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神様の観察対象  作者: LUCC
第二章 俺たちの冒険はこれからだ
14/31

ep.14

投稿が少し遅くなりました。すいません。


今回から新しい章になります。


まだ日が顔を出してすぐの時間。

昼間は鳥や風によって揺れる気の音などで賑やかな森も、今はシンと静まり返っている。

盤面をひっくり返したかのような変わりようは、不思議に感じるくらいだ。

肌寒く感じる気温の中、2つの影が動く。



「よしっ、準備はいいな?」

「…うん、大丈夫」


修二とクーシィは今、家の玄関前にいた。

持ち物はアイテムポーチだけと、身軽だ。


「後は、この家をウォッチに戻して……」


ウォッチを操作すると、今まで住んでいた家が、幻だったかのように消えた。

修二は家が戻ったのを確認すると、クーシィの方に向き直る。


「じゃあ行くか」

「…うんっ」


修二とクーシィは二人同時に西へと歩き出す。

そう、この森を出て、街を目指すのだ。

今日はクーシィが人化して、およそ2年の月日が経っている。

ようやくといった感じだ。


「ああそうだ、すっかり忘れてたな。

 これがあったんだった」


歩き始めて10分と経たないうちに足を止めた修二が、何かをアイテムポーチから取り出す。

それは、フード付きのローブだった。

色は黒で、いかにも魔法使いが着ていそうだ。

これは、クーシィが人化した後、自分の防具も作った方がいいかなと思った修二が、錬金術や魔法、果ては理論までをも全開で使用して作ったものだ。

おそらくこの世界で最強なのではないだろうか。

初め、修二は普通に防具=鎧みたいな考えで、革鎧を作ろうと考えていたが、装着が面倒、関節部分の守備が弱い等の理由から変更したのだ。

それから色々考え、頭から足まで守れて、尚且つ着るのが簡単な装備ということでローブに至ったという訳だ。


しかし、そんな布だけのような装備で大丈夫か?と疑問に思うだろう。

大丈夫だ、問題ない。

何故ならさっき言ったが、このローブは修二が魔法、錬金術、理論を使いまくって作ったものだからだ。

つまり、パワーバランスなんかガッツリ無視の代物だ。

機能の一部を紹介すると、

・防刃

・防打

・防魔

・暖房

・冷房

・サイズ調整

・身体機能向上

・ステルス

・隠密

・自動修復

・使用者登録

etc

がある。

上から順に説明していこう。


〔防刃〕

そのままの意味。刃を通しにくくする。

ダイヤモンドをスライスできる刃でもまず通らないだろう。


〔防打〕

打撃系の攻撃をある程度無効する。

魔力を込めながら防御することによって、衝撃を吸収し、それをそのまま相手に返すことが出来る。

1tトラックがぶつかっても何も感じない。


〔防魔〕

魔法・魔術攻撃をある程度無効する。

攻撃から魔力を吸収することも可能。ただし、限界容量がある。

世界を壊す気でかかってこい。そうすれば少しはダメージが入るかもよ?


〔暖房〕

ローブが温かくなる。

温風を出すことも可能。

使用時は微量の魔力を使用。


〔冷房〕

暖房の冷たいバージョン。


〔サイズ調整〕

装着者の身体に最も適した大きさになる。


〔身体機能向上〕

筋力や脚力など、普段の数倍になる。ただし、使いすぎると筋肉痛になる。

脳の回転や新陳代謝も上げることが出来る。


〔ステルス〕

夢とロマンで付けた機能。

透明人間になれる。

しかし、使用魔力量が少々多い。(一般人には)


〔隠密〕

足音やにおいを消す。

ステルスとの相性がいい。

勿論ステルスほどではないが魔力を使う。


〔自動修復〕

少量でも、布として残っているなら、魔力を糧に再生する。

だが、あまりにも損傷がひどい場合は作り直した方がよかったりする。


〔使用者登録〕

このローブを使用できる者を登録できる。

初めは製作者のみが使用できる。

使用者は複数でも可。




以上がローブの一部機能の大雑把な説明である。

なお、このローブは修二しか着ていない。

クーシィが着ていない理由はちゃんとあるのだが、それは後ほど。



修二達が歩き始めて30分位たった。

幸いまだ魔物には遭遇していない。

と思っていると、ブーーーンという羽音が聞こえてきた。


「クーシィ、魔物だ」

「…ん、わかってる」


すぐに二人とも戦闘態勢に入る。

今いる場所は木が多く、視界が悪い。

羽音が段々大きくなり、魔物の姿が見えた。

敵は1匹、大きな蜂だ。

ビックビーである。

見た目はスズメバチをそのまま大きくしたもので、大きさはバスケットボール弱。

羽音がすごくうるさいが、大きさの割にすばしっこい。

今回は1匹だけなので運がいい方である。

ビックビーは巣に近くなるほど群れていくのだ。

この場所はまだ巣から遠いのだろう。


「雑魚ではあるが、油断せずいくか」


修二は敵から目を離さずそうつぶやく。

クーシィは声に出さず頷くだけ。


ビックビーとの距離が15m程になった時、修二が様子見とばかりに拳大の水の球を打ち出す。

ビックビーは近くに合った木に隠れそれをかわす。

木が多いため中々当てられない。


何度かそういった攻防を繰り返し、ビックビーが5mまで近づいた時、


「そろそろ遊びはお終いかな」


そう言いながら修二は水の針を高速で打ち出す。

今までそれほど速くない水の球だったのが、いきなり速度の速い針に変わったのでビックビーは対応しきれず、水の針にその胴体を貫かれた。


「さて、回収回収」


アイテムポーチから取り出したナイフを片手にビックビーの死体へと歩く。

ナイフを突き刺し、素材がアイテムポーチに入ったことを確認すると立ち上がって再び歩き出す。


今の戦闘は2回目ではない。

この2年間で何度か魔物相手に戦闘訓練をしていたのである。

ずっとインドア生活を送っていた訳では無い。

そのため、ここら一帯に修二の敵となるような魔物は居ない。

そもそもこの世界に修二の敵となるようなものは少ないのだが。


歩き始めて5時間が経った頃、少し開けた場所でた。

日はほぼ真上にある。


「クーシィ、そろそろきついんじゃないのか?」

「…もうちょっとで限界」

「なら、昼飯を食べたら元に戻った方がいいな」

「………ん」


修二の提案にクーシィは渋々といった感じで小さく頷く。

アイテムポーチからあらかじめ作っておいた昼食の弁当を2つ取り出し、食べ始める。

弁当は作った時と温かさが全く変わっていない。

普通のアイテムポーチは、中の時間が止まったりしていないが修二のは色々と魔改造されている。

今述べたとおり中の時間を止めていたり、容量の制限を取っ払ったりしている。

言わば“アイテムポーチ改”だ。


危険な森の中なのにゆっくりと弁当を食べ終えた二人。

クーシィだけ立ち上がった。

すると、ポンッという音と共にクーシィが猫の姿に戻った。

退化したのではない。

魔力が少なくなったため元に戻ったのだ。


今まで人の姿になれていたのは【変化(へんげ)】という能力によるものだ。

これは魔力を使い姿を変化させることが出来る。

今クーシィが変化できるのは人型と猫の姿をそのまま巨大化したもののみ。

変化を長く維持するには大量の魔力が必要になる。

さらに大きな変化(猫→人)だと余計に多くの魔力が必要になる。

なので初めは1時間も保っていられなかったほどだ。

さっき二人が話していたのもこのことだ。


ならば何故家では常に人の状態でいたのか。

それは単純に、家の中にいると消費魔力が少ないからだ。

何故少ないのか詳しくは調べていないから分かっていないが、修二が魔法の練習中に、調子に乗って家全体に魔力回復上昇とかいう魔法を付与したあたりが怪しい。


閑話休題


猫の姿に戻ったクーシィはトコトコと修二に駆け寄り、よじ登り、ローブの胸ポケットに入り込んだ。

中でもぞもぞと動き、ピョコンと顔を出す。


「よし、じゃあ飛ばすからしっかり掴まってろ」

「…にゃ」


修二が左手で軽くクーシィを抑えながら注意を促す。

それに短く答えるクーシィ。

一応【念話】で声に出さずとも会話はできるのだがそれも魔力を使うため、重要なこと以外はあまり話さない。

まぁ、修二は猫状態でも何を言っているのかだいたい分かるので必要ないというのもある。


クーシィに確認をとると修二は足に力を込め思いっきり蹴りだした。

そのスピードは約時速40キロにも及ぶだろう速さだ。

しかも正確に木を避けている。


初めからこうしなかったのは、クーシィにお願いされたからだ。

修二がクーシィに森を出ることを言い、こういう風に行こうと提案すると、クーシィがちょっとでも修二と歩きたいと言ってきた。

修二は却下する理由がないということで、それを了承した。

そのため、午前中は歩き、午後は走っているのだ。


3時間ほど走り続け、ようやく修二は足を止めた。

森を抜けたからである。

森を抜けた底には辺り一面の草原が広がったいた。


左を見ると近くに小さな川があった。

そこには1匹の魔物がいた。

それを見つけた修二は驚愕することになる。


そう、ヤツだ。誰もが知るヤツがいる。




次話は日曜までに投稿できるように頑張ります。

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