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神様の観察対象  作者: LUCC
第二章 俺たちの冒険はこれからだ
22/31

ep.22

大変長らくお待たせいたしました。


「あれ?こんな小説あったっけ?」と思っている方も多いのではないでしょうか。本当にすみませんm(_ _)m



ピリピリと緊張した空気の中、試験が開始されたというのに両者とも動く気配がない。

ただ油断も隙も無く相手の出方を窺うようににらみ合いを続けている。

それを破ったのはオルクスの方だった。しかし彼が攻撃を仕掛けに言った訳では無い。


「これはお主のための試験じゃ。お主から先に掛かってこい」


「……そうですね。…では」


修二はゆっくりと上半身を前に倒していく。自然と前に出た右足を思い切り踏み込む。

そこから一気にオルクスに向かって駆ける、と誰もが思った瞬間、ドゴンッ!という音がオルクスの付近で鳴りそっちを振り向くとオルクスの周囲の地面から先端が尖った土の柱が3本がオルクス目がけて飛び出してきていた。

オルクスは予想外の攻撃に驚いた顔を見せるも冷静に上に跳び避ける。

土の柱は柱同士がぶつかりその衝撃でバラバラと崩れ落ち小さな土の山を築き、その上に少し危なかったといった顔のオルクスが降りてくる。


「今のは中々驚かされたわい。……さて、次は儂から行くぞい」


予備動作もなしに早い速度でオルクスが飛び出す。その速度は音速にも届きそうなほどだ。

そこまで早いと例え10m以上離れていようと一瞬だ。

一瞬で修二の懐に入るとその勢いのまま左わきに構えていた体験を右に薙ぐ。

修二はその速さに付いていけていないのか一歩も動かない。

そしてそのまま修二の右わき腹に薙ぎの一撃が入る―――――――ように見えた。


「!?」


オルクスが勢いよく振った大剣は何も斬ることなくスカッとからぶっただけだった。

そう、残像である。残像を作るにはこの世界だと簡単に考えて3つある。

1つ、魔法のある世界なのだから光の屈折を変えて自分の姿をずらして見せる方法。

魔法なら簡単にできるように感じるがしかしこれは自分にどのように光が当たっているのか、相手にどのように光が届いているのかをよく知らないといけない。

少しでも屈折を間違えると残像が歪んだり、途切れたり、最悪の場合モザイクのようになったりしてしまう。なので精密な魔力操作とかなりの集中力が必要になるのだ。

2つ、1つ目に似ているが、魔術を使用した方法。

魔術ならば媒体は必要になるが魔法のような細かいイメージがある程度省くことが出来る。

しかし発動までの時間が魔法に比べると圧倒的に遅いため接近戦ではほぼ役立たずになる。

そこで3つめ、魔法を使って物理でごり押しする方法。これが修二のとったやり方である。

1つ目は魔法オンリーで行おうとしていたが、この方法は魔法だけでダメなら魔法を使って物理的に残像を作り出そう、というちょっと何言ってるか分からない理論のもと編み出された方法である。

やり方はまさに『言うは易し行うは難し』だ。何故なら、“光の速さ以上のスピードで動けばいい”、簡単に言うとこれだけなのだから。

この一言で大体どういった方法なのか分かるだろうが一応簡単に説明を入れるとすると、物体の姿、形を認識するには光がその物体に反射して目に入る必要がある。

その反射して目に入るまでの間に光さえ追いつけないスピードで動いてしまえば、相手には自分が動く前の状態が目に移り、しかし自分はすでに違う場所に移動していてそれが残像に見えるということだ。

もちろん光の速さ以上で動くには肉体的にも脳の処理的にもスペックが全然足りない。

だがそれをカバーしてしまうのが万能な力、魔法だ。幻影を作るような仕組みが分からない複雑なものではなく、ただ速く走るために身体能力を強化すると言った単純なことなら魔力のある限り再現できるのだ。リフティングするのは難しくてもボールを思いっきり蹴るのは簡単、というのに似ている。

長々と説明したがつまるところ“余りある魔力を膨大に使って物理的にごり押しした”ということだ。


いきなり目の前から消えたことに頭が追い付かず一瞬立ち尽くしてしまうオルクス。

一般人なら口をポカンと開けて呆然としていただろう。周りにいる観客のように。

しかしさすがはAランクの冒険者、たった一瞬で立ち直る。

されど一瞬、光速以上で動ける修二にとってそれは大きな隙であった。

慌てて振り向くオルクスの頭の付近に両手を持っていき、そのまま魔力を纏わせつつ勢いよく合わせた。


パンッッッ!!


両手を合わせたことによりなった音は大きく、しかも魔力を纏っているため近距離でその音を聞いてしまったオルクスは体がふらつき、立っていることが出来ずに片膝をついた。

魔力によって強化された音はオルクスの三半規管を大きく乱したのだ。


「勝負あり、勝者シュージ」


審判をしていたガルトが試験終了を告げる。それまで黙っていた観客が大きく盛り上が―――――――

らなかった。最後の修二の攻撃の余波が周りにも届いていたようで、しゃがみ込んでいる者やふらふらと危なげな者が多数いる。

ガルトが無事なのは、観客よりは近いもののある程度離れていて、尚且つギルマスと言う役職柄それなりに強いからである。オルクスもこれだけ離れていればほぼダメージは無かっただろう。


「う、うぬぬ……。まさかこれ程とはの」


「大丈夫ですか?」


「うむ、これしき少しすれば何ともないわい」


そして本当に10秒もしない内に軽々と立ち上がった。観客の中には今だ呻いている者がいるというのに。


その後ギルマスの部屋に移動して色々説明されたり、説明したりした修二。

問題なくBランクに昇格という説明の後、ワイバーンの素材があれば今すぐ買い取るということで丸々1頭買い取ってもらい、試験中のことを聞かれた時は先程のことをざっくり説明した。2人とも呆れた顔をしていた。


ギルマスの部屋を出てギルドの受付前に行くと、最初来た時より多くの視線が集まったが、最初の時と同様にフードをすでに被っているため全然気にせず受付に進む。

ランクが上がったためギルドカードの更新に来たのだ。


「はい、これで完了です。それにしてもすごいですね、こんなに早くBランクになるなんて」


「ありがとうございます」


担当したミリシャからギルドカードを受け取り、ギルドを出ようとする。

しかし先ほどから修二を観察するかのように見ていた冒険者の数人(おそらくパーティーを組んでいるのだろう)が修二に声をかけてきた。


「なぁあんた、俺たちとパーティー組んでくれねぇか?」


「…悪いな、暫く誰ともパーティーを組むつもりはないんだ」


考えることなく即答したのは、言ったことも理由の1つではあるがそれよりも声をかけてきた冒険者の後ろにいるパーティーメンバーが何となくゲスイ顔というか、悪巧みをしているような顔をしていたので断ったのだ。それに初日に絡んできた冒険者がいたというのもある。


彼らの横を通り抜けギルドを出ようとする。


「おい、ちょっと待t、がっ!?」


パーティーのリーダーらしき男が修二を止めようと肩に手を伸ばし触れた瞬間、バチッという音が鳴り、床に倒れ少し痙攣している。

初日はすり抜けだったが今回も同じではつまらないと修二が電撃に変えたのだ。勿論敵対者にしか効かない。電撃が来たということはつまりそういうことなので、修二は振り返ることもせず今度こそギルドを出て露店で夕飯を済ませながら宿に戻った。


宿に着くころにはすっかり暗くなっていてさっさと部屋に戻り、今日は微妙に疲れたと思いながらベッドで眠りについた。





お読みいただきありがとうございます。


戦闘シーンはやはり難しいです。

今回も結局まともな戦闘はしていませんからねぇ。

もっとうまく書けるようになりたいです(´・ω・`)



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