ep.8
これで、書き溜めがなくなった。
テスト期間なので、少しの間投稿出来ません。
一週間以内には投稿出来るよう、頑張ります。
~修二side~
さあ修行だ。
修行と言っても魔法と魔術を使いまくるだけなんだが。
始める前にまず、魔法と魔術の違いについて確認しておこうか。
この2つは、大きく見るとだいたい同じものだ。
しかし、発動までの手順と、発動後の効果が違う。
手順を簡単に言うと、
魔法は、使用者のイメージが必要。
魔術は、専用の術式が必要。術式には魔法陣、詠唱等がある。
これだけだと魔法の方が使いやすく便利に聞こえるが、戦闘を行う人の多くは魔術の方を多用する。
魔法を戦闘で使う人が全くいない訳ではないが、使える人は限られている。
何故なら、魔術の方が高い火力にしやすいから。
魔法でメラ○ーマを打とうとすると発動しないことの方が多いのだ。
俺が初めてやった、ライターくらいの火なら簡単にできる。
だから、魔法=生活魔法と認識する人が多い。
というかこの世界にいる人はほぼ全員そう思っている。
魔術の中にも無詠唱は存在する。
ただそれは、技名だけを言うことや、頭の中で技名を唱えることを指す。
魔法は技名すらないのだ。正確には正式名称が無い、だ。
魔術の開発は4種族合同で行う。
1種族で行うよりも効率がいいことが500年以上前に立証されたのだ。
そこで作られた魔術は4種族合意の下、共通の名称がつけられる。それが正式名称になる。
しかし、ここ100年は新しい魔法はできていないそうだ。
ここまで一気に魔法と魔術の違いとそれぞれの特徴を説明したが、今日は魔術を使ってみる。
まずは、すぐにできる詠唱の方だ。
詠唱は効果や属性によって異なるから、いちいち覚えなきゃいけない。
当然、朝に魔術を知ったばかりの俺が覚えているはずもなく、魔道書(雑誌)片手に詠唱だ。
「我、火の精霊に願う。我の声に応じ、それを現せ。【ファイヤ】」
拳大の大きさの炎が掌の上に現れる。球ではない。
ライターの上位のような感じだ。
しかし、思っていた以上にくるな……。
声に出すと余計に。
…今日はこのくらいにしといてやろう。
これ以上続けたら、中学二年の病気に罹りそうだ。
魔術はまたの機会に。もしくは魔法を極めるか。
気を取り直して、次は魔法陣。
テンプレのように魔法陣が実は漢字に見え……なくも…ない…ような……気がする。
文字のようなものと、模様が描かれている。
魔法陣を書くには、指先に魔力を集め、何かに書いていく。
主なものは木の板や札。あとは革や布、紙など。
空中に書くこともできる。が、書いた魔力が魔素になるのを抑えることが出来るならという条件付き。
A4より少し小さい紙に魔道書に書いてある魔法陣を写していく。
そんなに難しくないやつなのですぐに完成。
魔力を流す。
魔法陣が少しだけ赤く光りだす。
ボッという音とともにさっきと同じ炎が現れる。
よし、成功だな。
数秒メラメラと燃えていたが、やがて消えた。
紙は熱で焦げていて、再利用は無理だろう。
文字のようなところを漢字に変え、ほかの模様はそのままで書いてみた。
魔力を流す。
さっきと同じように炎が現れる。
やはり、漢字で代用できるか。
テンプレで済ませればそれで終わりだが、ちょっと自分なりに考えてみた。
何故漢字が魔法陣に使えるのか。
漢字は元々見たまんまを写し書いたもの。
つまり、それそのものを現している。
そこに魔力を注ぐ、そうすると想像したものを具現化させる力を持つ魔力によって想像するよりも簡単に発動出来る。
まとめると、漢字は頭で想像したものを表すということになる。
ピコンッ
『【独自理論の具現化】を使用しますか? yes / no』
考えをまとめていたら目の前にメッセージが表示された。
今のちょっとした考えでも理論になるようだ。
取り合えずyesを押しておこう。
…特に何も起きない。
こんなもんなのか?
…いや、もしかして今ので全ての漢字が魔法陣として使えるようになったとか。
試してみる。
紙に変色と書いてみる。
魔力を流すと紙全体が黄色っぽくなった。
他にも色々試してみた。
結果は、全て発動。
漢字なら絶対、かどうかは分からないが、大体は発動可能と考えていいだろう。
その後も様々な魔法や魔術を使いまくった。
夕方になり腹が減ったので、修行部屋を出てリビングに向かう。
リビングでは、クーシーがお腹を空かせて待っていた。
すぐに夕食の準備に取り掛かる。…と言っても食材を入れるだけだが。
夕食の後はいつも通り風呂に入る。
初日から疑問に思っていたんだが猫って水が苦手じゃなかったか?
でもクーシーは普通に入ってるし。
しかもシャンプー、リンス付き。
…まあ本人?がいいならいいか。
風呂から上がると8時になるかなといったくらいの時間だった。
寝るにはまだ早いな。
というわけで雑誌を取り出す。
魔道書以外に良さそうなジャンルがないか探してみるのだ。
クーシーはソファに座っている俺の横でゴロゴロしている。(比喩にならず)
暫く、目次を開いた雑誌とにらめっこする。
そして見つけた、『錬金術の極意』。
錬金術は元々興味はあった。
魔法にハマりすぎて忘れていた。
今日は読むだけにして、試すのは明日にしよう。
暫く読み進め、知り得たことを簡単にまとめる。
錬金術は魔術と似たものと考えられているらしい。
錬金術の技術の中に、乾燥や蒸発などがある。
これらは、手動でなく魔術で行う。
しかし魔術のように詠唱や魔法陣を必要としない。
だからと言って魔法のように想像で発動するわけではない。
あくまでも決まった効果を魔力で発動させているだけだ。
こういった特徴ーーー魔法と魔術の中間ーーーがあるため、使える人は少ない。
イメージがしずらいのだ。
前述を聞けば分かるだろうが、錬金術には地球で言う化学の分野が含まれている。
錬金術の開祖である男は、化学的な研究者で、研究中に偶然見つけたようだ。
そのことを世界に広めようと、本を書いたり、情報を色々なところに流したりし
た。
しかし、錬金術が広まることはなかった。
いや、基本的な知識のみが広まった。
なぜならさっき述べたとおり、錬金術を使える人が少なかったからだ。
今迄の錬金術を使うことができる人の使用例や現在発見されている技術を見ていてある点に気づいた。
錬金術を使う人が技術で壊れたものを直す時。
破損が多い場合は、多くの魔力を使う。
しかし、壊れた物の元のパーツがあると消費する魔力が少なくなる。
普通に考えれば、おかしなところなどなく当たり前だと思うだろう。
だがこんな考え方も出来るのではないか?
これは、足りないのを魔力で補っていているから、当然足りないのが多くなれば魔力の消費も多くなる。
例を上げるならば、物々交換。
物同士を交換する時、全く同じ物は同じ価値を持つ。
しかし、その物が少しでも壊れていたりしたら価値は下がる。当たり前だ。
そこで、足りない価値の分を現金によって補う。
最後、物々交換じゃなくなったが、とにかく、現金=魔力だ。
分かりずらかったかもしれんが、結論を言うと、
錬金術は対価を、それと同価値を持つ物に変える技術である。
『【独自理論の具現化】を使用しますか? yes / no』
やはりきたか。
これを思いついた時からそう思っていたが、案の定。
迷わずyesを押す。
すると、漢字の時は何も起きなかったのに、今回は変化がある。
目の前の床に立方体の箱っぽいものが置かれていた。
驚き慣れたのか、あまり驚かない。
慎重に箱を手にとってみる。
1辺50cmくらいか。
重さは、バスケットボールよりも軽いんじゃないだろうか。
前面にカウンターのようなのがついている。
すごく心惹かれるが、時間がもう遅い。
続きは明日にしよう。
いつの間にか膝の上に乗っていたクーシーを抱え、寝室に向かう。
そのまま一緒にベッドに入り、寝た。
おやすみ。