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エモーション データ  作者: 微風シオン
シャーレット編:楽と怒りの章
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第8話 ココル脱獄計画:決行

 

 アルビーを筆頭に開始された『ココル脱獄計画』

囚人達はクロウが入手した『マスターキー』で全員無事に脱出できる。

みんな各檻でリーダーを決め、意見や情報は檻越しやこっそり紙を渡したりして進めていた。

計画が発案されて三日目の今日、調べたことで出てきた課題をみんなで片付けていく会議が開かれた。



この収容所からの脱出、それには関門が三つあった。

それらの関門を突破しなければ、脱獄は不可能。

故に、失敗は『死刑』を意味していた……



一つ目の関門は『監視の目をどうするか』

この収容所には死角もないほどの無数の監視カメラが設置されている。

しかもカメラはご丁寧にガトリングガンまで装備している始末――。



仮にカメラを潜り抜けても、取締役の『赫怒蓮』もおとなしく外に出してくれるわけがない。

『早速作戦立てる前に積んだかよ』と呆れた表情をするクロウ達に提案してきたのは『アルビー』だ。


「なあ、カメラって夜は真っ暗な中でどうやって俺達を監視していると思う?」


「確かに、どうやって監視してるんだ?」


ざわつく一同にアルビーは一つの答えをみんなに告げる。


「俺が思うに、サーモグラフィーだ」


「サーモグラフィー?」


「要するに、体温で判別して暗闇でも俺らを監視できるってわけだよ」



サーモグラフィーの監視カメラ、それを収容所にあるものだけで突破しなくてはならない

周りの意見が飛び交う中、『そんなものここにあるのか?』と一瞬考えて一つのアイデアがクロウの頭を過る


「シャワー室……。シャワー室だ!」「あそこで体温を下げればカメラも潜りぬけられる!」


「そうか!その手があったな!」



アルビーは即座に賛成意見を出した、彼の頭ならピンと来たのだろう。

幸い、シャワー室はクロウ達が収容されている場所の目の前だった。

行きでいきなりシャワー室の扉を開けて、中で冷たいシャワーを浴びれば

サーモグラフィーで動いているカメラの目を欺けるというものだった。



とりあえず、カメラを欺く方法は解決した

可能ならばカメラをシャットダウンさせ、その隙にみんなで逃げるというものだ。

そして、次の問題は『赫怒蓮』だ。



この中で取締役を引きつけられる奴は多分自分が適任だろう。

進んでこの問題を引き受けるしかない。

考えるよりも先に行動に移した方がいい――。

それをクロウは学んだのだ。


「俺がやる。俺が赫怒蓮を引きつける」


「大丈夫か?クロウ?」


「ああ、俺が時間を稼ぐ。お前達は気にせずにまっすぐ進むんだ」



こうして取締役を引きつける、いわゆる『オトリ作戦』はクロウがする事となった――。

二つの問題に対する作戦を決めたところでその日の会議は終わりを告げた。


「さあ、決行は明日の夜だ!!各自で準備を進めておくように!!」


「解散!!」


次の日の朝、いつものように死刑になる人物の名前を読み上げるという狂った日課が行われる。

順番に名前が読み上げられていき、幸いにも「アルビー、ダロン」そしてクロウの名はなかった。

下っ端は署長のマスターキーが抜かれた事に気づいていない。

そして、署長自身も……。


その日は、作業と同時に内部の再確認と女性が収容されている場所も確認した。

場所はクロウ達が収容されている場所と真反対の位置にあった。

廊下は一直線で、男性が収容されているのは右側。

女性が収容されているのは左側だ。

監視室は廊下の真ん中の位置で、まっすぐ通ると署長室があって、そこを突破して初めて出口だった。


つまりは難攻不落の要塞みたいなものか?いや、まだこの収容所は小さい。

犯罪が少なくなったこの国では、もう大きな刑務所自体がなかったのだ。


そして、夜――。

彼らの命懸けの脱獄劇が幕を開けた。


時間は消灯時間である午後十時過ぎ、

アルビーの開始宣言と共にそれは始まった……。


「では、作戦を決行する!!」


そういうと打ち合わせ通り、クロウがマスターキーで開錠し、

アルビーは一直線にシャワー室へ

濡れて出てきたアルビーはカメラの前に立つが、カメラには何の反応もない


アルビーの読み通り、カメラはサーモグラフィーで動いていた。

そして、一気に監視室へ……。


シーンと辺りは静まり返る。

次の瞬間、ピッという音と同時にカメラが全て下を向いた。


「カメラを全て停止させたぞ」


監視室のドアから顔を出してそういうアルビーにみんなは小さな声で称賛を送った。


「喜ぶのはまだ早いぞ、ここから生きて出るのが本題だ」


「クロウ、マスターキーで全ての部屋を開錠してくれ」


「了解」


恐らく、男子側の囚人達を全て牢獄の外に出しただろう。

ここから脱獄するには「赫怒蓮の部屋」をどうしても通らなければならない、

脱獄は容易ではないはずだ。


「そうだ、クロウ。監視室で見つけたんだが、お前が持っててくれないか?」


「こ、これは……!?」


それは、比楽光晴が持ってた「ラートフォン」だった。

カラーは比楽光晴の使用していたものと同じく赤色だが、未使用であるかのように綺麗だ。

だが、恐らくは別のものだろう。

「なんでこんなところに?」という疑問を抱きつつも

とにかく脱獄が先だとクロウは進み続ける。


男子達は全員が走って一斉に赫怒蓮の部屋へと向かう。

クロウは女子達が居る部屋へ向かって部屋を開錠した。


「遅かったじゃないの」


キャットも無事だった。

女子達もみんな特に迷う素振りを見せず、一斉に走り出した。


「そうだ、キャット。お前はみんなと先に行っててくれ」


「え、ええ。分かった」


その場は誰もいなくなり、辺りは静まり返った……。

クロウは一つ確かめたい事があったのだ。


それは、ラートフォンの起動だ。

もしもこれを起動したら「人工知能アライ」が出てくるんじゃないかと思ったからだ。


そして、クロウは恐る恐るラートフォンの電源を入れる……。
























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