ep.28
大変長らくお待たせいたしました。
……非常に筆が進みませんでした。
やる気とネタを探しにシンガポーまで行ってきましたよ。(半分嘘)
という訳で今回は少し短いですがご了承ください。m(__)m
修二は何事もなかったかのようにクーシィと合流した。
合流する途中、通り過ぎる人たちの会話を聞くと、ものすごい物を売っている店があるという話題で持ち切りだった。
さすがにあれだけ騒げば噂になるというもの。
あまりの騒ぎに、修二が去った後、衛兵が見回りに来たようだ。
間一髪である。……まあ悪いことなどしていないのだが、見つかっていれば面倒なことになっていただろう。
そんな周囲の会話を聞き流しつつ、合流したクーシィの両手にはゲソ焼きと焼き鳥が握られていた。
今もおいしそうにもきゅもきゅとゲソを食べている。
「クーシィ、祭りは楽しめたか?」
「うん、……でも一緒に回りたかった」
「そうか、じゃあ明日は一緒に回るか」
「んっ!」
クーシィの頭をフードの上から撫でると、嬉しそうにゆらゆらと左右に揺れていた。
宿に着いた頃にはもうすっかり暗くなっていて、昼間の賑わいもだいぶ静まっていた。
酒場などでは二次会と言わんばかりに男衆が酒を飲んでいるが、ほとんどの住民は真っ暗になる前に家へと帰っていった。
街灯などがないため完全に日が落ちてしまうと明かりなしでは歩けないくらい暗くなってしまいいつまでも出歩くのは危ないのだ。
今日一日別行動だったからか、いつもよりも積極的にくっついてくる猫姿のクーシィを受け止めながら修二は眠りについた。
朝。
昨日同様に、まだ日が昇って間もないというのに外が喧噪を帯び始める。
この世界の活動開始が朝早いというのもあるが、きっと数少ない祭りに興奮し張り切っているのだろう。
「……ふあぁぁ~~」
「……ふみぃぃ~~」
二人(一人と一匹)そろって欠伸をしながら起床。
暫くぼ~っとしていた二人だがようやく頭が起きてきたのかのそのそと動き出す。
まだ少し寝ぼけている二人だが、朝食を求めて宿の外へと出かける。
勿論クーシィは人型になっている。
昨日は準備があったため始まりが遅かったが、今日は昨日に引き続きの祭りなので朝早くから店をだしてる所が多い。
特に飲食系の出店はこの朝の時間にいいにおいを漂わせ、腹を空かせた客をおびき寄せようと早くから店を開いている。
朝ごはんを出店数店で済ませた修二たちは当てもなくぶらぶらと歩いている。
ただ何もせず歩き回っている訳では無く、所々にある賞品のある屋台で遊んだりしている。
今やっているのはピラミッド型に積み上げられた円柱の木材を木のボール2球で崩すというもので、1球ですべて崩したら1等、2球だと2等ですべて崩せなかったら景品なしというもの。
投げるボールは目分量で、ある一定上の体格だと軽くしたボールになる。
ボールが軽くなると威力がなくなり木材が倒れにくくなるのだが、そんなことをせずとも木材が意外と重いためちょっとやそっとじゃ倒れない。
多くの子供、大人が挑戦しているが中々1発で全崩しする強者はいない。
とそこに現れた期待の星、クーシィ。周りの客からはこんな華奢な子が出来るわけがないといった考えが顔に漏れ出ている。
修二はさすがに自重して今回はクーシィを見守ることにした。
まあ結果は言うまでもないだろう。当然クーシィは1球ですべてを倒していた。
華奢な腕から放たれる重く速くそれでいて機械のように正確な球、いや弾はドゴーンという豪快な音と共に木材をなぎ倒していた。
周りの客の唖然とした表情がしばらく消えなかった。
そんなこんなで数時間遊びまわった二人は現在街の大通りに来ている。
何でも今祭りの主役である勇者様のお披露目を兼ねたパレードが行われるらしい。
街を南北に走る通りを城に向かうように南から北に進む。
その大通りには噂の勇者様を一目見ようと大勢の住民が押し寄せている。
修二たちはそんな住民たちに押しつぶされないよう集団から少し離れたところにいる。
当然ながら後ろに下がるとその分見えづらくなってしまうが、もともと熱心に見たいと思っていた訳では無い。クーシィは興味がありそうだったので修二の上に肩車して見ているが。
「「「おおぉぉぉぉぉーーーー」」」
遠くから歓声が聞こえてきた。どうやらもうじきここを通るようだ。
wktkというよりも、やっとか、と言った気持ちの方が強い修二。
待っている時間が意外と長く、クーシィもだいぶ飽きてきてしまっているようだ。フードを取り毛づくろいをしている。
「「「勇者様ぁぁーーーー」」」
今度は近くで勇者コールが起こる。突然の大きな歓声にぼーっとしていたクーシィがビクッとなる。
ちなみに、住民たちがここまで未知の勇者に対して盛り上がっているのは、王家が勇者の噂を流しているからだ。この国、つまり自分たちの役に立ってくれる凄い人物というのだから盛り上がらないのは難しいのだろう。……まぁ、ただ単に祭りの雰囲気に呑まれ勢いづいているだけかもしれないが。
修二は周囲との温度差を感じながら注目の人物へと目を向ける。
そこにはやはりというべきか、黒髪黒目のthe日本人と言った顔の中学生くらいの少年がいた。
彼は自分を呼ぶ声に堂々とした姿勢で手を振り答えている。多少は緊張しているようで笑顔がどこかぎこちない。
(しかしあの年にしては中々肝が据わっているようだ。………もしかしたら、こういったことを日々妄想しているある種の変態かもしれんが)
そんなことを修二が考えている間にも勇者を乗せた馬車は進んでいき、修二たちの前を通り過ぎる。
と、その時、勇者である少年が修二の方を、正確には少し上、クーシィをガン見していた。
今のクーシィはフードを取っているため、その整ってはいるがまだ少し幼い顔、透き通るような白い髪、そしてちょこんと頭頂に付いた猫耳をさらしている。
誰もがこの騒ぎでなければ振り向くような美少女を彼の少年はピンポイントで発見したようだ。
今も食い入るように見ている。主に猫耳に目がいているのは気のせいか。
ここまでくれば修二も気づく。
(あ、変態の方だった……………………)
お読みいただきありがとうございます。
今回は本当に難産でした(´・ω・`)
かなりおかしな所があるかもしれません。見つけたらスルーか報告をよろしくお願いします。
次回も遅くなるかもしれません。気長にお待ちください。




