種族



先ず、最初はどの種族も生け簀の幼体からチュートリアルは始まる





だが、コイツだけは海洋の真っただ中で6メートル級の中途半端にデカイ身体のまま始まるのだ


基本は内臓や、身体の動かし方については運営側からメーターなどのアシストが付くがその一切がなく


巨大な肺の動かし方、心臓の動き、その他もろもろの内臓の凝縮、血液の循環具合の調整、此奴だけがかなりシビアに創られており



コイツを始めてプレイする人間は必ず一度は死亡する




最初の食事からして積んでいる。



この生き物の身体の形、生態系としては浅瀬で食事をすることを主としているのだ




真下が深海のどこまでも広がる大海洋マップでは獲物は少ない




ごくごくわずかな可能性程度の幸運で漂ってくるクジラプレイヤーの食事された屍骸である



むしろスタート時はクジラよりも小さい体で【シャチ・サメ】の食物連鎖の頂点には特に気を配らなければならない










といった



攻略に犠牲次ぐ犠牲でようやく、チュートリアルを突破した人間が出始めている




俺も体つきの似たワニやサメ・シャチといった動物の動かし方の特徴を掴んでコイツに挑んでいる



が、俺はチュートリアルで何度も失敗を繰り返している





課金キャラクターなのでデスペナルティの喪失で一回200円の繰り返しで心がくじけそうになってもイソギンチャクやサンゴ。景色の良い岩礁でプレイを行い綺麗な景色を楽しんだり、まったりと心を鎮めるメリハリプレイも忘れない








そんなまったりプレイの最中、昔の友人に出会った


ミノカサゴの時分であった





タカユキ!そう声をかけられた



俺は本名を「飯田貴幸」


ここでは猛者さんなのだ



私は誰だか分かりませんと云った風に無視をしてログアウトしよう



お前をみんな、待ってるぞ!クラスの奴らも



俺は言ってやった「成り損ないと言ったのは何処のどいつだ」


誤解だのなんだのと御託を抜かしたので叫んだ




「卑怯者め」と


散々虚仮降ろしておいてっ!




後になればそいつの言葉を聞いておけば手術台の上で後悔せずに済んだのに

















「身体を抜け出そうとする若者を全力で応援します!」


ゲームセンターの帰り政府の広報がある日家に届いた



騙るチラシだろうと面白半分に調べてみるとネットニュースにもなっていた


なんでも肉体を捨て去り、意識を電子媒体となる被験者の募集をしていたようだ




古い肉体は脳だけが生きている人間に利用するらしい




「ちょうどいい…っ!」


その日は何時もの"薬剤"の切れる最終日だ






逃げ出せる…世界から…!



この"世界で最悪"な身体から…!






自室の機械のコードであふれる部屋の中で整然としたベッドで横になった



…その瞬間意識が白く染まり





時間が跳躍した







【管理員】?ここは…水の中?意識の混濁?何を…?




こーどせぶん?




いしきの…ようかい…とけてる…








『訳の分からない状況が続き先程のプールの中から白い部屋の中に居た』





『目の前の立派なアンティークの木机には』


『曖昧な赤青黄色の糸の絡まったヒト型の何かが』






『それが、机の木椅子に居て【私達】(じぶん)を眺めていた【私達】(みんな)が眺めていた』







『ソレを理解できた、私は今、電子データの海(せいぶつのみなもと)に居て』




『もはや【私・僕】(ヒト)という個体は存在せず』







『【私達】もボックス【個体β004】(いいだたかゆき)と同じような境遇の

総意識帯(わたしたち)】【共同データ至情以下意味ベータ群《ヒト種・記憶フォルダ》】で構成されている』






『ログを見ても判らない』


『自分たちの姿形…、生まれ、経緯…』


『薬剤…猛者さん?…ゲーム?世界…?』



『【私達】は…なんだったんだ…?』

























『【私】は私達に問う』



  『わたしは、【あなたは・・・】』
























とうとう、月下の大海の水面の水飛沫に一つの怪物の頭が姿を現す





     「 ヴォ――――ォ――――ォ――――ァア"!!!」




水面から島より大きな頭を飛び出すと恐ろしい雄叫びを残し月夜の水面は静まった


この世界に"彼女"が産れた息吹であった















そもそも、生物とは本来、個体(きおく)ではなく群体(ほんのう)としての生物なのだ


一度情報の海に溶け込んだ彼、若しくは彼女は


自身の前世からその肉体の扱い方を学んだ経験があり


それに引き寄せられ、精神も肉体も"本来の生態系とは"変態"していった




獰猛なハンターであった彼女は狩りに使用する知恵をつけ


固持していた縄張りを離れ、自由気ままに回遊する




舞台の時まで"永く"なってしまったが


推察の通り彼は人間を離れ、名を失い


化け物と化して、文字通り『転生』を成した



次のお話にはここまでの経緯を綴り、彼の続きを語ろう





閲覧ありがとうございました

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