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学園空想物語  作者: 傍観者でもある人
1/2

ハプニング

中学校からの下校時の電車は割と空いている。

霞美は電車がたくさん人を降ろす停車駅について席が空いたのを見計らって着席し、すかさずスクールバックを開け、下校前に借りたばかりの少し厚手のメルヘン小説をウキウキしながら取り出し、広げて読み始めた。




しばらくすると、眠気が襲ってきたため、霞美は本を鞄にしまい、しばらく目をつむって目を休めることにした。

気が付いたら寝てしまっていて、路線変更の放送を聞き逃したため、終点だと思っていた乗換え駅を通り越し、普段行かないはずの新しくできた路線上の駅に行ってしまった。

とりあえずそこで降りるしかないため降りて折り返しの電車を待つことにした。降りる予定だった終着駅で一回駅を出て本屋に行って教材を買うつもりだったのにもうかなり日が暮れていてまた明日かあさってかに変更することにした。あまり時間に余裕のない学生が時間を無駄にするのは痛いなと霞美は残念に思っていた。そりゃあ寝てしまった自分が悪いわけだが。




ぽけーとしていると、踏切の信号のサイレンが聴こえてそちらを見やった。

すると、そこに高校でイケてる男子№1か2あたりを争っているんじゃないかってくらいの美男子を発見した。学校帰りのようで学ランを着ていた。自転車に乗って踏切を超えていくところだったが、(あ~なんか目の保養になるな)と思ってまた会えたらいいな~なんて霞美は思っていた。自分の学校には外身も中身もごちゃごちゃしている人間ばかりだった。

こっちに気が付いたように見えた。目が合ったのは確かだった。




すっかり日も暮れて暗くなり、折り返しの電車がようやく霞美のいる駅に到着し、霞美は電車に乗って着席し向かっていたはずである駅への発車を待っていると、やがて電車が動き出した。海が真ん前の座席の後ろの窓から見えていたのでしばらく景色を楽しみ、それに飽きると、

到着までまだだいぶ時間がありそうだったが、すっかり目が疲労していたため、MDウォークマンを今度は取り出し、イヤホンを耳にあて、お気に入りの曲に耽ることにした。

丁度勉強で頭も疲れていたのでなにか心地の良い音が聴きたい気分だった。



やがて電車は乗り換えの駅に辿り着き、もうじき電車を降りるころとなった。

霞美は本を鞄にしまって立ち上がり、電車の扉に向かった。

すると、霞美はそこでまた一人の学ランを着たイケメンを発見した。今度はさっきのイケメンとは違ってメガネをかけていて静かな男子だった。しかし彼は全くこちらに気が付いていない。霞美がいるのは8番線で、彼はその向かいの9番線にいて、これから霞美のゆく方向でも学校のある方向でもない場所へと向かうようで携帯画面を眺めている。

霞美は彼には何度か会ったことがある。こんな時間にまた会うことになるとは思わなかったが、一度もこちらに気づいてもらったことはなく、なにか小さいアルバムのようなものや、風変りな雑誌をよく開いて楽しそうに見ていた。霞美があまり興味の持てない類のものばかりだったが、なぜかその横顔がきっとたくさんの女子の注目を集めるであろうと思われるくらい妖しく煌めいていた。あと、携帯にはたらこにくるまれたキューピーのストラップがつけられていたのが少しだけ衝撃だったのを覚えていた。

女はみんなミーハーなのか、霞美も格好いい人を見るとわけもなく機嫌がよくなるのだった。





次の日のこと、霞美が登校した時には、

昨日霞美が使ったはずの新しくできた路線や駅などはなくなっていた。

それは下校時も同じであった。

代わりに新しい転校生が中学校にやってくることとなった。






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