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神様の観察対象  作者: LUCC
第三章 最近の勇者は勇者(笑)が多すぎる
26/31

ep.26

テストの必要性は理解しているつもりだが、

好きにはなれん。



最初のsideは時間が少し戻っています。


~???side~


「っ!?、どこだ、ここ?」


おかしい、さっきまでアスファルトの道を歩いていたのになんで、いかにも高級ですって感じのめっさ広い部屋?にいるんだ。……マジでどこだここ。


「……落ち着け俺、まだ焦るような時間じゃない。冷静に考えろ」


そう自分に言い聞かせ空回りしていた思考をまとめる。

……そうだっ、ここに来る直前に足元が強く光ったような気がする。

これはもしかしてあれか?召喚的な、そんな感じの展開なのか?


それならばと周りを見渡すが予想を裏切り人の気配はない。

そもそも近くに人がいれば気づかないはずがない。

全体が真っ白な部屋ではあるが小説でよく書かれるような神々しいような感じではない。いや、感じたことはないから詳しくは分からないがおそらく違うだろう。

白い石の壁も古そうな大きな扉もあるしオレンジっぽい光を放つランプだってある、白い“空間”ではなくあくまでも白い“部屋”なのだ。

では召喚ではないのか?足元にお約束の魔法陣とやらもないし………。


と、そこまで考えに耽っているとガチャというドアノブを捻る音、ギとグの間のようなドアが開く音が聞こえた。


ドアの向こうから現れたのは、高価そうな、しかし実際着ると重そうな黄緑の綺麗なドレスを身にまとったプラチナブロンドの美少女だった。


「ようこそ御出で下さいました、勇者様」


美少女の洗練されたお辞儀を見ながら思う、………………勇者召喚キターーーーーーーーーーー!!!。




~side out~








修二たちは外から聞こえてくる音で目を覚ました。それは騒がしいというより賑やかと言ったものだった。


「………ふぁ~あ、…おはようクーシィ」


「………ぉはよ……………zzz」


「おいおい、そろそろ朝ごはんだろうから起きろ~」


二度寝しようとするクーシィを起こしながら支度をしていく修二。

ふと外の賑やかさに気が付き、窓から顔を出す。


「おお、人がいっぱいだ。祭りか何かか?」





いつものローブ姿に着替え、クーシィと一緒に1階へ降りる。

この宿は朝食のみ提供しているためそれを利用するのだ。


「店主、朝食を頼めるか?」


「おう、適当なとこ座って待ってな」


「ああ、それと今日何かあるのか?外がずいぶんと賑やかだが」


「何だおめぇ知らねぇのか?今日からこの間召喚された勇者様の歓迎祭をやるんだよ」


「へぇ~勇者様が召喚されたのは知っていたが歓迎祭までやるとは………」


その後色々と雑談をしている間に修二の前に朝食が出される。

どうやら朝食を運んできたのは今修二と話している男の妻のようだ。


「ほらあんた、いつまでも客としゃべってないで仕事しなっ!」


「おっといけねぇ。それじゃ俺は仕事に戻るわ」


「引き留めて悪かった。色々情報ありがとう」



今はフードを被っていない。被ったままなら怪しすぎて世間話などしようと思わないだろう。

お面は相変わらず付けたままなので怪しいのには変わりがないのだが……。


朝食はパン、サラダ、スープ。パンはカチカチの黒パンではないので普通においしくいただける。

勿論クーシィも同じものを食べている。



朝食を食べ終えた後、修二は商業ギルドに向かっている。

先ほどの会話のなかで一般人でも路上で販売が出来ると聞いたためその手続きをしに行くのだ。

お金に困っている訳では無いがなんとなく面白そうだからという何とも適当な理由だ。

ちなみにクーシィは別行動をしている。おそらく退屈するだろうと、お小遣いを渡し、修二と似たようなかっこ、つまりフード付きローブ(水色)を着させあまり目立たないようにしてから遊びに行かせた。

クーシィに対し力でどうこうできる者はそうそういないため危険はないだろう。




商業ギルドは冒険者ギルドと同じくらい大きな建物だった。

しかし冒険者ギルドのように男共のむさ苦しい気配が中から漏れてくることはない。

………漏れてくる方がおかしいのだ。


ギルドの中にはそこそこ多くの人がいた。修二と同じく路上販売をしようとしている人たちだ。

多いと言っても混雑するほどではないため受付の順番は待っているとすぐにきた。


「本日は路上販売一般参加の手続きでよろしいでしょうか?」


フードは取ってあるが仮面をつけている怪しい男に対して営業スマイルでマニュアル通りの対応をする受付嬢。……よく訓練されている。


「はい」


「では身分証明になるもののご提示をよろしいでしょうか」


「ギルドカードでいいですか」


カードは冒険者ギルドならギルドカードと呼び、商業ギルドなら商標カードと呼ぶ。

……何故、商標なのかは翻訳作った神のみぞ知る。

おそらく“商業ギルド登録者標識”の略称なのだろう。…きっと。


「はい、大丈夫です。お預かりいたします。……えっ?…………あ、す、すみませんっ。高ランクで変わった称号をお持ちでしたので驚いてしまいました。カードをお返しいたします。それでは、こちらの番号札を持ってこちらの書類に必要事項をご記入の上しばらくロビーでお待ちください。順番にお呼びいたしますので呼ばれましたらあちらのカウンターにその書類を持って行ってください。その時に販売場所の説明をいたします」


「分かりました。ありがとうございました」


ロビーに戻り書類に目を通す。内容は簡単で、注意事項に同意のレ点とサインだけだ。

注意事項は一般的なマナーしか書かれていないので割愛。


直ぐに書き終わったので、暇をつぶすためギルドカードを取り出す。

どうやら修二の知らない間に称号が増えていたようだ。



名前   シュージ

年齢   15

ランク  B

特技   魔法

戦闘方法 魔法

称号 【進化させし者】 【神様の観察評価 Lv1】

一言



「いつのまに………。詳細は分かるのか?」


修二が称号をタッチするとその称号の詳細が現れた。


【進化させし者】…動物や魔物など生き物を自らの影響で進化させたもの。仲間(所有物、ペットなど          有り)と認識している生物の進化補正がつく。


【神様の観察評価 Lv1】…観察をしている神の興味関心を得た時の評価。レベルに応じて神からの加護が            与えられる。Lv1…能力補正。


「う~む、これ以上強化されると大変なことになる気がするが…………まぁいいや。たぶん平気だろ」


「35番の番号札をお持ちの方ー。カウンターまでお越し下さい」


「意外と早く呼ばれたな」


その後特に問題なく手続きを終えた修二はさっそく指定された販売場所に向かう。

そこは大通りほどではないが人が行きかう通りで、すでに何人かの人が地面に引いた布の上に商品を並べていた。

隣で売る者との間は空いているので密着して並びながら売るわけではないようだ。


修二も自分の場所に座り商品を並べていく。

修二がならべた商品は5つ。そのどれもが見た目と名前に反して高い。


〔明かりの点かないランプ〕15万IL(イル)(15万円)


〔どこででもドア〕5万IL(5万円)


〔逆回りの時計〕7万IL(7万円)


〔水が入らない水筒〕25万IL(25万円)


〔幸せの白い粉〕50万IL(50万円)



修二の並べた商品の値段や見た目に、近くで品物を売っていた者も掘り出しものを探しに来た者も驚いた顔をしていた。

はたして、こんな見た目はともかく名前と値段があっていないような物を買う者が現れるのだろうか。




お読みいただきありがとうございます。


最初の一人称の方が書きやすかったです。

やはり三人称は難しいですね。


ついに称号の案をいただきました!

さっそく追加してあります。(追加されても効果が十分に見られるとは限りません。全く意味がないようにはしないつもりです)


最後の5つの商品、(危ない物もいくつかありましたが)5つ全ての効果が分かりますでしょうか?

ヒントとかはありませんw

感想欄に予想を書いても多分大丈夫だとは思いますが、ネタバレになるので、これについての返信は一切いたしません。ご了承ください。


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