ep.23
段々と書くのが難しくなてきました。
やはり見切り発車ですからね。何事も計画的にですね。
修二がワイバーンを倒した日から1週間が過ぎた。
今修二は街に入る時くぐった東門とは反対の西門の前に立っている。
日が昇り始めてすぐのため辺りはまだ薄暗い。常駐している門番も眠そうに欠伸をしている。
涼しく心地いい風を頬に受けながら街と外の境界を一歩で跨ぐ。
眠そうな門番と軽く挨拶をかわし、自然とできたのであろう土の道を歩いていく。
今日はギルドの依頼のために門をくぐったのではない。次の町へと行くため。
目的地は“王都ラーチル”。ある噂を聞き、丁度いいと次の行き先に決めたのだ。
虫の声が小さく聞こえるだけの静かな夜明けの道を、修二は王都ラーチルに向け歩を進めていく。
………いつまで普通の歩きで行くのかは修二の気分次第だが。
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ワイバーン騒ぎの翌日、修二は昨日と変わらずギルドへと来ていた。
修二が入ると同時にそれまで掲示板に張ってある依頼を確認していた冒険者たちの視線が一斉に修二へと向いた。入口に背中を向けていた者まで直ぐに振り向いたのは周りの空気を読んでか。
しかしそこまで注目しておいてなお修二に声を掛ける者はいない。
昨日の帰り際でのやり取りを見ていた者がほとんどだからだ。
人が多く込み合っているC,Dランクの依頼前よりはだいぶ空いているBランク依頼の所に行き確認するがあまり良い依頼がなかったため常時依頼の熊の魔物狩りに行くことにしたようだ。
場所はいつもの魔巣付近の森の奥地である。
さらっと受付を済ませギルドを出て東門に向かう、途中で気が付いた。
(……ふむ、5人か。大体予想着くな。それにしてもバレバレすぎるだろ)
特に何か対応するでもなくそのまま門を通り森へと進む。
森に入り暫く進むと目当ての熊が現れた。身長は軽く2mは越えているだろう。
しかし一番脅威なのは前足に生えている鋭い爪。軽く腕を振るだけで木をごっそり削っている。
これが熊の強力な腕力に任せた一撃だったらフルプレートで鎧を着ていたとしても無事では済まないだろう。………まぁ、当たらなくては意味は無いのだが……。
熊が修二目がけて猛烈な突進を仕掛けてきた………が四足歩行で走り出そうとした瞬間、何かに引き寄せられるかのように熊の頭が地面とごっつんこした。
柔らかく言っているが実際には熊の頭と地面がぶつかった際土の地面にもかかわらず「ゴンッ」という鈍い音が大きく聞こえたことからかなりの衝撃であったのだろう。
地面が凹み、熊の頭も凹み結果熊は息絶えていた。当然と言えば当然である。
今起こったことを説明するのは簡単だ。ただ熊の頭を魔法で地面に引っ張っただけ、これだけである。
一見重力魔法に見えるが正確には異なる。急激に重力を増やすようなやり方だと使用者のイメージ頼りの魔法では少し厳しい所がある。重力があるのは知っているが、重力とは何でありどうしてあるのかなどの詳細を知っている訳ではないのでイメージが難しいのだ。と言っても戦闘時的に考えて、なのだが。
対して引っ張るだけなら見えない魔法の手でその対象を思いっきり引っ張るイメージだけでいいので簡単になる。だが欠点もあり、この魔法を使い始めて直ぐの間は引っ張る力が自身の筋力と同じになってしまう。
イメージで発動させているため自分の手が自分の限界以上の力を出せないという先入観によって無意識に制限を掛けてしまっているのだ。慣れてしまえばそこの切れ替えができ、魔力に応じた力を発揮することが出来るようになる。
「よしっ、とりあえず依頼は完了かな。次はっと」
くるりと180度回転し、次の獲物―――ギルドを出てから付いて来ている者たち―――を狩りに向かう。
真っ直ぐに目標に向かって歩いてく。徐々に徐々に彼らとの距離が詰められあと10m切ると言ったところで茂みの中からガサゴソと音を立てながら何者かが現れた。
出てきたのは昨日帰り際に絡んできた冒険者のうちの3人だった。
その中からリーダーらしき男が一歩前に出る。
「へへっ、さすがにバレてたか。だがもう俺たちの勝ちだ!俺たちに気が付いたことで調子乗ってのこのこと自ら罠にかかりに来てくれるなんてな。手間が省けて助かるぜ」
修二がギルドを出て気が付いたのは5人、今出てきたのは3人、残りの2人は修二の後ろに回り込んで挟み撃ちにしようとしている。
といっても、初めから5人いるのは気が付いているのだからこのくらいの罠は想定済みである。
だから彼らが出てきた後黙っているのは余裕の表れなのだが。
「くくっ、あまりのピンチに声も出ないってか。まぁ安心しろ、すぐに終わらせてやるからな~」
汚い笑顔を浮かべ剣を片手に持ちながらじりじりと間合いを詰めてくる冒険者たち。
修二と彼らとの距離が半分くらい縮まった時、あらかじめ打ち合わせていたのか5人一斉に跳びかかってきた。そこそこ腕はいいようで一般人よりは素早い動きで攻撃を仕掛けてきた。
だがしかし、この戦いはリーダーらしき男が言っていたようにすぐに終わりを迎えることになる。
修二は一斉に襲い掛かってくる男たちを尻目に右足を軽く上げ、踏み込む。
すると「ドンッッ」という音と共に男たちが5m位の高さを跳んでいた。
魔法によって下から強い衝撃を受け空中に跳ばされた男たち。
全員が勢いよく修二目がけて走っていたため当然全員の執着地点は同じ場所、つまり修二の頭の上で全員仲良く衝突するということ。勿論修二はとっくにその場から避けている。
急に跳ばされたことによって崩れた体勢同士でぶつかり結構重症になったり、持っていた剣同士が当たって「ガシャンッ」と音がしたししていた。
予想道理と言った顔で、のびきって地面に倒れている男たちに近づく修二。
アイテムポーチを漁り中からロープを取り出し、男たちを木にぐるぐると巻きつけていく。
剣やその他刃物はすでに回収済みなのでそうそうロープを切られることはないだろう。
ここまでおよそ3分。インスタント麺を作る片手間で倒せてしまう。
男たちはそのまま放置し帰ろうと歩いているとまた熊に出会ったのでそいつも軽く倒し、ギルドへと帰った。熊2匹と他5名しか相手にしていないのでまだ日は真上にある。
ギルドで依頼達成と襲ってきた5人のことを報告すると、ああついに、といった顔で「そうですか」と言われた。何か知っていそうだったので詳しく聞くと、5人の内4人は元々問題児だったらしく今回みたいな大事まで行かずとも依頼主とのちょっとしたトラブルはしょっちゅうあったそうだ。
1人は修二がギルドに登録してきたときに絡んできた冒険者で、彼は元は全然問題など起こさなかったのだが、腕が一般人と比べたら多少はいい方といった具合であったため中々ランクが上がらずにストレスを感じ始め、ストレスを誤魔化そうとギャンブルに手を付けたら大失敗し借金が出来てしまった。
それらと奮闘している内に段々と荒れていき、そこに目を付けた問題児のリーダーに声を掛けられパーティーに入ったそうだ。結局は自業自得ってことなのだが。
報酬を貰いギルドを出ようとしたとき、普段なら全く気にならないような冒険者たちの雑談がこの時だけはっきりと修二の耳に届いた。
『おい知ってるか?王都ラチールで勇者が召喚されたんだってよ』
『ああ、知ってる知ってる。なんでも魔巣の奥に住んでいると言われている魔王討伐のために呼ばれたんだってな』
『そうそう、……にしても可哀想になその勇者も』
『そうだな、どんな強者でも一番奥にはたどり着け無いほどの恐ろしい場所に突っ込まされるなんて』
『しかも魔王が本当にいるとは限らないんだろ?………戦力が足りないようだったら俺が手伝ってやろうかな』
『バーカ、万年Cランクのお前じゃ足引っ張るだけだっての』
『なっ!そ、それだったらお前もだr――――――――』
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残り6日は行くかどうか迷っていたり、行くことに決めた後準備のため色々買い物したり、出発前に1日休日を入れたりして過ごした。
噂を聞いたから行くのは本当だが、その勇者を心配していくのではない。
ただ行ったら面白そうだという単純な理由からだ。
「この街は娯楽が少なかったから、次の街?は楽しいことが多いといいな。せっかく異世界に来て力も手に入れたんだから、もっと満喫しないと。まだまだ異世界転生のスタート地点ってところだな。まさに、
“俺たちの冒険はこれからだ”ってか」
お読みいただきありがとうございました。
次回作にご期待ください。
嘘です終わりません。
第二章は終わりですが。
投稿をするたびに少しずつブックマークしてくれる方が増えていきます。
嬉しい限りです。(それに比例してプレッシャーが増していくんですがww)
次回もおそらく二週間後くらいになると思います。
ではまた。




