ep.21
先週に投稿できずすみませんでした。
夏バテやらなんやらで中々書けませんでした。
こんな適当な感じでやっているのに、なんと
ブックマークが100人突破しましたー。本当にありがとうございます!
そしてこれからもよろしくお願いします。
~修二side~
「ちょ、ちょっと失礼します」
そう言い慌ててカウンター奥にある階段へと向かって言った受付嬢の子。
おそらく俺の行動にどう対処するのか上の者に相談しに行くのだろう。
結構大ごとになりそうな予感。周りも静まり返っているし。
魔巣育ち(修行)の俺にとってワイバーンは、地球の頃のカラスと同じくらいの脅威だからここまで熟練?の冒険者たちが驚いているのはかなり意外だ。
だからと言って俺の認識を改めることはしないがな。めんどいから(キリッ。
暫く周りから多くの視線を浴びながら(ローブの効果ですべて遮断されているのだが)待っていると、先ほど階段を上って行った受付嬢がカウンターまで戻ってきて俺に付いて来るよう言うのでおとなしく、来た道を戻り歩く受付嬢の後ろを付いていった。
2階に上がりちょっと進んだ扉の前で立ち止まる。
ここが目的地なのだろう。
コンコンッ
「ギルドマスター、連れてきました」
「…おう、入れ」
やはりギルドマスターの部屋だったか。
他の部屋より少ししっかりとした大きい扉だったからもしかしてとは思ったが。
中に入るとそこには、扉越しに返事をしたとき聞こえた野太い声から想像できる通りの肩幅が広いおっさんが堂々と座っていた。
これだけの特徴なら下の階にいる有象無象の冒険者たちの中にもたくさんいるが、彼らと違うのは濃いブラウンの髪に白髪が多く見え年季が入っているところだろう。
さすがギルマスなだけあって中々威圧感がある。
まぁそういったのもローブでシャットアウトできるがな。
「とりあえず座れ」
「…失礼します」
「ミリシャもご苦労だった」
「いえ、それでは失礼致します」
受付嬢、もといミリシャさんは綺麗なお辞儀をして部屋を出ていった。
というか彼女の名前を初めて聞いた。ミリシャと言うのか。
………名前覚えるの苦手だから忘れそうだな。
それはともかく、この部屋には今俺とギルマスの2人(+1匹は今寝ている)しかいない。
つまりこのおっさんとマンツーマンでお話しなくてはいけないのか。俺にそっちの趣味はない。
「まず自己紹介からだな。俺はこのギルドの長、ギルドマスターを務めているガルトだ」
「私はDランク冒険者の修二と申します」
「おう知ってる。ま、そんなに固くなんなくていいぞ。もっと楽になれ楽に」
「はぁ、分かりました」
このギルマスは見た目通り大雑把な性格をしているのだろう。
酒でも飲んだらガハハと笑い出しそうだ。
「態々ここに来てもらったのは少し話が聞きたくてだな」
「話、ですか」
「そう、さっきいきなりワイバーンを倒した奴が現れたと言われどんな奴が倒したのか調べたら魔法を戦闘手段にしてるって言うじゃねえか、それでちょっとな」
「はぁ……」
魔法でワイバーンを倒したというのは地球で、熊をライターと水風船と泥団子と手持ちの扇風機で倒したと言うのと同じと考えると……………確かに疑うわな。
「ギルドカードの偽装は不可能だからただの確認なんだが、本当にお前がワイバーンを倒したんだな?」
「はい、俺が倒しました」
「ソロで?」
「一人で」
「魔法使って?」
「魔法使って」
「マジで?」
「……マジです」
おい、いきなりフランクになるな。
「………嘘はないんだろうが、なぁ」
「魔法で、と言うのが信じられませんか?」
「…ああ、Dランクなのにって言うのもあるがそれはいったん置いとくとしても魔法で倒したと聞くと嘘だとまず疑ってしまう」
「そうですか、では実際に見てみればよいのでは?」
「………………おお!!その手があった!」
しばらく悩んでいたギルマスだったが何か思いついたのか大声を上げて立ち上がった。
「よしっ、ランク昇格試験をやるぞ」
「…………は?」
そんなわけで1階に戻りそこで試験管になってくれるAランク冒険者を募った。
Aランクの人なんて少ないんだからそんなすぐには、と思っていたが…………
「儂が相手しよう」
いたよ。
…ああそうか、ワイバーン対策に呼んでいたんだな。
名乗り出た男はギルマスと同じくらいの年齢だが筋肉モリモリな肉体をしていない。
精々趣味程度に鍛えている日本人成人男性くらい。
「おお、オルクスか丁度いいところに」
「何が丁度いいところにだ、お主が呼んだのだろう」
「ガッハッハ、そうだったな」
しかもギルマスと親しい。かなりの強者だろう。……Aランクなんだし当たり前か。
ところ変わってギルドの建物の裏にある広い訓練場。
ここで試験を行うようだ。試験は試験管=オルクスと闘って認められればいいらしい。
いきなりだし適当だし、それでいいのか昇格試験。
「儂はオルクス。Aランク冒険者をやっとる」
「Dランク冒険者の修二です。よろしくお願いします」
オルクスは訓練用の木でできた大剣を構えている。
俺の身長くらいの長さがあるからそれを持っているだけで迫力が増すな。
「その被っているのは取らんのか?」
ああ、Aランクの人を前にこのままはさすがに失礼なのかな。
「今取ります」
言った瞬間に周りのギャラリーの視線が強くなった気がする。
しかし彼らは暇なのかね?冒険者はもちろん受付の人たちも多くいるし。
あれか、Aランク冒険者の活躍を見たいってことか?
特に気にせずフードに手をかけ、そのままの流れで取る。
そこから現れた顔は――――――――――――
―――――――――口元と目だけが開いた赤と白の狐のお面に隠れてみることが出来なかった。
残念だったな、安心の2段構えだ。
このお面は魔法が使えるようになって中二心が蘇ってきてしまったときに勢いで作ってしまったものだ。
せっかく作ったんだからと深い意味はないが寝る時以外は付けるようにしている。
うん、見事にギャラリー全員がポカンと口を開けて呆けているな。
「まだ下に付けておったか」
「まぁあまり意味はないんで気にしないでください」
「ハッハ、意味はないのか、そうか。
……………ではそろそろ始めよう」
「はい」
ギルマスが少し離れた位置に立つ。
ざわついていたギャラリーも始まりの空気を感じ静かになる。
静寂の中、ギルマスの「始め!!」の声が響き渡り、試験が開始された。
お読みいただきありがとうございます。
今回は少し短かったかなと思います。
そして次回は私が苦手な戦闘シーンです(汗)
クオリティは期待しないで下さいね。




